プールサイドの女神達
とある夏の日、プールに来ていた俺は男の子4人組を見かけた。女の子について話しているようだ。高校生だろうか、まさに青春真っ盛りの話題だ。
「さくらちゃんの水着姿楽しみだなあ。和彦もそう思うだろ?」
「まあ、そうだな」
「なんだよ、ノリ悪いな。彼氏の余裕って奴か?」
「そんなんじゃねえよ、大南」
ほう、あの男の子の彼女なのか。これは興味が湧くな。
「ところで和彦、なのはちゃんも良いと思わないか?」
「……確かに違った魅力があるな、丈治」
「だろ? 前のデートもそうだったもんな、お淑やかなさくらちゃんと違って元気一杯だ」
……おいおい、二股か? 誠実そうな顔して、とんでもないプレイボーイだな。
「和彦、俺としては、はるちゃんも捨てがたいと思うぞ」
「……包容力があるって言いたいのか、時雄」
「だな。前に一緒に出掛けた時も、甘えてみたんだろ?」
まてまて、三股とかお前はギャルゲーの主人公か? ここは二次元じゃないんだぞ。
「……上も下もないよ。みんな大切にするさ」
……これは注意した方が良いだろうなあ。俺は彼らの所に行こうとしたが、横から来た人にぶつかってしまった。
「きゃっ!!」
「す、すまん」
「いえ、私の不注意ですから」
高校生くらいだろうか、白いビキニが似合うとても可愛い子だ。
「あの、失礼ですがお名前は?」
「えっと……さくら、ですけど」
おそらく、この子があの男の子の彼女だろう。伝えなくてはいけない、か。
「実はですね」
「はい」
「って、あれ?」
ふとタオルが落ちているのを見つけた。名前が書いてあるな、【桜菜花】……?
「……これ、君の名前?」
「はい、桜菜花です」
「……さっき、あそこの男の子達が、さくらちゃんとか、なのはちゃんとか、はるちゃんとか呼んでたけど」
「あー、全部私のことですね。私、花言葉が好きなんで、桜ちゃんって呼ばれると淑やかに、菜花ちゃんって呼ばれると元気一杯にしたくなるんですよ」
「はるちゃんは?」
「桜も菜花も春のモノなんで、あだ名が春なんです。春って穏やかですから、デート中にそう呼ばれると甘えさせたくなるんです」
……何だか頭が痛くなってきた。つまり、全部俺の勘違いだったってことか。
「ごめん、邪魔した。早く彼氏の所に行ってあげな」
「あ、はい。おーい、和彦くーん!!」
その後、彼女の友達らしき女の子が3人合流した。要は大勢で遊びに来ただけか。それじゃ、バカップルと愉快な仲間達を見守りながら俺は泳ぐとしますか。
読んで下さり、ありがとうございました。
「ややこしいな、おい」とクスッと笑ってくださったなら幸いです。
ちなみに、実はヒントも出してあります。男の子4人組の名前の語尾を並び替えてみてください。