~ 多重世界の唯一神 ~
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無限の空間……虚無の世界にいつしかソレは現れた。
ソレは幾重にも重なり合い、しかし交わることの無いモノ……
同等に在りながら異なる存在、並行する多重世界……
那由多の時をへて、調和のとれたソレを監理統制する神が生まれた……
それは、多重世界の数多ある神々に君臨する唯一神でもあった……
世界の成長がある程度進んでくると、知識や力を得るために他世界から生物を引き寄せる【召喚】が行われるようになっていた。
【召喚】した世界と、された世界が同率で在る様に、世界が接する事の無い様に、世界間の魂のバランス・時間軸・重力等、多岐にわたる調整を唯一神であるシュタールが管理していた。
召喚する世界が増えた弊害として、異世界転移や転生という事象が度々発生するようになっていた……
それぞれの世界を管理する神々に、召喚による世界間の干渉を減少させ、わずかな誤差で調律をサポートするシステムをシュタールは構築していた……
それでも、唯一の存在故に疲労が蓄積されていった……
在る時、ある世界で……新たな血(嫁)が欲しいという、召喚が為された時、とうとう彼の忍耐が限界を超えた……
世界間調律サポート・『自動調整管理システム』をフルオートモードに、緊急停止警告レベルを最大値に設定した唯一神シュタールは
《旅に出ます……探さないで……》
そう世界の神々に同時発信し、並行世界の何処かへと旅立った……
唯一神を失った世界の神々は……嘆き……悲しみ……
その原因である召喚に関して、神の言葉を聴くことができる存在に理を説き……
召喚を安易に行う事が無い様に、必要な条件やその対価などを厳しく制定したのだった……
いつの日か……
神々の王たる唯一神シュタールが
帰還される時を願って……