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4.隷属の首輪は翻訳機です

こんな話が読みたいと思って、書いています。

読みに来ていただいて、有難うございます。


 クロちゃんが消えてから、こっそり身体を起こして、

冷たい床に座ったまま、周囲を改めて確認してみた。

動く事に不安だったが、玲奈に注目が集まり、私を気にしている者は、いないようだった。


灰色の、いかにも神官ですって、服を着た集団の後ろには、槍や剣を携えた騎士たちが、周囲を警戒しながら、

私と、主に玲奈を見ているようだった。



「大神官クレールス、言葉が通じぬようだが?」



供を従え、最も高い位置にいた、クルクルウェーブの長い銀髪の男が、咎めると、サンタクロースのような髭に、白い神官服をまとったお爺さんが、前に出て話し出した。


「皇太子殿下、御心配には及びません……神官長モナーフ、隷属の首輪の用意を……」



ふ~ん……身分が高そうと思ったら、皇太子殿下だったのね~。サンタ髭が大神官、で、あの人が神官長っと。悲哀の中間管理職、って感じだわぁ~……


鈴花はその光景を、自分とは無関係な事の様に、映画でも見ているかのように軽い気持ちで、周囲の様子を覗っていた。



「大神官様、召喚自体成功するとも不明でしたので、一つしか用意出来ておりません。もう一人いるようですが、いかがいたしましょうか……」


《おぉ……召喚に成功しただけではなく、二人も呼びよせるとは……》


《さすが、大神官様……》


《しかし、どちらが……》



ざわつく神官達……



 さっきまでぎゃぁぎゃぁ喚いていた玲奈は、少し落ち着いたのか……それとも銀髪美形を意識したのか、静かになり、皇太子の事をチラチラと見て頬を染めていた。



「この者に嵌めよ。【豊穣の乙女】に相応しい。」


皇太子は床に転がったままの薄汚れた娘と、自分を見て頬を赤くした玲奈の様子を見比べ、玲奈に白羽の矢を立てたのだった。


「おぉ!確かに、【豊穣の乙女】に相応しき、美しさ!」


そう言うと大神官は、神官長モナーフに、皇太子が選んだ娘に隷属の首輪を、嵌める様に命じるのだった。


神官長モナーフは豪華な装飾品にしか見えない首輪を恭しく掲げ、何かを呟きながら隷属の首輪を玲奈の首に嵌めるのだった。


「まぁ、きれいな首飾り、私にくれるの?」


玲奈は嬉しそうに、目を輝かせていた。


「とてもお似合いです、【豊穣の乙女】……この首輪には言語を翻訳する機能があるのです。外してはなりません」

(まぁ、死ぬまで外す事など出来ませんがね……)


そんな本音を笑顔に隠し、神官長モナーフは玲奈の手を取ると、皇太子の元へと、連れて行くのだった。


「【豊穣の乙女】、発言を許す、名は何という?」


「は、はい。玲菜と申します……」


鈴花は素直に名乗る玲奈を見て、驚いていた。


あぁ……素直に名乗ってるよ。まぁ、でも、隷属の首輪してるから、今更関係ないか……このままジッと、状況観察続行していよう……



「レイナ、か……其方には【豊穣の乙女】として、私と、この国を救って欲しいのだ……」


皇太子の言葉に、玲奈は顔を赤くしていた。


「私に出来る事なら、何でもやらせて下さい」


「ふむ……そのまま逆らうでないぞ。従順であれば、決して、悪いようにはせん……」


「はい……皇太子様の言うとおりにします」


玲奈の答えに、皇太子は満足したようだった。


うわぁ……何やらされるか、わからないのに……

そんなことを思っていたら、皇太子はそのまま玲奈を連れて歩き出し、その後を、サンタ髭、神官服の集団、帯剣した何人もがつづき、この場から去っていった。



そうして後には、私と神官長、帯剣した騎士が二人残っていた……





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