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最強暗殺者、聖女に詰められ短足猫になる  作者:
第2部-焔牙騎士滅亡
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対話-バッグの中と膝の上

飼い主たちがベンチに腰を下ろし、世間話に花を咲かせ始めると、僕たちはようやく地面へと降ろされた。


「にゃあ……(ティル、なぜ君までその姿に……。あの城門を砕く『大虎徹』はどうしたんだ。重すぎて持ち上がらないのか)」


僕は短い前足で自分の顔を洗いながら、目の前のチワワを憐れみの目で見つめた。


「キャン! キャンキャン!(うるせえ! 気づいたらこのハンドバッグの中だ! あの大刀は、あの眼鏡の女が『危険物所持および不法武装』とか抜かして没収しやがった! ……それよりルウ、その飼い主は何者なんだ? 俺の覇気を一瞬で無力化しやがったぞ)」


「にゃ(アイリス姉さんは……僕たちの、力だけを信じてきた『正義』を根底から折る力を持っているんだ。暴力で勝てても、彼女の正論には、一ミリも勝てない)」


ティルはチワワ特有の震えを止めようと踏ん張っていたが、ルンさんがこちらを一瞥しただけで「ヒンッ」と情けない声を上げて僕の後ろに隠れた。


「にゃあ……(いつか人間に戻れたら、君とまた手合わせをしたいものだ。どれだけ強くなったか、剣を交えたいよ。この屈辱の分までね)」


「キャンキャン!(ああ、次は負けねえ。この『お座り』と『待て』を強要された屈辱、100倍にして返してやる。……まずは、この首の真っ赤なリボンを外すところからだ)」


傍目には、白くて丸いマンチカンと、赤斑の可愛いチワワが鼻を寄せ合い、仲睦まじくじゃれ合っている光景だ。通りすがりの女性たちが「キャー、可愛い!」と騒いでいるが、その内側では、世界を二分した暗殺集団のリーダー同士が、生存戦略と雪辱を誓い合う血生臭い密談が交わされていたのである。


僕はふと、自分の中に残っている微かな魔力を振り絞った。

この街の各地で、かき氷を削り、おむつを替え、ドブ掃除に励んでいる元『白爪(ホワイトクロー)』のメンバーたちへ、かつてのリーダーとしての念話を送る。


(『白爪』のみんな、聞こえるか。……僕は今、かつての宿敵と再会した。……彼もまた、チワワという名の檻に閉じ込められている。……僕は、一刻も早く人間に戻りたい。このままじゃ、僕の誇りが毛玉と一緒に吐き出されてしまいそうだ。みんな、強く生きてくれ……)


その瞬間、街の至る所で「異変」が起きた。


孤児院でシーツを洗っていたボーンは、念話を受け取った衝撃で雑巾を絞り切った。

「……リーダー。あの『赤雷』までもが、四つ足に……」

氷菓子屋でかき氷を作っていたニヴェは、あまりの悲痛さに、シロップをかける手が震えた。


彼らの願いは一つ。かつての威厳を取り戻し、闇の王として君臨すること。

しかし、背後から迫る「アイリス姉さんの追加の説教」と「ルンさんの修正申告書」という名の、物理法則を超越した絶対防御を突破できる日は、まだ遥か彼方の空の向こうにあるようだった。


「ルウくん、ティルちゃんと仲良くなれたみたいね。……あら、お目々が潤んでる。そんなに嬉しかったの?」


アイリス姉さんが僕を抱き上げ、頬ずりをする。

僕はただ、天を仰いで「にゃあ」と情けなく鳴くことしかできなかった。


アイリス姉さんに抱きしめられ、ふかふかのクッションで眠る日々。それは、血の臭いにまみれた僕の半生には、あまりにも眩しすぎる「毒」だった。このままでは、僕の魂はマンチカンの毛皮の中に溶けて消えてしまう。


だが、「轟く赤雷」ことティルとの再会が、僕の心の奥底に眠っていた「狼」を呼び覚ました。

あいつのあの情けないチワワ姿を笑ったが、僕だってどんぐりの背比べだ。僕たちは、愛玩動物として一生を終えるために怪物になったわけじゃない。


後に僕たちは、最強の二人が飼い主の支配から脱するために企てた、史上最大の「偽装工作」を始めようとする。

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