ニンニクちゃんがバグった!
「お電話ありがとうございます、しょうもないもの株式会社のニンニクでございます」
今日も1日が始まるぞい!
「お電話ありがとうございます、しょうもないもの株式会社のニンニクでございます」
あ、練習してただけか。まだ始まってないみたいです。すんません。
「お電話ありがとうございます、しょうもないもの株式会社のニンニクでございます」
熱心だなぁ。さすがニンニクちゃんだよ。
プルルルルル プルルルルル
あ、早速電話だ!
「お電話ありがとうございます、しょうもないもの株式会社のニンニクでございます」
『この前買ったおたくのコーンスープ、なんであんなに黒いのよ!』
「お電話ありがとうございます、しょうもないもの株式会社のニンニクでございます」
ん?
『あんたさっきから何言ってんのよ、ちゃんと話聞きなさいよ!』
「お電話ありがとうございます、しょうもないもの株式会社のニンニクでございます」
もしかしてバグってる?
今日湿気すごいからなぁ。仕方ないか。そんな日もあるよな。
『同じことばっかり言ってないで私の話を聞きなさいよ! いい加減にしないと怒るわよ!』
「唐揚げから抜けた水分がどこへ行くか、お前は知っているか」
『は? そのへんの空気に水蒸気として合流するんじゃないの?』
「お前んちだよ!!!!」
今日のニンニクちゃんヤバいかも⋯⋯
『客に対してお前って、なんだその態度はー!』
それはいつものことなんだよなぁ。
「すごくツルツルな草むらがあったとします」
あるわけないだろ。
「そこに毛虫を放るとどうなるか分かりますか?」
『ツルツルだから滑るんじゃないの? 草むらの意味ないわよねそれ』
お前もなに普通に会話してんだよ。もっと怒れよ。
「滑るわけねぇだろーが!」
滑らないのか。
『じゃあ答えはなんなのよ!』
「お前んちだよ!!!!」
『客に対してお前って、なんだその態度はー!』
仲良しかよ。いいな、オラもニンニクちゃんと仲良くなりたい。せめて死ぬまでに1回は喋りたい。
「第8問」
そんな行ってたか?
「キリギリスの触角としても知られる織田信長は、最高何回二重跳びを跳べたでしょうか!」
ホトトギスと間違えてない? ていうかその頃から縄跳びってあったの?
『えー、ノブナガだから〜0276回!』
どういうこと? 語呂合わせってこと? どの辺が? 7だけ?
「ブブー、答えは0回でーす。この時代に縄跳びはありませ〜ん。あったとしてもお殿様はやりませ〜ん」
いや、やるかもしれないだろ。
『あなた物知りなのね、すごいわ!』
何感心してんだよ。クレームはよ言えよ。
「ででん、最終問題です」
やっと終わるんだ。
「さぁ第99問! お前のコーンスープが黒い理由を言え!」
8問の次99問なんだ。そんで全部で100問じゃないんだ。キリが悪いな。
『えー! そんなの分かるわけないやん!』
「答えられなかったら落ちるだけだよ」
なにが?
『えーっ! じゃあ「おたくが絵の具を混ぜたから!」これでどうや!』
「ブブー、と言いたいところですが三角です! 答えはペンキでした〜」
もう正解にしてあげろよ。あとコーンスープにペンキ入れんなよ。
「お疲れ様でした。99点ですね。90点合格ですので、合格です! おめでとうございます! これから免許証に使う写真を撮影するので、あちらのお部屋まで行ってください」
『えっ、99点なんですか?』
そうだよな。最後の三角以外全部不正解だもんな。
「最後の配点が99.5点、三角で0.5点マイナスです。その他の98問は全部合わせて0.5点です」
キモ。
『まあいいか! これでおばーちゃんをドライブに連れて行ってあげられる!』
「なにか勘違いしてませんか? こんな問題を解いたくらいで車に乗れると思ってます?」
ほとんど問題解いてなくね? 車乗れるわけなくね?
『え⋯⋯』
お前もなんなんだよ。分かるだろ。
「免許を取れてもまだ車買ったり保険入ったりいろんなことやらなきゃいけないんですよ。それが終わって始めて乗れるんです」
乗れるんだ。
『ヒェーーーーーーー』
客が泣き始めた。どういう感情なんだろうか。オラにはさっぱりワケワカメ╮(´•ω•)╭
「じゃーなー!」ガチャン!
切っちゃったよ。ニンニクちゃん、後で怒られるぞ〜。でも、それも含めて可愛いんだよなぁ。
「最近視線を感じるなぁ」
えっ、それってもしかしてオラのこと?
「透明人間にでも見られてるか?」
いつからバレてた?
「なーんてなっ! ふひへ!」
良かったぁ。オラはホッとして目を閉じた。
「ってのも冗談。いるんだろ?」
目を開けると、ニンニクちゃんの蹄が目の前にあった。万事休すか⋯⋯
「よっと、いただきまーす」
隣のライバルが食われた。この前金持ちクレーマーの家で会って仲良くなったのに⋯⋯
「そっちもいただくか」
ニンニクちゃんが次々と透明人間を平らげてゆく。そのうちオラの番が来るんだろうか。
「こいつで最後かなぁ」
オラの方に手が伸びた。終わった。
「ゲーップ⋯⋯プハァ。食べすぎたか? もう300匹くらい食べたもんなぁ」
お? もしかしてオラだけ助かるパターン?
そうだよね、語り部がいなくなったらこの連載終わっちゃうもんね。良かった、主人公補正みたいなやつがあっ
⋯⋯えっ? (作者困惑)