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魔尿狂叫竜→ちんちん!→ちんちんのちんちん! (作者の割り込み通信あり)

 プルルルルル プルルルルル


 お、オラの語りが入る前から電話が鳴ってらぁ。しゃーないよな、オラ今日遅刻しちまったんだもん。

 ニンニクちゃんが椅子に座る瞬間見られなかったなぁ。クソっ。まぁ見たところで何ということもないんだけどね。ただ人が椅子に座るだけだから。


「お電話ありがとうございます。しょうもないもの株式会社、カスタマーセンターのニンニクでございます」


 さ、今日も今日とて潜伏傍観! そう、オラはただの傍観者なんだ! ニンニクちゃんがピンチになってもアドバイスをしたり助けたりしない! なぜならオラは不審者だから! オラの存在がバレたらすぐに通報されちゃうからね!


『あんたんとこで先週買ったクリーム! あれのせいで顔が荒れちゃったんだけど! なんなんなんなんなんなんなのよもう!』


 お前がなんなんだよ。


「お前がご購入なさったクリームはなんというクリームでしたか?」


 鮭クリームとかだったら笑っちゃうよな。笑わない? あ、そう。


『おしっこクリームに決まってんでしょ!』


 割り込み通信! 緊急連絡! 緊急連絡!


 駅のホームで椅子に座っている作者の隣にヤバいおばさん登場! 繰り返す! ヤバおば登場!


 ベンチに荷物を大量に広げ、靴を脱ぎ、上だけ下着姿になり作者の方を向いて静止中!


 と思ったら何か言い始めたぞ! 高い声で訳の分からないことを言っている! 電話かなとも思ったがイヤホンもしていない模様! ヤバい人確定!


 そして私の目の前で大学生くらいの女性がしゃがみ込むという事態発生! 近くに駅員さんがいたのですぐに呼んで連れて行ってもらいました! 早く元気になるといいな!


 まったく、人が小説書いてんのにバタバタし過ぎなんよ! 隣のヤバおばはポケットからパトランプみたいなの取り出して光らせてるし! よく聞いてみたら中国語っぽいし! なんなんだよ! なんでパトランプ黄色いんだよ! 普通赤だろいい加減にしろよ!


 ということで移動。隣にあんなのおったら小説書けんよ。中継終わりまーす! 現場からは以上でした〜! 割り込みしてすんませんでしたぁ!


 と思ったけど中継終わんないよ! 離れようとしたらヤバおばに話しかけられたんだよ! 日本語で! 地下鉄の乗り方聞かれたからちゃんと教えてやったよ! お前なんで普通に質問するんだよ! なんだったんだよさっきまでの奇行は! ちゃんと説明しろ!!!!


「おしっこクリームは絶対に肌が荒れないはずなんですけど、お前が買ったのは本当におしっこクリームでお間違いないでしょうか」


 そうなんだよな、おしっこクリームは絶対に肌が荒れないんだよな。この客が間違えて買ったか、人間じゃないかどちらかだな。


『間違えるわけないでしょ! 今手に持ってるけど、おしっこって⋯⋯あれ、これおしっこじゃなくておっしこじゃないの! なにこれ〜! なに、私違うの買ってたの!? ごめんなさい苦情の電話まで入れちゃって、私が間違えてたみたいねごめんなさいごめんなさい!』


 潔く自分の非を認めて謝るなんて立派な人だなぁ。でもおっしこクリームを売ってるこの会社も中々外道だな。


「いえ、こちらのミスでございます。大変申し訳ございません」


 はて?


『どういうことですか?』


「15分の1の確率でパッケージが間違って印刷されちゃうんですよ。なので、おっしこもおしっこも両方ともおしっこクリームです。大変失礼いたしました」


『じゃあやっぱり絶対に肌が荒れないおしっこクリームで肌が荒れたってことじゃないの! どうしてくれんのよこのクソアマドラゴン!』


 じゃあもう人間じゃないっていう可能性しか残されてないけど。この国では人間以外の生き物は謎の黒服に連れていかれて人体実験されるというが⋯⋯そういえば、人間じゃないのに「人」体実験なんだな。


「ギョヤアアアアアアアアア! マニョオオオオオオオオ! 魔尿(まにょう)ォォオオオオオ!」


 ニンニクちゃんが狂ってしまった。多分クソアマドラゴンって言われたことで怒りがピークに達して、魔尿(まにょう)狂叫竜(きょうきょうりゅう)になってしまったんだ。


『ちょっとあんた私の話聞いてんの? ねぇ!』


「みょーん。みょーん。みょーん。魔尿ォォォオオオオオオオオ!!!!!!」


『なんなのよあんた! ちょっ、えっ? なにこれぇええ!?』


 ニンニクちゃんが魔尿狂叫竜になってしまったが最後、相手の受話器から500円玉が延々と溢れだしてしまう。500円玉を止める方法はただ1つ、受話器が寿命を迎えること。それ以外に方法はないのだ。


「ニョォォオオオオオマニョオオオオオ!!! 尿」


『ちょっとあんたこれどうやって止めんのよぉおおおお! 何とか言いなサイヨォォァオオオ! ニョォォオオオオオ! マニョオオオオオ!』


 え、マニョオオオオオ? もしかして⋯⋯


「ニョォォオオオオオ!!」


『魔尿ォォァオオオオアオアオ!!!』


 ダブル魔尿狂叫竜だぁああああああ!!


「35点! ゲームセット!」


 あ、社長だ! 見回りに来たのかな。何が35点なんだろうか。


「ちょっと社長それはないですよ!」


 ニンニクちゃんの前の席の女性社員が社長に抗議している。ダブル魔尿狂叫竜は未だに叫び合っている。


「うるしゃい! 俺は社長やぞ! お前のちょうど35倍偉いんじゃ! なんか文句あるかぁ!」


「うう⋯⋯ありません⋯⋯!」


「分かればよろしい! 楽しかったよ、またね!」


 どうやら彼らは卓球対決をしていたようだった。女性社員が8点、社長が0点という状況で社長が尻からパチンコ玉を勢いよく発射し、得点を決めたのだという。

 そこからが問題で、本来なら8-1となるところが社長の権限で8-35になってしまったのだ。卓球は11点先取で勝ちなので、社長は勝ち逃げしてしまったのだ。


「あいつ⋯⋯いつか殺してやる! ぐっちゃぐちゃのぺったんぺったんにしてジューシーに焼き上げてデミグラスソースをかけて市役所の屋上の(かど)っこに放置してやる! 覚えてやがれ!」


 プルルルルル プルルルルル


「お電話ありがとうございます。しょうもないもの株式会社、カスタマーセンターのジェットゴリラ翔子が承ります」


 社長を呪う鬼のような形相のまま、声色だけ変えて電話に出た。さすがプロだ。お客様とのやり取りに一切私情を挟まない姿勢が見て取れる。


『マニョオオオオオ!!!』


 もしかして⋯⋯


「マヨォォォオオオオオオオオ!」


 ニンニクちゃんの客が翔子さんのところにも電話をかけてきたのか! 翔子さんにも伝染(うつ)っちゃってるし! ⋯⋯って思ったけどよく聞いたらただのマヨラーだったわ! そういえばこいつ電話出る時いつもこんな感じだったわ! ニンニクちゃんばっか見てたから忘れてたわ!


「マニョ」


 ニンニクちゃんが大人しくなった。


『マニョ⋯⋯』


 客も大人しくなった。終わるか? やっと電話終わるか? 何も解決してないけど。


「ちんちん!」


『ちんちん! ちんちんのちんちん!』


「ちんちーん!」


『ちんちーん!』


 こうしてニンニクちゃんは電話を終えた。穏便に済んだようで良かった。翔子さんの方はまだ電話繋がってるみたいだけど、どうなんだろ? でもめんどくさいし疲れたし、オラはそろそろ帰ってチョコボール舐めながら寝るか。

 もしかしたら最初の奇声は地下鉄の乗り方を中国語で質問してたのか? でも日本語喋れるんだから最初から日本語で聞けよな。


 ちなみにニンニクちゃんの電話からも500円玉が溢れ続けているので、次回からもニンニクちゃんの机は500円玉だらけである。もちろん偽硬貨だから使うと捕まるよ。


 駐車場のパトランプが黄色でした。赤しか有り得ないみたいな言い方をしてしまってすみませんでした。

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