木の葉と時の渦
つめたい風が頬に吹きすさぶ夕暮れ時
ふわりと前髪に乗った一枚の枯れ葉
手でとらえたそれはもろく
ぱりぱりと崩れて粉になる
秋のしらせがこの町にも舞い降りた
はらりはらりとかなしみひとひら
はらりはらりとよろこびひとひら
それは風にふかれて消えてった
あとに遺されたのはじぶんだけ
あのときもこのときも遺されたのはじぶんだけ
アスファルトの道端にできた落ち葉の塊
それはやがてくるりくるりとまわりはじめた
ちいさなたつまきを見てしばし時を忘れる
まわりつづける木の葉の群
くるりくるり
くるりくるり
めぐりめぐる時の渦
あのときのわたしたち
今日のじぶん
あの日の家族
今日のじぶん
あしたのじぶん
あさってのじぶん
あの日にはもうもどれない
みんなこの葉たちのようにもろくはかなく消えてった
時の渦の中に消えてった
お読みいただきありがとうございました。いかがだったでしょうか。…なにか伝われば幸いです。