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プロローグ
バン! と大げさな音が礼拝堂に響く。
結婚式とかいうクソみたいな茶番はちょうど誓いのキスのところだったらしく、ヴェールを持ったまま驚いた顔でこっちを見るセンリと目があった。
お姫さまの顔はここからじゃよく見えないけど、王太子殿下のお相手にふさわしく、さぞかし高貴で美しい人なんだろう。
それがなんだ……いったい、そんな女がなんだっていうんだ。
センリの優しいところも、クソなところも、情けないところも、気持ちいいところだって、絶対あたしの方が知ってる。
センリの相手はあたしだ、あたしだけだ。
あたしは大きく息を吸うと、叫んだ。
「その結婚、待った!」