転生 Ⅰ
私は、ロボットではありません
冬の曇り空の下を歩いている。高校の授業が終わり下校している所だ。
俺の名前は山本太郎。18歳、彼女はナシ、家族は父と母だけ、将来の夢もなくとりあえず入った学校では、持ち前の責任感と真面目さを買われ風紀委員の副委員長をしている。正味、乗り気ではないのだが、頼まれると断れない正確なのだ。
友人は1人のみ、誰かと関わるのは得意でなないがそんな性格をコンプレックスとしてみている。
「生まれ変わったら真逆の人生を送ってみたいな」
並行して歩いていた友人がポツリと漏らした独り言につっ込む。
「何難しいこと言ってんだよ。それよりテストどうだった?」
「まあまあだよ。そういうお前は人の事気にする余裕があるのか?」
「うっ、悪い俺、明日補習あるから教えてくれよ、ジュース奢るから」
「はいはい」
「助かるわー。後これな、水沢がお前に渡しとけって。じゃあまたお前ん家で」
そう言って彼は一通の手紙を渡した後、颯爽と帰っていった。
水沢、確か同じクラスの女子だっかたか。物静かであまり話したことはなく、それ以上のことは知らない。
まさか、ラブなレターなんてことは無いだろうか。俺は胸の高鳴りを感じた。
思い切って一件なんの変哲もない手紙の封を切ろうとした直後、後ろから男性の悲鳴が聞こえた。
驚いて、振り向くとパトカーに追われている車が見えた。速度違反で追われているようだ。その先には横断歩道を渡ろうとしていた子供がいた。
このままだと間違えなく子供は引かれるだろう。
距離にして3m、、、周りには俺以外なしか
気づくと、子供に向かって走り出していた。無自覚に。子供を傷つけないように歩道まで押し出すと同時に意識が飛んだ。
しばらくすると、自分が道路の真ん中で倒れていたことに気づいた。子供を助けたがいいものの車の衝突を食らってしまったようだ。
再び意識が薄れていく、身体の力は既に入ることはなかった。
父さん、母さん、友人、今まで出会った人物が走馬灯の如く脳内を駆け巡る。そういえば、手紙の内容はなんだったのだろう。
最後の力を振り絞りポケットから出すしたそれは血が一面に染み付いていて、読むことは不可能だろう。
「ついてないなぁ」
不思議なことに心の中に絶望や後悔はなかった。歩道で心配そうに見つめてくる子供に「大丈夫だよ」と言わんばかりに笑顔で見つめ返す。
やがて意識は消滅し、永遠の暗闇の中へ沈んでいった。
、、くん、、、やまもとくん。
透き通った声が静寂をかき消す。
うるさいなぁ、人がせっかく気持ちよく寝ているというのに。
「山本君!」
目が覚めると、白い布を身にまとった潔白な雰囲気の女性がいた。驚くことに俺は彼女のことを知っている。
「水沢、、、?」
服装や雰囲気が多少違えど間違いなくクラスメイトの水沢香織だった。
「水沢、、、?」
服装や雰囲気が多少違えど彼女は間違いなくクラスメイトの水沢香織だった。
「いえ、水沢香織は現世の名。この亜空間「クロニクル」では女神クロノスとして世界を管理しております」
異空間?お伽噺かよ。
車に跳ねられたショックで頭がおかしくなってしまったのではないかと疑った。
「俺は、死んだ、、のか?」
「残念ながら。しかし、あなたはこれから異世界へ転生して魔王を倒して頂きます」
「何だって?」
「この宇宙には並行世界が3つ、あなたが生まれた地球、女神が住まう世界クロニクル、そしてもうひとつ生命が住む星があります」
「もうひとつの星?」
「それが異世界なのです。それらの世界はお互いに干渉しています。しかし、異世界に魔王が現れたことによってバランスが崩れたのです」
「女神様が直々に魔王とやらを粛正すればいいのでは?」
「残念ながら私たちは世界に干渉は出来ないのです」
「そうでしたか」
「ですが、無料でとはいいません。もし魔王を倒せたならば願いを一つ叶えてあげましょう」
「嫌だと言ったら?」
「女神法第1条、女神に従わなかった者は魂ごと消滅し以後転生の権利を剥奪す」
「分かりました」
俺は、お手上げと言わんばかりに両手を左右に広げて承諾した。
ブゥゥン!
「女神クロノス、何をモタモタしているのですか?次の仕事があるので早急に彼を転生させなさい」
急にライブの演出のような電子音が流れたと思うと、一見女神の上司かと思われる容姿の女性が小さめのモニターから現れた。
「申し訳ございません!只今転生させますので!」
そう言うと、クロノスは上司からの連絡を切り転生の為の作業を始めた。
「てか女神様なら大抵の事はできるんですかね?」
「勘違いしているかもしれないですが、平女神私に大それた権限なんてないですよ。昇級試験だって何度も受けているのにダメだし、、、」
彼女は急いでいるからか、早口で返答した。これから転生する者にもう少し詳しい説明はないのだろうか?
「女神っていうのも色々大変なんすね」
「はい、生活費かかってるんで。承認完了しました。後、10秒で転送します」
俺はこれから第2の人生が始まるとする未知に胸が高なった。
「3、2、1、リーインカーネイション!良き2週目を!」
突然、目の前が真っ白になると再び意識が遠のいた。
I am not a robot.