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じめじめ。

 わたしがわたしのご飯、おいしいって思えないのは寂しい、なんて。……まだ、何度噛み砕こうとしても、どういう意味かわかんない。そのまま取れば、それだけおいしいって思ってくれてるって思っていいんだろうけど、……そんな簡単じゃない、のかな。なんとなく、そんな気がする。

 考えごとのせいで、味なんてわかんない。恵理さんと会って、『ともだち』になったのは、昨日のことなのに。

 恵理さんのくれたお返しも、今食べても何も味しないかも。箸も、そのまま止まる。喉が乾くから、水筒にばかり手が伸びる。


「茜ちゃん、食べないの?」

「……ごめん、考えごと」

「悩んでるときのご飯っておいしくないもんね、……わたしでいいなら、話聞くよ?」


 優しいけど、恵理さんに訊くのが一番早いのはわかってるけど、……なんか、話しづらい。やましいことはないけど、何か、……よくわかんないけど、つっかかる。


「関係ないから、いいよ」

「うーん……、知らない人のほうがそういうのよく見えるって言うじゃん。それとも、わたしに話すのは、嫌?」


 関係ないってウソをついて、それすらまっすぐな言葉ではじかれる。余計に、言いづらい。でも、でもでも、……言わないって選択肢、どんどん無くしてくの、ずるいよ。


「いやじゃないけど、……言いにくいかな」

「いいよ、無理に言わなくても。……でも、気になって、わたしも考えちゃいそうだよ」

「……ごめん、関係ないのはうそだから。……いい、かな?」


 結局、言わされる。そんなつもりじゃなかったのに。もやもやして、ぐるぐるして、……だけど、なんでかわからないけど、嫌になるってこと、頭から抜け落ちたみたいに考えられない。


「そっちこそ、いいの?言いにくいならいいって言ったのに」

「うん、……いいよ、なんか、そんなに優しくしてくれるのに、言わなきゃ悪い気がして」

「そんなことないよ、……どうしたの?」


 そんなこと、ないわけないのに。熱いくらいなのに、心地いいあったかさ。わたしに、かまってくれるくらいに。


「あのね、……わたしの料理、そんなおいしかったかなぁ」

「うんっ、ほっぺたとろけちゃいそうだよ」


 満面の笑み、お世辞でもなんでもないの、それだけで分からせてくるくらいの。見てるだけで、顔の奥、熱くなる。また、真っ赤になっちゃってる。そういうとこが、嫌なのに、


「そうかなぁ……、わたしがそう思ってないの、寂しいって思っちゃうって、その、……どういう、こと?」

「え、……っと、ごめん、ちょっと考えていい?わたしも、そんな考えて言ってなかったから……」

 

 ぶわって、ここだけ暑くなったみたい。恵里さんも、なんでか、顔が赤くなってる。

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