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クソ解説botの尻を拭う紙  作者: クソ解説botの中の人
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シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜

クソ解説


シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜

ネトゲのヤベー奴③

KOTY板からの刺客がクソから

解き放たれて神ゲーでまっとうに遊ぶ。


よかったね……。


作中のクソゲー描写を読んで

興味をもったら

君も今日からクソゲーハンターだ。


https://ncode.syosetu.com/n6169dz/




 世には所謂クソゲーと呼ばれるなんかもうゲームと呼ぶのも憚られるというか、よく商業に乗せたなというか、思い出すだけで血管がはちきれそうというかそういうゲームらしきナニカが存在する。


 今でこそ情報共有の場が開かれたおかげで「見える地雷」となるケースが増えたが、ほんの一昔前はそれはもうワゴンとはつまり地雷原、なんなら新作の棚でさえ地雷原、時期によっては剣林弾雨ゥワァアアアア! とりあえず戦極姫ゆるさん。絶対に。絶対にだ。


 そんなクソゲー達も、もちろんプレイする人間が存在する。信じがたいことだが、世に漕ぎ出した爆弾どもを「見える化」し、ともすれば「非クソ化」さえ計る豪の者共が世界には存在する。


 畏怖を、敬意を、「あいつら馬鹿じゃねぇの」という気持ちを、「なんで見るからにクソなのにうれしそうなんだよ」という疑問をこめて。――人は彼らを、クソゲーハンターと呼ぶ。


 この作品の主人公「サンラク」もまた、そういったクソゲーハンターの一人だ。それも相当レベルの高い変態である。なんせ冒頭から十日間かけてクソゲーをプレイしようやっとクリアしたシーンだというのだから筋金入りだ。そんな彼が『珍しく』神ゲーと呼ばれる大人気タイトルをプレイする。基本的に、この物語は「それだけの話」である。


 この、あくまで「それだけの話」である点が、この小説とそのほかの「VRMMO小説」との大きな差別点であり、持ち味なのだ。


 作中の社会ではEスポーツとしてのゲームが市民権を得ており、若者を中心に「プロゲーマー」は憧れの職業の一つである。作者曰く『「外でサッカーしてくる!」と「家でゲームする!」がほぼ同意義の世界』であり、逆に言えばそれだけゲームに耽溺する人間が一般化している。さらにはVR技術も発展しており、こういったジャンルで見られる「家庭用VRゲーム機」は今やことさら目新しい技術でもないらしい。


 そして主人公が遊ぶゲームもまた、あくまで「神ゲー」――つまり、すでに多くのプレイヤーによって評価され、すでに最上位には「廃人」たちがたむろし、特に巨大な陰謀や命を懸けた戦いがあるわけでもなく、ログインしたならば二度と目覚めないわけでもない。ごく普通の、「非常に評価の高い、面白いゲーム」に過ぎない。


 さらに言うならば、主人公は優れたゲーマーであるが、「格別に優れたゲーマー」ではない。この世界において主人公も、舞台となるゲームも、「スペシャル」ではあれど唯一無二の物ではないのだ。


 あくまで主人公は「クソゲーをメインに遊ぶ一ゲーマー」であり、舞台は「同ジャンルで覇権を握る名タイトル」でしかない。


 重ねて言うが、いかにも物語的な様々な波乱万丈こそあれど、この物語で世界は救われないし、命は散らない。ゲーマーはあくまでゲーマーであり、ゲームはあくまでゲームのままだ。


 しかしそこには、本来プレイヤーとゲームの間にある正しい関係が、つまり、「楽しいゲームを、プレイヤーが楽しむ」という卑近で日常的なそれがある。


「ギスギスオンライン」の解説でも触れたが、「VRMMO小説」において、多くのゲームはデスゲームとして描かれることが多い。(あるいは「ゲーム世界ににた異世界」として)


 ゲームは「ゲーム世界」という世界観を描くために用意され、プレイヤーとは「選ばれた主人公とその他」を包括する記号として用いられる。「現実離れした世界の現実離れした冒険」を演出することがそのプロットの目的であり、それは血沸き肉躍る物語でこそあれ、身近な日常にはなりえない。


 うってかわって、この作品で描かれるのは、ただ単純にゲームを楽しむ人間の喜びと、決して切り離せない日常の物語だ。


 いかにもゲーマーらしい「仕様の穴をつけないか」という小狡さや、他タイトル(クソゲー)で競い合ったプレイヤーとの新しい関係性の芽生え。初対面のプレイヤーとのささやかなすれ違いなど、いかにもオンラインゲームを全力で楽しむ朗らかな日常がそこにはあり、「クソゲーを多々遊んだ」という主人公の来歴がさらなる彩りを加える。


 この作品には、世界の存亡をかけた戦いのスリルや、酷薄な命の奪い合いの恐怖はない。いうなれば「架空のゲームのゲーム実況」とでもいうべきエンターテイメントである。


 しかしてこの作品は、「ゲームを描く物語」でしか表現しえない純粋な「楽しさ」を私たちに追体験させてくれるだろう。


 なお、作中に登場するクソゲーの数々であるが概要に触れるだけで背筋の凍る冒涜的な代物であるため、心臓の弱い(かつこの手のトラウマを抱えた)ゲーマーにはお勧めできない。ダメジャーとか思い出すだろやめろ! やめてください!


「シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜」

https://ncode.syosetu.com/n6169dz/

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