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パープルウォーターに生タコ味以外のフレーバーがついてないんですけど!

『あのー、もしもし』


「お電話ありがとうございます。しょうもないもの株式会社、カスタマーセンターのニンニクでございます」


 そう、彼女はここでクレーム処理の仕事をしている。毎日何十件とかかってくる苦情電話の対応をしているのだ。


『この前買った緑色の水なんですけど、フレーバーが生タコ味しか入ってなかったんですけど、どういうことですか、チョーうざいんですけど』


 大ヒット商品のパープルウォーターだ。他にも侍色ウォーター、金色ウォーター、饅頭色ウォーターなどの種類がある。色は全て緑色である。


「パープルウォーターのフレーバーは生タコ味のみとなっております。買われる際にお前が勘違いをなさったのではないでしょうか」


『あたしが勘違いするわけないでしょ! あんたんとこの広告に確かに書いてあったのよ! あたしの記憶が間違ってるって言いたいわけ?』


 実際にここではパープルウォーターを生タコ味でしか販売していない。にもかかわらずこういったイチャモンをつけてくる客がたまにいるのだ。自分の間違いは絶対に認めないタイプの客だ。


「書いてなかったはずなのですが⋯⋯」


『書いてあった! 他の味もセットって書いてあった!』


 ニンニクちゃんは頭を抱えてしまった。


「確認して参りますので、少々お待ちくださいませ」


 マイク付きのヘッドホンを外し、タバコに火をつけた。


「ふーっ」


 彼女の吐いた煙が部署内に立ち上る。ちなみにここは禁煙である。


「んー⋯⋯」


 鼻をほじりながら考え事をしているニンニクちゃん。


「⋯⋯もしや! ライバル会社の商品と間違えたのでは? それなら辻褄が合う! あいつが見たのはうちのじゃなくて、あっちの広告だったんだ!」


 元気になったニンニクちゃんは火のついたタバコを飲み込み、ヘッドホンに手を伸ばす。


「大変お待たせいたしました。恐らくなんですが、お前が見た広告は『パープルウォーター生タコ味以外のフレーバーもお届けする株式会社』さんのものではありませんでしたか?」


 そう、ライバル会社であるパープルウォーター生タコ味以外のフレーバーもお届けする株式会社のパープルウォーターは生タコ味以外もセットで届くのだ。


『だからあんたのとこの広告だって言ってんでしょーが! あたしが見間違えるはずないんだからぁーーーーっ!』


 この会社には聞く耳を持たなくなった客に対処するためのマニュアルがある。客の電話と自動苦情処理AIサービス『フォーエver』を繋げるのだ。


 これにより、客とAIが半永久的に通話をすることが可能になる。ストレスを発散したい客と、なんの感情もなく苦情を受けるAI。まさにウィンウィンの関係なのだ。


 ちなみにこの客はこの後9年半通話し続けたという。AIに切り替わった瞬間からフリーダイヤルではなくなっているので、客は破産したそうだ。

 1話目では語り部が不審潜伏者という設定がまだなかったため、ニンニクにちゃんにデレデレしてるオラの姿が見えません。なんでわざわざここにこんなことを書いたかというと、本文を修正するのがめんどくさいからです。

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