第3話 シアンとルナ
好奇心旺盛な少女、ソフィーは魅惑のエンポリアムという店で神秘的な木製の扉を見つけた。
その扉が気になって店を何度も訪れるも、扉は閉まっていた。数ヶ月後、扉が開いたとき、扉が生きているような音がしていた。扉を開けると、ソフィーは魔法の世界に入った。目の前には猫やドラゴン、色とりどりの光が煌めいていた。扉が閉まってしまい、青いドラゴンがソフィーの耳に不思議な呪文を唱えると、彼らの声は聞こえるようになった。
「君の入った扉は、本来知らない人には、開かないようになっているんだ。
でも、扉は開いてしまった。」
ドラゴンは少し罰が悪そうな顔をした。
白い猫がピョン! とソフィの頭に飛び乗り、少し早口な声で話し始めた。
「私が戻って!! と言ったのに、あなたはこちらの世界にきてしまったのよ。」
ソフィーは一度首を少し傾げたあと、
「ソフィーはこの扉の世界に憧れていたの。」
と目をキラキラさせながら、しゃがみ込んで、ドラゴンの顔を覗き込み、
ソフィの頭の上の猫を目でみつめた。
ふぅー。 っと大きな息をドラゴンが吐き出した。
「君はこの世界を知らなすぎる」
ソフィの頭にいる猫が、少しいらついた口調で、
「きっと、ロフのせいだわ。あれほど厳重に管理しろと言ったのに。
彼は一体どこで何してるのだか」
ソフィーの目の前にある、もふもふのしっぽをソフィーはぎゅっと掴んだ。
全身びくびくっと体が震え、ソフィの頭から飛び降りた。
「で、あなたはこの世界で何がしたいの?」
と、少し怒った顔でソフィに話しかけた。
「ソフィはね、この世界を回ってみたいの。あのふわふわしているのもね追いかけてみたいし、
あの下に見えるお水のとこにも行ってみたいの」
そう言って、ソフィは下に見える世界を指さした。
「いずれにしても、この子は、世界を見なくてはならない。僕たちと同じ道を歩むとはまだ決まっていないのだから」
そう白い猫に言うと、猫は呆れた顔をしてソフィーに言った。
「私の名前は、ルナ、そしてあの青鳥が、シアンね、あなたの名前は?」
「だから、青鳥じゃなくて、ドラゴンだから」
シアンは、ルナと話すときだけ、少し子供っぽくみえた。
その二人をみながらソフィーはふふっ。 と笑い、
「わたし、ソフィー、ルナ、シアンよろしくね」
そう言って二人の手を握った。