第3話 「修羅場! 力が友達にばれちゃった!」
前回までのあらすじ! 都内の学校に通う川口エリカは、元気いっぱいな中学2年生の女の子! しかしある日、彼女は通学路に突如現れたオークに攻撃を受けてしまう! エリカ、一世一代の大ピンチ! そこに乱入してきたのは黒猫の妖精ルシファー! そして彼からヘヴィメタルロッドを渡されたエリカは、ロッドの力で正義の魔法アイドル・デストロイハートに変身! 炎の魔法を駆使して、なんとかオークを倒すのであった!
今日は日曜日! 学校も部活もお休み! 勉強が絶望的に苦手なエリカは、吉澤クルミの家で勉強会をすることにした!
吉澤クルミは彼女のクラスメイトで、幼馴染である! エリカとは対照的に勉強が得意で、クラスの委員長もしているまじめな子だ!
そんなわけでエリカは、クルミの家を目指して、青いリュックを背負い住宅街を歩いていた!
するとリュックがもぞもぞとうごめきだし、中から黒猫がちょこんと顔を出す! そう! ルシファーだ!
エリカの家に居候することになったルシファーは、彼女が外出する時はいつもこのようにしてついてくる!
「ちょっとルシファー!♡ いきなり顔を出さないでよ!♡ 人に見られたらどうするの!♡」
「そうは言っても、ずっとリュックの中だと息がつまってしまうよ」
「だったらついてこなければいいじゃない!♡」
「だって、またいつオークみたいな怪物がエリカの前に現れるか分からないからね! 僕がぴったりとついていないと!」
ちなみに先程、ルシファーはエリカの家に居候していると言ったが、彼女の両親にはルシファーのことは伝えていない! 今はエリカの部屋でこっそりと飼っている状態だ! 翼の生えた黒猫のことなど、親が知ったらきっと面倒なことになるだろう!
無論、エリカがデストロイハートに変身できるということも、誰にも伝えていない!
「とにかく、クルミちゃんの家では絶対にリュックから出てきちゃだめだよ!♡」
「はいはい、わかってるよ」
ルシファーは小さくため息をついた!
数分後! エリカはクルミの家に到着した!
彼女の家は、エリカの住む場所から歩いて10分ほどの位置にある立派な一軒家である!
「ピィィィンポォォォーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
閑静な住宅街に響き渡る奇声!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
エリカは壊れたスピーカーのような大音量で叫びながら、ドア横のチャイムを押す!
「はーい!☆」
そしてガチャリとドアが開き、中から黄色いワンピースに身を包んだ女の子が現れた! 彼女こそがエリカの幼馴染の吉澤クルミである!
「ヤッホークルミちゃん!♡」
「ヤッホー!☆」
にこやかに微笑みながら手を振るクルミ! その容姿は見るからに真面目といった感じだ! つややかな黒髪はツインテールにまとめられており、顔にはメガネを掛けている!
「それじゃあエリカちゃん、早速勉強しようか!!☆☆」
「うん!!♡♡」
というわけで2人は、クルミの部屋に行って勉強を開始!!
そして数分後!!
「うぇ~~~ん、フーリエ級数展開のやり方が分からないよ~~~!!!♡♡♡」
エリカは泣き叫びながらノートをビリビリに破り始めた!
「落ち着いてエリカちゃん!☆ 私の部屋でごみをまき散らさないで!!☆☆」
クルミは眉間にしわを寄せながらエリカをなだめる!
「うーん、でもこんな調子じゃクルミちゃんと同じ高校に行けないよ~……♡」
エリカはシュンとうなだれながら呟いた!
「エリカちゃん……☆ そんなに私のことを思ってくれていたんだね!☆」
思わず感極まってしまうクルミ! 女の子2人の素晴らしき友情である!!
「大丈夫だよ、エリカちゃん!☆ 私がちゃーーんと勉強を教えてあげるからね!☆ 一緒に同じ高校に進学しよ!☆」
クルミはそう言ってメガネをキラリと光らせた!
「クルミちゃん……!♡ ありがとう!♡」
するとその瞬間!!
ドッカーーーーーン!!!!!
クルミ宅から数百メートル離れた場所で、巨大な爆発が起こった!!
「な、なに!?☆」
突然の轟音にびっくりして、腰を抜かすクルミ!
(この爆発……もしかして怪人!?♡ だったら早く向かわないと!♡)
エリカはそばに置いていたリュックを手に掴み、急いで立ち上がった!
「クルミちゃん、私ちょっと様子見てくる!♡」
「ええぇ!?☆ あ、危ないよ!!!☆☆☆」
「心配しないで!♡」
言うが早いか、クルミの部屋を脱兎のごとく飛び出すエリカ!
エリカが爆心地に着くと、そこには身長3メートルの巨大な怪人がいた!
それは直立した犬のような見た目をしており、全身が赤いゴワゴワとした毛に覆われている!
近隣の住民たちはとっくに避難をしたようで、辺りに人の気配はなかった!
「あいつは何!?♡ 狼男!?♡」
するとリュックからルシファーがぴょこんと顔を出して口を開く!
「いや、似てるけど違う! あいつは“コボルト”という魔物だ!」
「こ、コボルト!?♡」
「まあ要するに、2足歩行できる頭のいい犬ってところかな!」
「そっか!♡」
その時! エリカたちの存在に気付いたコボルトが、恐ろしい唸り声を上げながら話しかけてきた!
「グルルルル……ニンゲン……センメツ……」
「どうやら、このコボルトには大した知能はないみたいだね……! エリカ、とっとと片付けよう!」
そう言ってリュックの中からヘヴィメタルロッドを渡してくるルシファー!
「うん、分かった!♡」
エリカはそのロッドをパシリと掴み、天に掲げた!
「ヘヴィメタル・デストロイチェーーンジ!!♡♡」
力強い彼女の言葉に呼応して、ロッド先端の深紅のハートがまばゆく輝き始める!
「グルル!? ナ、ナンダ……?」
コボルトは血走った眼を懸命に見開きながら驚きをあらわにした!
そしてエリカの全身が赤く光り、一瞬にして大変身!!
服はパンクロックめいた黒の革ジャンに変わり、顔には白塗りペイントと黒いハートマーク!
「デストロイハート、参上!♡」
ロッドの先端から激しく炎を噴出させながら叫ぶエリカ……いや、デストロイハート!
だがその瞬間、彼女の背後から声が響いてきた!
「うそ……エリカちゃん……?☆」
「え!?♡」
聞き慣れたその声に、慌ててデストロイハートが振り向くと!
――なんとそこには、目の前で起こっていることが信じられないといった様子で呆然と立ち尽くす、クルミの姿があった!
次回、「驚愕! デストロイスター誕生!」に続く!!!
・さくしゃあとがき
だい3わを よんでくれて ありがとう! こんかいは エリカちゃんが デストロイハートだということが ともだちの クルミちゃんに ばれてしまう おはなしだよ!
ところで、 みんなは エリカちゃんみたいに まちなかで おおごえを あげたりしたら だめだよ! エリカちゃんは みんなの “はんめんきょうし” だからね!