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不審者の丸焼きを食べよう!

 さてさて、今日もニンニクちゃんの仕事ぶりを観察しようかねぇ。可愛いなぁ。なんて可愛いんだろう。1日中、いや9万日見ていられるなぁ。


 ってまだニンニクちゃん来てなかったわ。オラいったい何見てたんだ。あ、そうか、ニンニクちゃんの椅子についた残り香で幻覚を見てたんだ。そうに違いない。幻覚作用あるってWikipediaにも書いてあったし。


「ニンニクちゃんのWikipediaあんのかよ!」


 と突っ込んだそこのあなた!


 あるよ。オラが作ったんだ。Wikipediaってファンとか有識者が作っていくものだろ?


「おはようございまーす」


 あ、ニンニクちゃんが出勤してきた。遅番なの忘れてたから6時間も待っちゃったよ。


「チャス」


「ナス」


「ネス」


 職場のみんなもあたたかい挨拶を返している。良い職場だなぁ。オラなんて今までずっとブラックだったからなぁ。


 ジリリリリリリ! ジリリリリリリ!


 非常ベルだ! 火事か!?


『侵入者です! 侵入者です!』


 え、もしかしてオラのこと!? でもオラ透明人間だから分かるはずないよな⋯⋯待てよ? サーモグラフィーとか導入してたりする?


『侵入者はカスタマーセンターに向かっています!』


 ここに向かっているということは、オラじゃないということだな。安心だ。


 安心してる場合じゃない! 侵入者ってやばいじゃん! 不審者じゃん!


『刃物を持って向かっています! 警備の方は速やかにカスタマーセンター前に向かってください!』


 刃物持ってんの!? ニンニクちゃん、怪我しないでね⋯⋯! もしもの時はオラが身代わりに!


『警備の方インカム入れてください! ⋯⋯ってちょっと、寝てるじゃないですか! 全部カメラに写ってますよ! 早く起きてカスタマーセンターに向かってください!』


 なに寝てんだよ!


 それにしてもこういうのってストレートに侵入者ですって言うんだね。お店とかだと架空の番号の「○番レジお願いします」とか、学校だったら「お客さまです」とかあるのに。


 でもオラはこの会社のやり方を支持するよ。だってそのほうが全員分かるし、犯人も放送を聞いて逃げ出すかもしれない。

 逃げ出さないような奴ならどんな放送でも危ないことに変わりはないと思うし。


 犯人を刺激するなって話かもしれないけど、刺激したればええやん。冷静な犯罪者ほど怖いものはないからね。訳わかんなくなって突っ込んでくる奴の方が返り討ちにしやすい。透明人間のオラからすると。


 ドアバーン!


 ドアが強い力で開けられた。皆一斉に入口の方を見た。


「へへっ、上玉が揃ってるじゃねぇか。どいつからいただいちまおうかなぁ」


 入口には2頭身のゆるキャラみたいなのが立っていた。体はピンク、顔は黄色、手はドラえもんのような白いゴムまりだ。


「はぁーーーーーーーっ!」


 突然ニンニクちゃんが声を上げた。かっこいい構えをしている。そうか、そういえばニンニクちゃんは武道の達人だったんだ。


「この柔道10段空手130段の最強戦士ニンニクの会社を襲おうとはいい度胸だなニセえもんよ」


 ニンニクちゃん、かっこいい! さっさとそいつをミン殺し(ミンチ状にして殺害すること)にしてくれぇ!


 プルルルルル プルルルルル


「お電話ありがとうございます。しょうもないもの株式会社、カスタマーセンターのニンニクでございます」


 このタイミングで電話かよ! ニンニクちゃん、あいつ刃物持ってんだよ? 先に倒した方がいいんじゃない?


『この前お宅の「あらいぼ」買ったんだけどさぁ、全然喋んねぇじゃん! もう2週間だぞ! 暇すぎて俺脱皮しちまうよ!』


 あらいぼとはこの会社の人気商品で、大葉によく似たサンダルである。冬になると毎分600個売れる超大ヒット商品なのだ。


「この子からいただいちゃおうかなぁ〜」


 入口のすぐ近くの席の鬼忍者(おにんじゃ) ()マスコさんの腕を掴む不審者。


 混マスコさん!


「オラァアアアアアアア!!!」


 混マスコさんの張り手が不審者の顔に命中。

 そうだった。混マスコさんは相撲500段(転生を繰り返して500回横綱になった)なんだった。心配して損した。


「うちのあらいぼに喋る機能は元々ございませんよ」


『なんだと!? じゃあ俺が他のメーカーのやつと間違えて買ったって言いたいのかよ!』


 他のメーカーのあらいぼも喋らんだろ。サンダルなんだぞ。喋るわけないやん。


「メヌメヌメーヌ⋯⋯ハァッ!」


 社員4人で不審者を囲んで、目からビームを出して焼いている。今日の夜ごはんは不審者の丸焼きに決まりだな。


「どうしても喋るサンダルが良いとのことでしたら、私どもの方でメホメホを送らせていただきますが」


 ニンニクちゃん、自分たちは悪くないのにメホメホを送るだなんて⋯⋯優しすぎる!


「もちろん着払いで」


 鬼畜だった。メホメホって定価で90万円するんだぞ。あらいぼは30円だから、3万倍だぞ。30円のつもりで買ったのに90万円払わされるなんて気の毒すぎるだろ。


 でも、そんなドSなニンニクちゃんも可愛い! オラも着払い責めされてみたい! ぶひ! ぶひぃぃいいい!


『お願いします。僕4兆9千円持ってるんで4兆円支払いますね』


 なんで?


「は?」


 あ、ニンニクちゃんも分かんなかったんだ。そうだよな、90万円なのに4兆円払おうとするなんておかしいもんな。バカなのか? それとも金持ちアピールか? 手元に9000円しか残らんけどいいのか?


『チップですよ。HAHAHA』


 あ、外国人だったのか。


「あざす笑」


 ニンニクちゃんめっちゃ喜んでるじゃん。良かった良かった。


 いや良くない! ニンニクちゃんを喜ばせていいのはオラだけだ! これでニンニクちゃんの心が動いてしまったらオラのライバルが現れたことになってしまう! ニンニクちゃんはオラだけのものだ!


 オラはニンニクちゃんの電話で逆探知をした。ヤツの住所が分かったぞ! 殺しに行こう!

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