三話 信頼
あ、あらすじです…
あんなに人と話したのは久しぶりでした…。あんなにいっぱい泣いたのも。
by 少女
少女は心の拠り所が無かったのだろう…そして、涙目になりながら男に言った。
「……うっ、ひっく…これからもよろしくお願いします…えっと…」
そういえば男は名乗っていない。これは不味いと思った男は自己紹介をする。
「すまん、自己紹介が遅れた。俺の名はクロノア。クロノア・ゼロだ。といっても、本当の名前は俺にもわからない。これは付けてもらった大切な名前だ。君の名前は?」
男が聞くと、少し恥ずかしそうな態度を取りながらも、自己紹介を初めた。
「ろ、ロロ………ロロ・ミュートです。」
「ロロか、いい名前だ。さあ、風呂を出ようか。」
男につられて、ロロも一緒に風呂から上がった。
何年ぶりだろう…人の温もりを感じたのは…と思いながら。
風呂から上がった二人は、クロノアの部屋に入る。
「そうだロロ、君にこれを渡そうと思って。はいこれ。」
そう言うとクロノアは少し大きめの箱をロロに渡した。少し大きくて、両手で持たないと落としてしまうくらいの大きさだ。
「…………???あ、開けてもいいですか?」
中身が気になったロロは開けてもいいかと、クロノアに聞く。クロノアは軽く頷いた。
「よいしょ、よいしょ…………こ、これはぁ……ふぇ…ぐす…」
ロロがまた泣いてしまったので、自分のセンスが可笑しいのではないかとクロノアは心配になる。しかしその必要は無かった。
中身を、大切そうに抱えていたからだ。
中身は、純白のいかにも高そうなワンピースと、淡い肌色の麦わら帽子、普段着と、少女の服装が一式中に入っており、どれも新品だった。とはいえ普段着は動きやすさを優先しており、どこか戦いに行くような感じの物だったが。
「いえ…私、こんな新しい服は買えなくて、ずっと手の届かないものだったんです。だから、とっても嬉しくて…………私は、これを着てもいいんですか?奴隷…………なんですよ?」
ロロはこんな高級品を着たことも貰ったこともない。その光景を見てクロノアは、ロロの頭を優しく撫でながら言う。
「君は『家族』だ。だから、わがままも言っていい。むしろプレゼントを貰ったのはこっちの方だな。俺が一番欲しかったのは家族だった。まだ、付き人もいなかったしな…」
「く…クロノアさん…………//////」
こんな人が何故奴隷を買ったのか。少しその理由が見えた気がしたと、ロロは思う。
「さあ、夜も遅い。寝ようか。」
しかしロロは暗闇が苦手で、暗闇だとあの頃を思い出すからだ。ロロはクロノアの服を引っ張る。
「一人はやだ…暗闇怖い…………クロノアさん、一緒に寝てもいい…………?」
クロノアは、ロロが震えている事がわかった。一緒に寝ないとロロがどうなるかは分かっていたからだ。それもそのはず、奴隷の仕事は基本夜であり、その時間帯にトラウマを植え付けられる可能性が大きい事くらい、クロノアは知っている。
「ああ。ロロ、おいで」
「…………///////」
ロロは少し恥ずかしそうにクロノアのベッドに入った。
「……ロロ、寒くない?」
「ううん、むしろあったかいです。くっ付いてもいいですか?」
「おいで」
「///////」
(わがままも聞いてくれる……お兄ちゃん、もしかしてお兄ちゃんの言ってた人って、クロノアさんの事だったのかも…)
そして、夜が明けた………………
次回、明日!……………かも…