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気が付いたら立って夜空を眺めていた。
辺り一面星の海。
沢山の星が輝き、光っている。
その光景を見ると自分の心が安らいでいく。
流奈は今ここに来る前の、神と名乗る老人とのやりとりを思い出し異世界に来たのだと解った。
流奈はこのまま星空を眺めていたかったが、ここでジッとしてても何も変わらないと判断し、移動するために前を見た。
「…………」
…………前方に、星空が広がっていた……
「……………どゆこと?」
前を見て……星空
後ろを見ても……星空
右を見ても、左を見ても……星空
前後左右どこを見ても星空が広がっている。
さすがにおかしいと思い、下を見た。
青いキレイな惑星があった。
いや、表現が違う。
青いキレイな惑星に乗っていた(・・・・・)
流奈の身長の7/10ほどの直径の、流奈の身長よりも小さな惑星に乗っていた。
流奈はサイズに混乱する。
決してこの惑星が小さい訳じゃない。
流奈が何故か巨大化していたのだ。
どれほど自分が大きのか解らないほど今の流奈は巨大で強大だった。
流奈は混乱する頭を落ち着かせる為に腰を下ろした………
――――――――――
魔王城の中は今、騒然としていた。
空が光ったと思ったら、巨大な女が立っていたのだ。町に居る国民は家から家族揃って様子を見に外へ行き
領主は馬を止めて窓から空を見上げ
城内はいろいろな役職のひとが行き来する。
国中がパニックになっていた。
国中の魔族が見守るなか、城では防御結界の展開が行われていた。
「魔王様、準備が出来ました」
魔術師が君主に報告する。
それを聞いた君主『魔王』は徐に玉座から立ち上がり、目の前の魔法陣へ歩いて行く。
魔法陣の前に立った魔王は、目の前に広がる魔法陣に手をかざし魔力を注ぐ。
「「「「「おおぉ…」」」」」
その膨大な魔力に周りの魔術師達は感激の声を上げる。
魔法陣に魔力を注ぎ終わると魔王は玉座に座る。
魔王が玉座に座るのと同時に魔法陣が強い光を放ち、魔法陣はみるみる広がり街中を覆い尽くした。
城下町を覆い尽くす金色のドーム。
街中至る所から歓声が上がる。
「魔王様の結界だ!」
「これで何も敵じゃない!」
至る所から上がる感激の声
すると、結界を待っていたといわんばかりのタイミングで流奈が動き出し、腰を下ろし始めた。
街中から挑発の声が至る所からしていたが、巨大な尻が近づくにつれて街中からしていた声が消えていった。
平民や領主、魔術師や魔王までもが………気づいてしまったのだ。
その強大さに。
魔族大陸を覆い尽くす巨大な尻に大陸中でパニックにが起きる。
その巨大な流奈の尻は魔王の結界にさしかかったが、流奈の巨大な尻に、シャボン玉のように木っ端微塵に破壊され、魔王はそれを見ているだけしか出来なかった。
流奈の巨大な尻は音速を超える速さで落下し、
ドコォォォォォォォン!!!!!!!!!
城を、百を超える街を、千を超える村を、億を超える人々を動植物を、沢山の命をのせた大陸を、押しつぶし粉々にしてマントル層まで沈める。
千を、億を超える人々を自分の尻の下敷きにし、大虐殺をした流奈は、自分のしたことに全く気付いてなかった……………