転生 Ⅱ
暇な限り、投稿を続けます。
身体が熱くなる。生きているという感覚が戻ってきたようだ。視界がはっきりしてくると、自分が荒野にいることに気づいた。見た目は前世と同じ姿で、もしかしたらなんて希望は砕かれた。だが内面は、前世と真逆である社交的かつ率先的な方をしてやると決めた。人付き合いが苦手な自分を変えたいと強く思うからだ。
見たことの無いく植物や生物が広がる様子は異世界と呼ぶにふさわしいものであった。とりあえず町を目指そうと進むと馬車が見えたので話しかけることにした。
「随分見慣れない服装だな。旅の人かい?」
御者は年寄りの男だった。
「はい、そんな所です。村か町を探してて」
「それなら乗ってけ、イエスタデイに丁度に寄るとこだ」
彼は野菜や果物を運んでいた最中らしく、俺は有難くイエスタデイいう交易が盛んな街へ向かうことになった。
【異世界語】を習得しました。
【コミュ力】がLv2になりました。
「な、何だ?!」
「どーしたんだ、兄ちゃん!?」
「いえ、なんでも」
突然、目の前に現れたログは御者には見えていないらしく、そこには自分のスキルや能力値などが管理されていた。運がいいことに前世RPGゲームと仕様が似ていたことから理解が早かった。
【攻撃】56
【防御】71
【HP】456
【MP】65、、、
ユニークスキル【無】
無?ちょっと待てよ、、、。俺のユニークスキルは無しってこのなのかな。いや、案外無個性なのが個性みたいな感じか?正味そこまで期待はしていなかった。
「着いたぞ」
御者はら巨大な門の前で馬車を停車させると、門番に通行証を渡して奥へ進んだ。
俺は御者にお礼を言い、立ち去ろうとすると呼び止められてハッとしたり
「なにか忘れてねぇか?」
「もしかしてお金、、、ですか?」
「今回は輸送ついでなん大銅貨1枚でいいだろう」
しまった。手元にあるのは死ぬ前に所持していた前世の通貨にスマホ、筆記用具などで異世界で使えるものなど持ち合わせているはずもなかった。
「Pa○Pa○やってますか?」
「そんなの聞いた事ねぇな。払えないんならこの街のギルドに行って稼いでこい。俺はここで1泊するからよ」
「ギルドって何ですか?」
「要は依頼をこなすと報酬が貰える就業施設だな。詳しい事は受付の人に聞いてこい。場所はーー」
俺はやむを得ず、ギルドへ向かうことにした。非常にRPGと似た世界であるため、馴染むのはそう時間はかからなかった。
街の中心にあるレンガで出来た大きな建物こそがギルドであった。中に入ると正面に受付の女性が1人、内装は机と椅子が多く並べられており、人が不在のカウンターには調理器具や酒のようなものが置いてあった。夜は居酒屋として営業しているらしい。周りは人々達で賑わっていた。
「こんにちは、どのようなご要件ですか?」
受付に立った俺に、30くらいで銀行員のようなスーツを着た女性が話しかけてくる。
「仕事をください。ギルドは初めてなので出来れば初心者にもこなせるような」
彼女は少し困ったような表情で返す。
「申し訳ありません。今日は冒険者の数が多くランク1、初級者向けのクエストは定員がオーバーしていまして受注は出来ません」
しかし、俺はあきらめが悪く店の掲示板に張り出してあった少し大きめな1枚の紙を見逃さなかった。
「この任務ってまだ受けられますか?どうしてもお金を稼がなくては行けなくて、、、」
「そちらは、B級クエストになっておりますので受注禁止となっております。もしも上級者ギルドのパーティに入ることが出来れば可能性ではありますが」
「分かりました。そのパーティとやらを集めて来れば受けさせて貰えますね」
「歓迎させていただきます」
俺は早速ギルドの客にパーティへの勧誘を誘って見ることにした。期限の今日までに何とか金を集めなければと思い焦っていた。
と言ってもリアルでもそこまで人と関わってこなかったの俺は転生したところでクソ雑魚陰キャコミュ障であることに変わりはない。とりあえず、隅のテーブルに座っていた物静かそうな少年に話しかけることにした。
「すみません、パーティメンバーを探しているんですがもし良ければ俺と組みませんか?」
「それは残念ね、私はもうパーティを組んでいるの」
白いローブを着た少年だと思っていた人物はフードを取ると、整った顔立ちをした少女であった。
「お、女?!」
つかの間、俺は野球の豪速球のような拳をもらった。
「女でも油断していると痛い見目を見るのよ。分かった?」
「なんか悪いことしたかよ?!」
「乙女は繊細なのよ。さよなら駆け出し冒険者さん」
そう言うと受付を済ませてきた彼女の仲間たちがダンジョンへ向かって行った。
畜生、覚えていろよ。今度あったらタダじゃ済まないからな。
「パーティメンバーをお探しですかー?」
そこには愉快な格好をした、スタイルのいい女1人、ガタイのいい男とやせ細った男がいた。
「あなた方は、一体?」
「私はアリア、顔と性格は世界一を誇る絶世の美女!」
「おいらはビスケット、パワーなら自信があるぞ!気軽にビスって呼んでくれ」
「私は作戦指揮官のチョモランマと申す。仲間をお探しと見たが、困った時はお互い様ですぞ」
彼らは、ストナーというチームを名乗った。先程のB級者クエストでの仲間を募集しているらしい。
俺は喜んで彼らの誘いに乗った。後に起こる悲劇など想像もせずに、、、。
【仲間】Lv3
「どんな職業になされますか?」
ギルドの受付に依頼を受けに行った俺は、冒険登録の手続きをすることになった。
「僕ギルド自体初めてで、最初はどんなのが扱いやすいですか?」
「初心者の方は、ブレイダーやアーチャーなどシンプルな武器から入るのがおすすめです。魔法が得意でしたらウィザードはどうでしょう」
【魔法】適正なし
魔法は無理だな。
俺は、前世で剣道部に入っていたのでブレイダーを選んだ。そしてアリアから金を借りて日本刀のような武器をレンタルした。
「それではB級クエスト「突如現れた人食い魔獣の討伐」に行ってらっしゃいませ!」
クエストの内容はその言われの通り、ダールディの森に突然現れた魔獣を討伐してくれというものだった。そいつは巨大かつ俊敏であるが故に姿をまともに捉えたものはおらず、その周辺の生態系を荒し回るという何とも害悪な奴である。
「また会ったな、兄ちゃん!」
森へと向かう俺たちに気づいた先程の馬車の業者が声をかけてきた。どうやら彼も昔、冒険者をやっていたらしく僕の冒険者人生に期待して無料で目的地まで送ってくれると言った。
「俺も昔は赤剣のゴードンなんて言われたもんだ」
「せせせ、せっ、赤剣のゴードンですと!?」
「師匠!?」
「これは奇遇だねぇ」
ストナーの全員が動揺した。聞くにストナーは20年ほど前に元々ゴードンが作った組織で当時は3人組のやんちゃぶりに手を焼いていたらしい。とはいえ4人とも久々の再開なだけに嬉しそうだった。
「お前らは色々貸しがあるから、乗車賃も含めて払ってもらうぞ」
「一体、何の事だい?」
「何のことでしょうねぇ?」
「んだな」
「アリアは酒代金貨2枚、チョモは趣味のの研究費大銀貨5枚、ビスは飯代銀貨3枚。場合によってはここで締めてもいいんだぜ」
「何を今更!そんなのもう時効に決まっているじゃないか!」
「姉貴、ここは諦めて払ってしまった方が最前かと、、、」
「お前は黙ってな、チョモ!そうね、ここはストナー全員の連帯責任として1人1人均等に支払いなさい!」
「それは不平等ですぞ」
「そうだぞ!」
「何だって!?」
俺は、パーティ運最悪を引いてしまったのではないかと後悔した。