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もとめて。

 命綱に頼らなくても、自分で何とかもとに戻ってこれた。返事は、まだ来ない。タイマーの耳障りな音が、はっきりとした意識に刺さる。さっぱりとした通知画面は、まだ返事がないことを知らせてくれる。何故だかわからないけど、暇があればすぐ返事をくれてる。もう部活も終わってる時間なのに来てないから、多分寮生じゃないんだろうな。

 こんなこともわかんないのに、頭の中に巣食って、離れてくれない。あの時から、何かが音を立てて崩れてく。……一回、水面に上がったのに、足を引きずり込まれる。だめ、もう上がらなきゃなのに。

 そんなときには、今日のご飯のこと考えよう。まず、キャベツの浅漬けから作ればいいかな。今から作れば、全部終わる頃にいい感じになってるはず。

 キャベツは周りの開いた葉を取ったら、芯を取る。いつもはざく切りにしてるけど、今日はザワークラフトみたいな感じで、繊維を立つように葉先から千切りにしていく。こうすると、味が染みこみやすくなる。……っていうのは、他の人の聞きかじりなんだけど。半玉分切り終わったら、ジップロックに浅漬けの素と一緒に入れて、冷蔵庫にしまい直す。

 それが終わったら、ウィンナーを半分に切って、玉ねぎを櫛斬りにする。本場だと、ウィンナーとフライドポテトみたいだけど、揚げ物はちょっと大変だから、蒸したじゃがいもにしよう。周りの土を落としてから、ラップで包んでレンジで十分くらい。その間に、ソースも作っちゃおう。ケチャップとカレー粉でできるから、ちょっと味を調整する時間もあるはず。まずは、少ない量で作ったほうが調整も効きやすいから、ケチャップを大さじ一杯と、カレー粉を小さじ一杯ずつ。このままじゃ結構ドロドロしてるから、ちゃんとした味になったら水で薄めたほうがいいかな。

 とりあえず、しっかりかき混ざったところで、味を見てみる。ゴムべらについてるのを軽く指に付けて、口に含むと、……ちょっと、辛すぎかも。ケチャップ、ちょっとずつ入れて行こう。あと、あんまりコクもないから、中濃ソースとかも入れてみてもいいかも。とりあえず、それはちゃんと味が整ってからにしよう。ちょっとずつ加えてって、ちょうどいい感じになったのは、ちょうど最初に入れたのの倍近い量になったとき。今度は、中濃ソースを調整してみようか。とりあえず、スプーン一杯分をしっかりかき混ぜて、……うん、いい感じ。レンジは、あと五分を示してる。……これだけあれば、返信を見るくらいはできるかな。

 気が付いたら、心の奥を塗りつぶす光。でも、……どうしようもない。手を洗ってから、スマホを置いたままだった部屋に向かう。

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