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マイナス150℃の世界

 ニンニクちゃんは今日も可愛いなぁ。頭から真っ直ぐ天に向かって伸びてる12本の角、最強のチャームポイントだよなぁ。


 今日はどれ食べるのかな。


 お、ネズミを折った。明日はサルかなぁ? オラも1回食べてみたいなぁ。


 プルルルルル プルルルルル


「お電話ありがとうございます。しょうもないもの株式会社、カスタマーセンターのニンニクでございます」


 彼女の仕事が今から始まる。


『あ、もしもし〜。この間ほんのお遊びで買わせていただいたあの星なんですけど〜、あれのせいで凍傷になってしまいまして〜』


 凍傷になる星とはどの星のことだろうか。太陽系のどれかだろうか。


「お名前お伺いしてもよろしいでしょうか?」


 顧客情報から何を買ったか調べるつもりのようだ。さすがニンニクちゃん、頭良い!


『ちょうど1週間前に買わせていただいた薮檸檬風(やぶれもうふ) 小馬園地(おまえんち)です』


 向こうも察してくれたようで、いつ買ったかを教えてくれた。嫌な名前だな。


「ありがとうございます。すぐにお調べいたします!」


 器用に肘でキーボードを叩くニンニクちゃん。3秒間に50回叩いてる。


「大変お待たせ致しました! 先週お前がご購入された商品は『木星』でお間違いありませんか?」


『そうですそうです〜。それがめっちゃ冷たかったんですよ〜。凍傷になっちゃって〜』


「ちなみに患部はどこですか?」


『お尻です』


「右ですか? 左ですか?」


『真ん中です』


「あっ⋯⋯」


 なるほど、入れて遊んでたんだな。そら凍傷にもなるわな。まったく、銀河系サイズの変態クレーマーがニンニクちゃんの手を煩わせるんじゃないよ。


「お詫びとして太陽をお送りさせていただきますね」


 なるほど、冷えたから暖める作戦か!


『大きさだいぶ違いません?』


「ちぎってご使用ください」


『あ、そういうのもアリなんですね! ありがとうございました! ホイップのさようなら!』


「はい、ホイップの失礼いたします!」


 一件落着だ。彼女は電話を切ると、鼻の穴から割り箸ほどのサイズの木の棒を取り出した。


「大凶か⋯⋯」


 そう、おみくじだ。彼女の鼻の穴は大凶しか出てこないおみくじになっているのだ。

 ただ、鼻の穴の中でおみくじ同士がぶつかりあった結果文字が掠れたりインクがついたりして変わることがあるらしい。

 それで大吉が出る確率がだいたい、プールに時計の部品をバラバラに投げ入れて勝手に時計が完全する確率と同じくらいと言われていない。


「ふぅ⋯⋯」


 彼女はひとつため息をついて、頭の角に手を伸ばした。パキン、と音がする。


「サメか」


 どうやら定時には帰れないらしい。


 なんか小説みたいな終わり方ですね。

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