最終話 no title
「……」
「リン…」
警官が撤収した後も、リンはその場に崩れ落ちたまま動こうとしなかった。
小神と影月は距離を開けた先から2人を見るのみだった。
「…やれやれ」
「埒が明きませんね、これは…」
小神はリンに対し、まず疑問に思ったことをぶつける。
「…風見妹、何故風見の姉キを撃たなかった?」
「…何、でだろ…」
「捕まるのは嫌か? これは正当防衛なんだといえば」
「…むしろ過剰防衛になるって」
小神のボケに対して影月は半ばあきれを浮かべながら突っ込みを入れた。
「まぁ、それはさておいて風見妹、この先どうするんだ?」
「…私は親戚の家に住んでたので帰る家は一応…」
エイジはその言葉に対し、一瞬言うか言わまいか迷ったが話してしまおうかと思った。
「リン…ちょっと申し訳ない事話すんやけど…」
リンはエイジの口から何が出るのかは想像がつかなかった。
「…データベースを調べたら、お前の親族は失踪しているそうなんや」
「鬼隠しか崇殺しか…」
「あのなぁ…」
緊張感をぶち壊すような小神の発言にエイジは殴りたい気持ちを抑える。
「…つまり、今、風見妹にこの周辺に親族はいない。…故に一人。どこに住ませるかが問題かって事か」
「小神君の家はどうなんだい?」
「…勘弁してくださいよ。一応空き部屋はありますけど模型の箱で溢れてるんですから。そういう影月さんは…女遊びしてるようじゃ根本的に駄目か」
「うぅ、高校生に指摘される僕って一体…」
「それより風見妹、…大丈夫か? 残酷な現実を突きつけられたわけだが」
「…はい」
少しだけ哀しみの感情がこもった一言により、一瞬その場は静かとなる。
その静寂を破るかのようにエイジは咳払いをする。
「な、なぁ、リン…」
「…はい」
エイジは顔を赤くし、言おうか言わまいか迷う。だが3ヶ月行動を共にする中でいつの間にか好きだという感情だけでなく守りたいという感情も同時にあった。ならば言い切ってしまうべきか…。エイジは決意する。
「け…結婚、せぇへんか?」
その場の空気が凍りついたのは言うまでもない。
小神と影月は開いた口がふさがらず呆気に取られるのみだった。
一方のリンも一瞬呆気に取られたような顔をする。
「ま、まぁ、養女でもええんやけど… えっと… 戸籍ん事は役所でどうにかなる思うし…とりあえずどこにいるかわからんお前の親族が出るまで…って事で…。…それに、お前のことごっつ大事やし。リンさえよければ…」
「…はい。…よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ」
エイジとリンは互いにお辞儀をする中、影月と小神は呆気に取られたままだった。
──事件後の数日後はそれはもう大変でしたよ。
文化祭は事件のせいで中止。ですが周辺住民の熱烈な声、そして実行委員長、職員等と話し合った結果、開催時期は比べてかなり遅めですが今年度二度目の文化祭の開催となりました。
それと今回はあのような事件が起きないよう、私のコネ…ではなく、実行委員らの要請により、警察の方が3人ほど巡回として来てくれる事となりました。
時期にかなりのラグがあり、また季節も肌寒くなって来ているこの時期の外出は気が引けると思いますが我が校の歴史ある文化祭に来て頂けると嬉しいです。
開催は11月の9日、10日です。では、皆様のご参加をお待ちしております。
by実行副委員長
奈須科高等学校 文化祭ブログ(緊急再開) 11月1日付け
リンの入院していた国立大学付属病院の精神科。
エイジは精神科の主任と話をしていた。
「どうもこの度は…」
「あ、いや、こちらこそお世話になりました。で、リンの方は?」
「もうすぐ来ますよ …お、噂をすれば」
入院病棟から出てきたリンは腕に大きな鞄を提げ、保護された時に着ていた奈須科高校の制服を着用していた。
「ほな…行こうか」
「はい」
リンとエイジは近くに止めた車に乗り込み、ゆっくりと発信させる。
「そういえば小神君と影月さんは?」
「二度目の文化祭言うて学校のほう向かってると思うで。…さて、何処に行く?」
「…行きましょう、奈須科高校に」
「前みたいなことがあると思えないか?」
「いいえ… この周辺で事件がおきたという話は聞きませんし、今度は大丈夫だと思います」
「…そうか。なら行き先は奈須科高校に決定や!」
そう言うとエイジはアクセルを蒸かす。
──リン、お前の親族が見つかるかどうかは検討がつかない。もしかするとレンに消された可能性もあるからな…。
だが、わずかの可能性を信じてお前の親族が名乗り出るその日まで…俺はお前を守りたいと思う。この先、どんな事が起こるかはわからないが…これからもよろしく頼む。
To be continued...?
リアルでかなり忙しくかなり急ぎ足の小説となってしまいました…。
というか初めて完結させましたよ、このサイトで小説かいてて(ぇ
この話しはあらすじにもあるとおり最終回です。次は1話を書く予定です…。
これの次に書く私の小説も読んでくれるとありがたいです。
では、ここで失礼とさせていただきます。