風しぶき
「じゃあお婆ちゃんの家で田んぼの手伝いをしてたんだね」
麻実子に会うのは十数年ぶりだろうか。用水路の土嚢袋を引き上げた帰りで、僕は作業着に軍手という出で立ちだった。
「ああ、連休でここに来る時は力作業をするようにしてるんだ」
「そういえば昔より体格が良くなったね。肌も浅黒いし、最初は誰か分からなかった」
そう言われ、僕は思わず自分の手首と麻実子のほっそりした腕を見比べた。普段も屋外で仕事をするため肌は焼けているが、昔から変わらぬ中肉中背だから麻実子の方が痩せたのだと思う。
立夏の地上は次第に鮮やかさを増しており、道端のあちこちで小さな緑が育っていた。日は傾きかけているが眩しい。
「……八幡宮まで行った時のこと、覚えてるか?」
僕は太陽に手を翳しつつ訊いてみた。
「うん、よく覚えてるよ。お盆ですごく暑かったから」
「あの地図のことも?」
「もちろん」
麻実子は躊躇なく首を縦に振った。当時のことを想起しているのか腰の後ろで両手を結んでいる。
「あの時はひどく怒られた」
「私も。晩御飯抜きにされちゃった」
祖母の家を訪れた際に、麻実子を連れてこっそり遠出したことがある。遅くなったせいで、近くまで帰った時には双方の家族が長い影を連れながら駆け寄ってきたろうか。
「……少し八幡宮まで行ってみないか?」
「いいよ。あの頃みたいに、もう遠くまで行ったって怒られないからね」
そう言いながら、麻実子は少し果敢無げに空中を見つめた。視線の先にはホーベン山という山が構えている。その山容は、突き出た天辺を支えるように肩幅が広い。
最後に麻実子に会ったのが、ホーベン山へと延びる市道を散策した時だ。その市道の先に八幡宮がある。当時はまだカマキリを肩にのせて遊んでいたような年齢だったから、言わば型通りの探検遊びだった。
*
アスファルトの熱が義則の全身を焼いていた。正面を向けば、逃げ水に蒸されるようにのろのろと車が走ってくる。上空の飛行機雲は、熱さから逃れようと素早く空を駆け抜けているようだった。
発端は、とある厄介な地図だった。
「幼稚園はここにあったんだな」
「うん」
「倉庫か、これは」
祖母の家を抜け出してから暫く経つが、依然として太陽が高い。目の中へ幾度も汗が飛び込んでいた義則は、不快さを滲ますような物言いになっていた。義則の持っている地図を麻実子はそっと覗き込む。
八つ切り大の地図は、義則が箪笥の中から見つけたものだ。母が幼稚園の時、誕生日の日に先生から貰ったのだという。地図にはその幼稚園を起点に市道沿いの様子が淡々と描かれ、赤鉛筆で四つほど丸印が振られていた。そこでこの丸印が何を表すのか訊くと、呑気に「忘れちゃった」と返された。
幼稚園はすでに廃園している。今はというと、建設会社の資材置き場になっていた。倉庫の隣で鉄骨が不器用に積まれ、退廃的な錆の臭いが鼻をつく。
「とりあえず、ここへ行こう」
義則は資材置き場から一番近い丸印を指差し、そのまま歩き出した。丸印は、住宅を表しているらしい四角形の中に描かれていて、市道からは少しばかり離れている。
「分かったの」
「いや、行ってみないと何も分からないだろ」
「この辺は、もう新しい家ばっかりだけど」
お前の探し物は過去のものだ、と遠回しにあげつらうような口振りは皮肉に聞こえた。発掘が好きで、毎日スコップで地面を掘って遊んでいるような義則にとって、解読されていない地図というのはまさに浪漫だった。麻実子もそういう売り文句で誘ったのに、当の麻実子がいつものように味気ない顔をするものだから、温度差に苛立ちが募るばかりだ。
「ほら、ここは」
麻実子の案じた通り、歩いた先は新興住宅地だった。
とても三十年前にあった場所とは思えない上、前へ倣えというように林立する家屋には嫌悪感すら覚える。義則は、住宅地のだだっ広い侵入口の前で地図を開いた。
「でも、お地蔵さんはあるなあ」
義則はこれ見よがしに川沿いの地蔵を指差した。地図には所々に目印が描かれていて、几帳面な平仮名で
「おじぞうさん」の文字が記してある。
「ていうことは、インチキじゃないぞ」
何かあるぞと宣言するように地図を掲げた。しかし、麻実子は亡霊のような細い目を俯けたままだ。
「お前、こっちには来たことないのか?」
「ない」
「じゃあもっと先へ行ってみるか」
「……帰れる?」
「うん。この先は古い家が多そうだしな」
麻実子が時間の心配をしていると承知していたが、義則はその気を汲むことなく山あいの方向に一歩踏み出していた。
道の途中、ふいに麻実子が口を開いた。
「なすび」
「え? ……本当だ」
幅員の狭い道路のすぐ脇では小さな畑が散見される。道に立ったままでも茄子の実に手が届くものだから、義則はつやつやした実の表面を撫でてみた。
「怒られたりして」
「誰もいないだろ」
確かに辺りは冬を越せない生き物たちの叫び声で満ちている。義則は余計なお節介に苛立ったが、庭先の方から「おーい」と聞こえた時には思わずびくっと身構えた。
「収穫にはまだ早いよ」
突如現れたのはヘチマのように痩せたお爺さんだった。声が微かにしゃがれている。義則はそそくさと立ち去ろうとしたが、思惑に反して麻実子が動こうとしない。
「おい、行くぞ」
いくら手招きしても、その視線はお爺さんの方を向いたままだった。
「この地図、見て下さい」
「ほう、探し物かな?」
「あいつが探してるんです」
照準を合わせられた義則は、すでに不満を隠しきれずに腕を組んでいた。もしも他人が答えを探り当ててしまえば、新たな発見という名誉が瞬く間に消えてしまう。
「うーん」
ただ、色褪せた紙面を一瞥したお爺さんの顔は俄かに曇った。しわの寄った眉間に汗水が凝集しているのが分かる。
「だいぶ昔の地図だねえ」
「この丸印、何ですか」
お爺さんは鼻をつまみながら暫く考え込んだ。そして不貞腐れた義則の表情を見ると、何を思ったのか僅かに口角を上げた。
「分かんないなあ。今日は暑いから、また次の年にでも捜しに来なさいよ」
そう言うと、お爺さんは家から麦茶を持ってきた。軒先は全開にされ、その奥で真っ白い布団が端正に畳まれているのが見える。
お茶の入ったコップはガラス製で、手に取るとかなり冷たい。両手の指でそっと受け取る麻実子の隣で、義則は滝のように勢いよく中身を空にした。そうして初めて「ごちそうさま」と口を開いた。
義則には物分かりの悪い時がある。それもあって、市道を逆戻りすることはなかった。一度踏ん切りをつけると後先が見えなくなるのだ。だからお爺さんの忠告も麻実子の「怒られるかな」という抑揚のない不安も、制止の材料にはなり得なかった。
ただし、次の地点に辿り着いた頃には焦りの色を見せ始める。
「こっちの丸は、あの青い瓦の家じゃないか?」
「煙突が立ってるとこ?」
「そう、それ」
香ばしい麦茶の余韻を腹の底まで押しやり、義則は思慮を重ねる。二つ目と三つ目の丸印は近接しているものの厄介だった。地図には平仮名で「あかいはし」と記載され、付近の二つの四角の中に丸がしてある。
だが、実際の赤い橋梁の向こうには十数件にものぼる住宅が建っていた。地図からはどこを指しているのか読み取りようがない。あれじゃないかと向かって行っては、麻実子に「何もなさそう」と言われる始末だ。
「あの家全部、最近できたのかな」
「それにしては古いけどな」
丸印の正体は存外分かり辛い。橋の上で途方に暮れている時、義則は初めて後に引けなくなっていることに気付いた。先を行けば真相に行き着く、という信条が揺らげば、立ちどころに全身が痒くなりそうなのだ。今さら麻実子に頭を下げるのも悔しい。
そんな折、麻実子が橋の欄干をそっと握った。
「ホーベン山、きれいね」
義則は思わず彼女の方を見た。麻実子が何かを賛美している。そのことに、周りの物音が聞こえなくなるほどの違和感を覚えた。同時に、いつも生気のない空洞のような目が、不思議と優しく見えた。疲れているのかもしれない。麻実子の瞳に吸い込まれてしまうような感覚に陥った義則は、すぐさまホーベン山の方に目を向けた。「そうだな」と口にしたものの、酷暑の中で一段と涼しげに聳える山容が、ただ遠くに感じられるだけだった。
その後、二人の会話は殆どなくなった。長丁場には酷な勾配が出始め、アスファルトからの熱がじりじりと全身を焦がす。
祖母の家と麻実子の家が隣同士で、年に一度会うか会わないかだったが、義則は学校の女子よりも麻実子に親近感があった。祖母の家へ行くと、塀の向こうからひょっこり顔を出す。無口で何を考えているか分からないが、休みの日だけに会えるような、どこか特別な存在に感じていた。
こうして無意識のうちに数十分が過ぎた。ひとしきり歩を進めると、周辺の様子もがらりと変わる。建物が疎らになり視界が開けた分、単調な水田の風景が現れた。
「あれがお宮かな」
山の麓に沿うように敷かれた道から、神社の鳥居らしきものがお目見えした。麻実子に「よし」と促すと、義則は途端に足取りを軽くする。最後の丸印は神社の中にしてあったのだ。
「父親が、昔は山奥の八幡様へ参りに行ったって」
麻実子に疲れた様子はない。それに少し弾んだ声で「へえ」と返すと、義則は鳥居の下の地面を蹴った。石段をかけ上がると、汗が冷やされて、水しぶきを受けた後のように涼しくなる。
参道の向こうには想像より小さな神殿が構えていた。
義則は息を大きく吸って吐いた。火照った気道が、仁丹を舐めた時のようにすっとなる。その時、言い知れぬ安堵感が体中を支配した。
「なあ、お前の父さん、このお宮のこと何か言ってた?」
「何も」
「……ならいいや」
小さく息を吐いた後、義則は黙って神殿の周りをぐるりと歩いた。そして遅れてついてきた麻実子を杉の木の下で待った。林の向こうから少し橙色を帯びた日が射してきている。
「帰るか」
義則は一瞬だけ渋い顔をした後、ぴしゃりと地図を畳んだ。
「もう」
「帰らないと怒られるぞ」
頭上では数匹のカラスが森の奥へと帰投している。
「分かんなかった」
「ああ」
「来年また来よう」
「もういいだろ、疲れる」
「うん。けど、正月にまた来たいな」
義則は何も返さなかった。木々の間をすり抜ける西日が、不自然にその頬を照らしていた。
*
「全然記憶にないなあ」
麻実子が言った。カーブを抜けるたびに同じことを口にしている。
「あの橋は覚えてるか?」
道外れの小高い川べりに、赤い橋が見える。人差し指を向けると、麻実子は少し前のめりになって、
「あー、確か」と言って二度ほど頷いた。
化粧をして、雰囲気も性格もかなり大人びたが、夕日をずっと見つめているような繊細で優しい目は昔と変わりない。
あの日以来、麻実子と会うことはなかった。その気になれば何度か機会はあったのだろうが、僕は隣家の方を見ないようにしたのだ。親から「マミちゃんと遊ばないの?」と訊かれても、「テレビが面白いから」などと言って誤魔化すようにした。
「実は分かったんだ」
橋が見えなくなったあたりでそう切り出すと、麻実子は「えっ、本当!?」と言って足を止めた。
「あの地図のこと?」
「うん。高校生の時にふと考え直したんだ。まさか話す日が来るとはな」
「高校生の時に、ね」
そこを茶化されるとは思わなかった。僕は一瞬だけむっとしてしまったが、麻実子はそれを察知したようで、すぐに居ずまいを正した。
「結局何だったの?」
「まあ昔から謎解きごっこは好きだったからな……じゃあ推理形式で話そうか」
「えー」
不満げな反応をされたが、茶化された礼としては名案だったと思う。
「まず大事なのは地図が受け渡された背景、だな。母さんが誕生日の日に幼稚園の先生からもらった」
「うん」
僕の気取った口振りがよほど滑稽なものに思えたのか、麻実子は右手を握って口の辺りを押えた。
それでも一方的に喋り倒すのは手前勝手だと思い、僕は暫し辺りを見渡した。マダケの生育地帯ではちょうど五月の連休の時期からタケノコが取れ始めるためか、中年の女性が長靴を履いて竹林に入っていく様子が見て取れる。
「お母さんの誕生日はいつ?」
「ちょうど一昨日のことだよ」
「そうだったんだね。じゃあ、やっぱりお母さんの喜ぶものだったの?」
「まあね。八幡宮へお参りに行くならこの地図をあげる、とでも言われたんだろうな」
紙飛行機を飛ばしてすぐ落下するように、質問と返答が飛び交った。向けられる眼差しは大方真剣だ。
「じゃあ、例えばさっきの赤い橋の近く。あそこには、今でも何かがあったってこと?」
「その質問にはどう答えようかな……実は、今はもうないんだ。だからと言って、全くヒントにならないわけではないけどね」
次第に得意気な口調になっていくのが、自分でも分かった。あまり一人歩きするのも大人げない。だから、「もうすぐ、八幡宮まで行けば分かる」と付け加えた。
「あ……」
そうこう思案していると、麻実子が大仰に口を開いた。
「ペットがいる家だったんじゃない? 子供は動物好きだし」
どうだ、と言わんばかりの甲高い声色だったが答えは違う。やんわり「残念だけど」と伝えると、麻実子はバツの悪そうに表情を萎縮させていった。
山あいの坂道を登りきったのは、それから二十分ほど歩いた頃合いだ。この辺りの水田にはもう水が張られているから、田植えの時期が少し早いらしい。考えあぐねる麻実子の後ろで、太陽の反射光が青魚の群れのようにきらきらと浮かんでいる。
八幡宮が最初に目に入る位置はもうすぐだ。折良く答えを見定めてもらうために、僕は「そろそろ真相を」と告げた。麻実子には一言「どうぞ」と返されたが、表情から察するにご不満らしい。
「実は、自分も最初は家畜やペットのいる家だと思ったんだ。でも、それにしては奇妙な点があって」
「というと?」
「地図を思い出して欲しいんだ。さっきの赤い橋みたいに目印は分かりやすく描かれていたのに、肝心の丸印の場所はすごく曖昧だった。二階建ての家だとか、赤い屋根の家だとかの補足があってもいいのに」
「そういえばそうだね。幼稚園の子に渡したにしては、少し不親切かな」
「うん。そこに行き着いてやっと分かったんだ。あの丸印は明確な場所まで示す必要はない、遠くからでも見えるようなものを表していたって」
その瞬間、麻実子の目の色がからっと晴れていくのを視認できた。同じくして、八幡宮の中で聳えるその答えがお目見えする。
「そうか」
人気のない区域だが、柔らかな風を受けて揺らめいている。
「鯉のぼりだ」
黒、赤、青の三尾とそれから吹き流しが、わずかな風の中を泳いでいて、竹竿の頂点では矢車がくるくると走っている。
麻実子はすっかり表情を緩めた。それにつられて僕も微笑んだ。
「夏に行ったって、分かるはずないのにな」
「本当にね」
「母さんも鯉のぼりは好きって言ってたよ。誕生日と子どもの日が近いから、昔は鯉のぼりが出るとはしゃいでたって」
その後、僕たちはゆったりした足取りで鳥居をくぐった。石段に垂れこむ新緑は実に若々しく、朗らかに僕たちを迎えてくれた。
この宮に着いた時、幼い僕は安堵した。それは丸印の地点に着いたからではない。これ以上先へ進まなくて構わないという、執着からの解放感に満たされていたからだった。
鯉のぼりは玉垣のすぐ内側に立てられていた。 麻実子は背筋を伸ばし、あっけらかんと上空を見つめた。
「最近はあまり見ないものね」
「思い出話としては優秀だったんじゃないかな」
「それと、笑い話ね」
ぼそっと付け加えられたので、僕は苦笑した。
それにしても八幡宮はひっそりしている。足を動かすたびに、砂と石畳の擦れる音がこだました。
「……悪いと思ってたんだ、あの日のこと」
声色を変えてそう伝えると、麻実子は神妙な面持ちで「どうして?」と呟いた。
「思い出すだけで情けない。意固地になって、連れ回した挙句に何も見つけられなかったからな。だから、
顔を合わせ辛くなってそれきりだった」
全て白状した後、僕はゆっくり目を開けた。麻実子はきょとんとしていた。
頬を撫でるように微風が流れ、矢車は秒針のように音を立てる。沈黙を埋めるにしてはずいぶん物足りない。寸刻の後、「そんなこと、思ってたんだ」という間誤付いた一言が流れてきた。
藪から棒すぎたのだろうか。麻実子の言葉の整理を待つ時間は長く感じられた。
「……気にしてないよ。あれからも、ノリ君が来てないかと思って隣を覗いたりしてたから。……でも、いつの間にかそうすることもなくなっちゃって」
まだ何か言いたげだったが、次の一声を遮るように僕は「自分の独り善がりだった」と回顧した。麻実子が気遣うように言葉を選ぶものだから、余計に面目なく思えたのだ。
間髪入れずに僕は「お参りしようか」と申し出た。
そこまで深刻な話をするつもりはない。適度に謝罪したことでひとまず肩の荷は下りた。ほっとした表情を浮かべると、麻実子も緊張が解けたのか、わずかに猫背になった。
礼拝の途中、麻実子は「初詣みたいだね」と囁いた。開け放された拝殿からは木の香りがする。確か「次は正月」と言われたきりだったろうか。そう思うと感慨深いものがある。
「何だかノリ君と遊ぶ時は特別な日って思えてさ。だからあのお盆も楽しかったよ」
「どうやら考えすぎてたようだな。でも、こんな風に変わっちゃったからさ」
僕は両手を広げて言った。その姿勢のまま、くるりと拝殿に背を向ける。しかし、
「そうかな? 昔と変わってなくて、懐かしかった」
最後の礼が終わった麻実子は、くいっと顔を横向けて言った。
思わず苦笑した。変わったつもりでいたが、麻実子にはそう映っていなかったのだろうか。
そしてすぐに安堵した。今も昔も、麻実子は僕の手には負えない存在だったのだろうと、この時ふと気付かされた。
図らずも地表面から風が吹きつけ、僕は胸の中にたくさんの空気が押し寄せてくるような感覚になった。ぎゅっと目を閉じて開けると、その空気は四方八方に打ちあがった。
まだ周囲の気配を伺っているような五月の佇まいは、あの夏の日よりも遥かに平穏に思える。空中では、相変わらず悠然と鯉のぼりが揺らめいていた。