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茫漠のジッキン=ゲン  作者: 大柄 仁
出会い
7/50

ようこそ。

お越しくださり感謝です。


ではでは、またあとがきで~


辞書において最も重要なのは《愛》をどのように説明しているかだと思う。。。。。



 ここを歩くのはなんともソウカイで気持ちが良いと誰かが言っていた。



 島の南岸を通るアップダウンの緩やかな快走路をずっと進み、脇の道に入っていくと、かつてこの島に住んでいた島民たちが建てたであろう休暇を目的とした宿のようなそこそこ広い3階建ての建物が確認できる。

 

 前にも林寺たちと共に来たことがあるのだが、その際に不可解なモノを発見した。


 建物の奥まったところで、まるで誰かがくり抜いたかのような直径5m以上の正円の穴が発見されたのだ。


 どれくらいの深さなのか、どこまで続いているのかはわからないが、その穴は詳しい者が言うにはサーマル・ドリルのような物で、正確に40度で掘られているという。

 ただ、これほどに精確な掘削を行うとなると周りの建造物を少なからず撤去しなければならないのだが、そんな様子は一切見られず、むしろそのまま放置されている家具や畳、フローリング、はてはテーブルにポツンと置かれた湯呑までもが抉られたかのように欠けているのである。


 天井にも同様に穴が穿たれていることなどから上空から何か超常的な力が働いたとしか思えない様相を呈しているのだ。


 当時この穴を見つけた時には『本土に繋がる地下道が存在するかも』ということで下に降りてみるという案も出たが、何が待ち受けているかもわからず、もしかすると有害な大気が充満しており、肺胞、気道の閉塞に至るような重大かつ直接的な呼吸機能の低下を招くおそれだってある。


 そうなると足が着いた瞬間に御陀仏という可能性だってあるのだ(そもそもこの先で足が着くかどうかも不明である)。

 

 ということでここは保留、次回までに準備を整え、再び調査するという方向に固まった。

 そして今回がその再調査の日である。皆が一様に腰からガスマスクをぶら下げており、初目も例外ではない。


 やはり何が待ち受けているかはわからないのでこれくらいの準備は必須であろう。

 

 初目たちは現在建物の一階にある庭の真ん中にポッカリと穿たれた穴の前にいる。

 土がめくれ上がるでもなく綺麗に無くなっている。その穴の延長線上、正確に40度の角度で建物にも同様のモノができ上がっている。

 

 覗き込めば晴れた青空が視界に入って清々しい。

 

 男たちが昇降用のマシーンを組み立てて、その脇にどんな用途かもわからない鉄塊をごろごろと転がしてなんとも屈強な現場だと初目は思った。


「ふにににに…… 何かする事ないのぉ? 役立たずはイヤぁよー」


 力仕事の向かない初目はそう呟やく。


「お前はどこかそのへんで小物でも探してろ。そういう細々したもの見つけるのは得意だろう?」


 林寺は手持ちぶさたの初目に向かって言った。

 確かに大雑把という言葉がどちらかというと似合う初目はその性格とは裏腹に探索に出るとよく細かいところに気づくのだ。

 

 島民の女子供が喜びそうな生活用品や修理の根幹を担うであろう細かい部品や書類、書籍etc。


 華奢で痩身(これをいうと初目はとてつもなく怒る)な彼女が剛健な男たちに混じって探索に赴くのはそういった島民の期待などがあるからである。


「あとどれくらいで準備終わりそう? 」

「もうすぐだ。そう時間は取らないさ。初目、遠くには行くなよ。ここは機械兵の巡回ルートでは無いにしろ紛れ込んでいる可能性だってゼロじゃないんだからな? わかったかいお姫様?」

 

 藍のスーツを着崩し、作業を続ける林寺は額に汗を少々濡らしながらこちらにそう投げかけた。爽やかな笑顔を見せる林寺はやはりどこか伊達男といった感じだ。


 林寺は私の親代わりのような人物といえるだろう。


 母がこちらに不法に入国した際には少々いざこざが発生し、八方塞がりとなった母に救いの手を差し伸べてくれたのが林寺だった。

 さらに帝王切開で未熟児として生まれ、それと同時に母親を亡くした初目をその後林寺が引き取ってくれたり、島で暮らせるようにしてくれたりとほとほと頭が上がらない。

 


 林寺は元々は駿河内務省内の外交官のキャリアであり極東のスペシャリストであったという半分驚き、半分納得の過去を持つ。



 通りであのどこか浮世離れした、ある意味達観したような雰囲気を帯びていると思った。世界の事情にも精通しており、一方では諜報員としての裏の面があったり、なかったりといった話もある。



――でもやっぱり一番驚いたのは、アレだよな……。



 初目は庭の隅を電波探信儀で探索しながら思った。


 今話した林寺の過去を聞いて、勘の鋭い人はふと思うはずである。

 初目は現在17歳であり、林寺は30歳ほどである。だがしかし、初目の出生に立ち会い、17年共に暮らしたとすればその計算には少しばかりの矛盾が生じてしまうのだ。


 この駿河八甲国には自律的に行動する機械が生活面・軍事面で実用化され、人間も体の一部を機械化することが医療行為の延長として認知されている。


 政府の高官連中、特に戦争を経験している腰の重い者の中には歴戦の中に輝く自分と現在の痴呆一歩手前の自分との間に激しいギャプを抱えてしまう者も多いと林寺は語った。


 そんな連中にとって六縁機に対する想いというものはほとんど“羨望”に近い。

 その最たる理由は六縁機が生体改造を受けるその過程で設けられる手術により、不老長命の身体を持つに至るからである。


「科学の進展とは常に、人の欲望に対し帳尻が合わせられるものである」という言葉をどこかで聞いた事がある。


 高官や富豪連中、若さを、過ぎ去った時間を欲する者たち、他人へのアプローチとして自らの肉体に半永久的な瑞々しさを求める者はこぞって医療機器メーカーなどへ六縁機から派生する新技術の研究開発費として大金を投資し、その『対価』も得た。


 今では政府上層部の顔触れは数値的な平均年齢と照らし合わせても大きな開きが存在するのだ。


 

 ――そして、それは駿河政府内で過去に『外交官』としてのキャリアを有する林寺も例外ではない。



 初目は電波探信儀の反応に注意しながら林寺に目をやった。

 “食えない男”は先ほどと変わらない表情で作業を進めている。


 彼の齢に思いを巡らせ、世の中は生あるものが技術を作るがその逆もまたありえるのだと考え至ったのであった。




最後までありがとうございます。

また来て、読んで、暇つぶしにでもと思っています(笑)。

もしよければ感想でも書いてくれればと。"( ^-^)/且☆且\(^-^ )"


蓮コラ…… 検索すべきではなかった。。。。。。

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