第5話 最初の試練
シアン達の案内のもと、ソフィーは鳥や蛇の形をした不思議なものや、光の精霊に出会いながら、不思議な道を進み、特別な門の前までたどり着く。その門からはソフィーしか進めず、シアンは魔法をかけ、念話でサポートすることになる。ソフィーは門をくぐると青い光に包まれ、試練の世界に旅立つ。
先程いた場所とは違い、肌寒く、ソフィーの体に鳥肌ができるのに時間はかからなかった。
ソフィーは恐怖で、その場に立ちすくんでしまい、もうすぐで、大粒の涙が流れ始める寸前に耳元からシアンの
優しい声が鳴り響いた。
「ソフィー、声は聞こえるかい」
ソフィーはその声を聞いて、赤くなった鼻をすすった。
「シアン、あのね、ソフィーの目ねおかしくなったの。どこみても真っ暗なの」
真っ暗。今回は前回と違うのか。いや違うもしかして。
「ソフィー落ち着いて聞いての、手足や体はいつも通り動くかい?」
ソフィーはシアンの言われたように身体を動かしてみた。特に問題は感じないらしい。
「大丈夫」
ソフィーはシアンの声で、落ち着きを取り戻しながらも、未だ不安そうに答えた。
「ソフィー、目をつぶって、見るようにするのをやめてごらん。」
ソフィーはシアンの言われたように、目をゆっくり閉じて、見るのをやめた。
真っ暗だったソフィーの視界は、瞬く間に、不思議なわくわくを感じさせる世界が
視界中に広がった。
ソフィーが座り込んでいる青い石板の床の左右にはたんぽぽの綿毛のような綿毛雪が空を舞っていた。
綿毛雪が地上に到達すると、綿毛雪は地上に咲いている結晶花に変化していった。
「シアン、見えるようになった。お花が沢山いっぱいあるの」
今回は目か。でもそれなら、この試練は都合がいい。
そう安堵するシアン。そして、シアンは何かを思い出しながら、その悲しみを抑えながら、
ソフィーがお花畑にいく前に、シアンはソフィに説明をしだした。
「ソフィー、そのお花畑にいくと、もう僕たちと二度と会えなくなる。だから決してそのお花畑と、その綿毛雪には触らないで。」
ソフィーは、シアンの言うことを聞いたら、真っ暗な世界から抜け出すことができたので、
今回は素直にシアンの言うことを聞いてみようと考えていた。
「ソフィーどこかに、丸い青い石はない?」
ソフィーはキョロキョロしながら、足元に転がっている、
りんごよりひと回り小さい、青く輝くルビィーの石をみつけた。
「この冷たい石?」
シアンはすぐに触るとは思っていなかったようで、隣で話を聞いていたルナのしっぽで
シアンの頭をポンポンされていた。
「シアン、その石を壊さないように、そっと床に戻せるかな?さっきルナから貰った葉っぱを出せるかな」
ソフィーは床に石を置くと、ポケットの中にいれていた葉鳥の羽を床に並べた。
「その葉を手のひらに載せて」
ソフィーが手のひらに載せ終わった後、シアンが呪文を唱えると、
手には緑の手袋が姿を現した。
「もう触って大丈夫だよ。その石は大切な石だから、ずっと持っているんだよ。目の前の道はみえるかい?」
ソフィーは立ち上がり、先の道をみると少しくねくねしていた。
上から見ればSの形をしていているのだが、ソフィーの背丈ではそれに気付くことができなかった。