その無限の先へ
クソ解説
その無限の先へ
限界集落を超えた試される土地
からやってきた主人公がローグライクな
迷宮を手籠めにする話。だった。
好調に成り上がり
トントン拍子に出世してるはずが
毎度毎度ぼろっぼろになるので
もうこれわかんねぇな。
ヒロイン兼相棒は男の娘だけど
女体化中という業の深さ。
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もし私が剣と魔法の異世界に転生したとしたら、チートも欲しいし名誉も欲しいがそれよりもっとパソコンとエアコンと冷蔵庫と、あとはふかふかのベッドと化学繊維の服。洗濯機に電子レンジに、張り巡らされた交通機関が欲しい。アニメも見たいし、漫画や小説も出版されていて欲しい。
それらの全てが「その都市でだけは」存在する文化と文明の特異点「迷宮都市」にやってきた、限界集落出身の青年の活躍に手に汗握るのがこの物語、「その無限の先に」だ。
この小説については「ゲーム風の世界の迷宮探索物」という括りにありながら、あまりにも特異な点が多い。はっきり言ってしまえば、実に解説し辛い。その世界観のユニークさを語るべきか? それとも登場人物たちのクセ……魅力の強さを? 読むにつれ壮大に広がりゆく謎と興奮に満ちたストーリーについても語りたいし、全体を彩る姦しいギャグのセンスの良さも紹介したい。
物語を形作る要素の一つ一つに宝石のような輝きや、目を見張る驚きが秘められていて、この物語を読んでいる間、読者は玩具箱の中でかき回されているような読書体験に包まれる。予想はことごとく覆され、息つく間もなく想像だにしない地平へ連れていかれる。心の準備は無意味だ。――平気な顔をして様々なものが世界観に異物混入している。パンダとか。そしてそれに慣れる。
そう、主人公たちが送る「迷宮都市」の日常を追うにつれ、私たちはその非日常な光景と事件の数々に慣れる。
と、いうよりも、「馴染む」
「迷宮都市」には非日常的な日常が流れている。そこはある人物の手により、明確な意図をもって「ローグライクなダンジョンの街」としてデザインされた冒険者の世界であり、都市の外と隔絶した文明社会である。驚くべきことに、この都市での「冒険者」とは一種のスポーツ選手であり、アイドルでさえあるのだ。
作中世界の常識から乖離し、いわゆる「物語のお約束」にも縛られない、誰にとっても未知の非日常の世界がそこにある。
しかして、都市の住人たちにとって、これらがいかに珍奇で滅茶苦茶であったとしても、これらは「日常」の風景であり、空気と同じようにそこにある「常識」だ。
私たちに、あるいはやってきたばかりの登場人物たちにとって考えもしなかったような非日常はやがて日常にその姿を変え、主人公たちと共に暮らしを送る私たちは、ゆっくりと、そして確実に、街の住人として馴染んでいく。
そしてふと気づいたならば、私たちはこの物語から離れがたくなっている。作中の多くの人がそうであるように。
物語世界に第二の故郷を持つのなら、私は「迷宮都市」の人になりたい。
チートも欲しいし名誉も欲しいがそれよりもっとパソコンとエアコンと冷蔵庫と、あとはふかふかのベッドと化学繊維の服。洗濯機に電子レンジに、張り巡らされた交通機関が欲しい。アニメも見たいし、漫画や小説も出版されていて欲しい。
そして、十数年来の友人のように思える登場人物たちと、思いっきり語り合いたい。この不思議な街の事を、私がどれほど愛しているのかを。
「その無限の先へ」
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