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クソ解説botの尻を拭う紙  作者: クソ解説botの中の人
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邪神転生バビロニア ─リバース・オブ・ナイアルラ─

クソ解説


邪神転生バビロニア ─リバース・オブ・ナイアルラ─

名状しがたい童貞が名状しがたい

フレンズを率いて

名状しがたい集団と

どったんばったん大騒ぎ。


おおむね間違ってない。


ジェットコースターだと思って

軽い気持ちで読むと

自由落下レベルの勢いに驚く。


http://ncode.syosetu.com/n8856dy/13/

 期待の新人ユーチューバーことユーチューバー・イレーナによるハイテンション異世界異能バトルラブコメ戦記風絶叫マシン。(なお作者はユーチューバーではない)


 クトゥルーの邪神勢と北欧神話の神々が人間そっちのけでガチンコバトルを繰り広げてから早幾星霜という世界観を下敷きに、勝者たる大神オーディンの威をかり亜人への苛烈な弾圧と平民からの搾取を繰り返す悪逆非道な帝国を打ち倒すため、見目麗しい主人公、のん様こと『カノン』が身一つから反撃の狼煙をあげる――という王道プロットを邁進していく。


 上で述べたように王道を地でいく戦いと成りあがりと友情と勝利の物語であり、導入の時点からド派手なピンチに陥った主人公が呵々大笑して危機を打ち破る様は痛快にして爽快。適度な緊張とそれを打ち破るカタルシスの繰り返しは、どんな状況に陥っていたとしても「のん様が出張ってきたならなんとかなるんだ!」という安心感を読者に与えるという、まさしく王道ヒーローに欠かせない素質をもっている。主人公の存在そのものが勝利フラグという、一歩間違えればご都合主義になりかねない雰囲気を絶妙な匙加減で調合する作者の技量は感嘆の一言だ。


 ただし、のん様はゲスい。


 具体的に言うとあらゆる行動の第一目標が「脱・童貞」なあたりが生々しく俗い。


 良くも悪くも強固な目標意識を持つのん様は、常に虎視眈々と女性の好感度稼ぎにいそしみ、そんじょそこらのラブコメ主人公のようにここぞというところでヘタレたりしない正真正銘の糞童貞合体厨であり、今時ノクターン連載の主人公でももう少し自制心があるぞと言いたくなる暴れ下半身っぷり。下ネタに耐性のない読者には、正直オススメすることはできない。


 又、目標達成のために取られる手段も、およそ英雄、もしくはヒーローと呼ばれる主人公の行うことではない――姑息に身分を偽って相手に取り入ったかと思いきや、機と見るや即座にごり押しの力押し。収奪、略奪に一切の躊躇はなく、指導者となれば群衆の洗脳と扇動に余念はない。なんだこいつ悪役かよ。実際敵対する帝国側からしてみたら悪夢以外の何物でもないだろう。


 しかし、決してそれらはカノンの魅力を損なわない。


 第一話から一貫してカノンの行動原理と道徳観は『そう』であり、カノンは己の中のその規範に反する行動を一切行わない。命の大切さを説きながら山賊を斬り殺したりだとか、突然の異世界召喚は無礼だと憤慨しながら王族にタメ口をきいたりだとかの、あからさまな(作者が意図しないで混入した)ダブルスタンダードを用いない。


 なるほど、カノンの目標はいかにも俗で、浅ましく、利己的かもしれない。眉を顰めるようなことを平気でするし、真似しようと思ってもできないくらいに滅茶苦茶で刹那的かもしれない。


 しかし少なくとも、読者に嘘も、ごまかしもしない。


 その上で、読者の予想を上回った行動に次々と乗り出すのだ。


「ああー、のん様くそだわ。さすがノンカス。畜生にも劣る。いいぞもっとやれ」と読者が感じ、期待するそれを「裏切らず」に「超えてくる」


 一貫した行動理念は、読者に安心を与えてくれる。予想もつかない展開は読者に驚愕を与えてくれる。


 怒涛になだれ込むゲロシャブボキャブラリーのスプラッシュマウンテンに耐える覚悟があるのなら、「邪神転生バビロニア」は読者にジェットコースターのように安心と驚愕に揺さぶられる上質の読書体験を与えてくれるだろう。


 また、あえて今回は主人公こと永世名誉ゲス野郎のん様に焦点を絞って紹介したが、彼に限らず登場人物はすべて魅力的だ。個性豊かなヒロイン達、カノンの脇を固めるたけだけしい戦士諸君。そして立ちふさがる脅威「イグドラシル」の面々。必ず読者の心をつかむとっておきの一人が見つかることだろう。個人的にはアルティメット・サディスティック・シーイングこと「絶将・オルトリンデ」とカノンの熱く血の滾る戦いなど目が離せなかった。


 ぜひ、自分の目でこの新しい神話っぽい絶叫マシンを確かめてもらいたい。


「邪神転生バビロニア ─リバース・オブ・ナイアルラ─」

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