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ギターに祈る男の話

作者: 三原尚樹

「あるところにギターに向かって祈りをささげつづける男がいました。

旅人が通りかかり、ギターを弾いて見せて「ギターは音楽を奏でるものなのですよ」と

教えてあげました。

男は、とても恥じ入った表情をすると、石に頭を打ちつけて死んでしまいました。」

「さて、この男はいつから不幸になったのでしょうか」先生は学生たちを見渡しながら、

穏やかな微笑みを投げかけました。

学生たちは、先生のいつもの面倒くさい話が始まったのかと少し苦笑いしながら、

互いの顔を見合わせました。

先生は、学生の自問自答が行き詰まった様子になるまで待って口を開きました。

「最初から不幸だったのでしょうね。心から信じていれば旅人にギターの使い方を

教えられても恥じ入ることもなかったでしょう。また、ギターが何かを知らないことを

恥じる心ばかりで知る喜びがないことも不幸と言えましょう。」


先生はいつもの癖で新品のチョークの角を少しぐりぐりと黒板にこすって角を丸めてから

今日の講義の表題を書き始めました。

<おわり>

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