第2話 扉の向こう側
好奇心旺盛な少女、ソフィーが「魅惑のエンポリアム」という店を訪れ、魔法のアイテムでいっぱいの中で、
神秘的な木製のドアをみつける。
店主から扉の奥に大切なものがあることを伝えられたソフィーは、その扉を開けることができずに家に帰った。
ソフィーはあれからあの扉のことがずっと頭から離れなかった。
次の日も「魅惑のエンポリアム」に行ったが、店の前には、古びた木の札に、
(CLOSED)と書かれていて、お店は開いてなかった。
次の日も次の日も、ソフィーは店を訪れたが、ずっと閉まっていた。
ソフィーはお店の空き具合を確認することが、ここ最近の日課になっていた。
あれから1ヶ月、ソフィーの日課の店にいくと、その日は(CLOSED)の立て札がなく、
お店の扉は開いていた。
ソフィーは嬉しかった。今すぐにでも「きゃーっ」と叫んで、町中を走り回りたいくらいに、
ソフィーはこの共感を誰かに話したかった。
店の中は前回と来た時とは少し様子が違った。あの大きなメガネをかけたフレンドリーの
店主がいなかったせいなのか、それとも、店内にある魔法の商品が動いていないからなのか、
ソフィーは直感で、扉のせいだと感じていた。
扉は生きてるように、心臓のような音がして、鎮まりきった店内に響き渡っていた。
ソフィーはその音に段々近づき、やがて扉の前に立った。
扉の丸いドアノブに手をかけると、その鳴り響いた音は突然止まり、
「カチッ」と何かがはまったような音がした。
そして、ソフィは念願の扉が、ゆっくりと開いていく。
真っ白の眩しい光が目をかすめて、ゆっくりと目を開くと、
目に映るものは、ソフィーが描いていた、魔法の世界そのものだった。
おしゃべりな白い小太りな猫、その話を聞いている大人しめな小さな青いドラゴン、
青、赤、黄色、緑の、小さな玉があちこち飛び回っていた。
ソフィーの足元は、大きな葉っぱの上で、猫とドラゴンはソフィーを見ると、
驚きの顔をみせた。
「●☆●☆●☆●☆●☆」
白い猫は、ソフィーに向かって、必死に叫んでいた。
でもソフィーはその言葉の意味がわからず、完全に扉の外をでると、
扉は勢いよく閉まって消えてしまった。
白い猫と青いドラゴンは、頭をかかえて、二人で何かを話していた。
小さな青いドラゴンが、ソフィの肩によると、
ソフィーの耳に近づき、不思議な呪文を唱えていた。
青いドラゴンはソフィの耳に向かい
「これで聞こえるかい?」
と確認すると、ソフィの肩から羽をパタパタさせて、
ソフィの足元に近くに移動した。