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《報告:随時更新*夜狩▼統率機//敵性エンジン動作中・・・ 計上・・・ 確認完了 敵性ノ確認実行中・・・ スキャン・・・ オールレッド検出 敵性体多数発見 優先順位α》
《報告:随時更新*骨欠ケ▼統率機//敵性エンジン動作中・・・ 計上・・・ 確認完了 敵性ノ確認実行中・・・ スキャン・・・ オールレッド検出 敵性体多数発見 優先順位α》
《報告:随時更新*泡沫▼統率機//敵性エンジン動作中・・・ 計上・・・ 確認完了 敵性ノ確認実行中・・・ スキャン・・・ オールレッド検出 敵性体多数発見 優先順位α》
3体の攻撃的で刺々しいシルエットを持つ機械兵が初目たちによって封鎖された非常口のシャッターをぶち破った。2体のラプトルを思わせる姿形をした機械兵は比較的小さな体躯ではあるが、もう1体は一回り大きくて、サソリを思わせる形だった。3体はゆっくりと獲物を探るように練り歩き始めた。
無茶だと言われたが、放ってはおけない。
初目はナターシャの制止を振り切り、ハッチの向こうに駆けて行った。この階のどこかにミヨルがいる。身を潜めてくれているとありがたい。なぜならミヨルが隠れている所はなんとなく予想がついている。
この階には足元に子供1人がなんとか入れそうな空間がある。配管や通気口などが張りめぐらされており、最初ミヨルがそんな所から出てきたときは驚いたものだ。
最下層まで下りてきた。奥の方で何かを壊す音がする。
構わずに初目は足元にあるスチール製のグレーチングを外し、中に身体をねじ込んだ。この時ばかりは発育の遅い(止まったではなく、あくまでも遅い!)自分の身体に感謝した。
狭い空間を這って、ほふく前進で進んで行く。時折頭上に設置されているグレーチングから外の様子を窺って見ると3体の機械兵がいる。内2体はなんとかなりそうな大きさだが、もう1体は無理そうだ。初目はふと正面に目を凝らす。
小さな身体が震えていた。ミヨルだ。怖くて動けなかったのだろうが、今回ばかりは幸運に働いた。外に出ていたら今頃は御陀仏だったろう。
「ミヨル……」小さく問いかけた。
「お姉ちゃん!」大きな声を出しかけたミヨルを「静かに……」と制した。
「こんな所にいたのね。バカ」そう言うと涙を流しながら「ごめんなさい」とミヨルは謝った。
「あとで一杯説教だからね、バカミヨル」そういうと、ジェスチャーで着いて来るように促した。すると――。
何かに体当たりする音が聞こえた。小さな機械兵の1体がハッチに体当たりしている。
しまった! このまま外に出たら挟み撃ちにされてしまう。
どうすると初目が考えた矢先の事だった――。機械兵がその身に内包していた機関銃を取り出し、ハッチを銃撃し始めた。
「ひゃあッ!」重なる銃声に驚いたミヨルが思わず悲鳴を上げてしまった。
(まずいッ!)初目が憂慮するも、時すでにおそし……。
銃撃を続ける個体はそのまま攻勢を持続させているが、他の2体が今の声に気づいてしまった。ラプトル型は顔を地面に近づけ探るような姿勢を取り、サソリ型は尾先の鉄針で地面を突き刺している。
(もうダメだ!)初目が諦めかけたその時だった――。
『もう諦めるのですか? では私の出番は無さそうですね』声が聞こえた。聞いた事がある。
「ジーン!?」
『はいはい、ジーンですよ』緊迫したこの状況でよくもこんな暢気な声を……。
「どこよッ?」そう疑問を口にすると、『ここですよ』と聞こえ、右手に目がいった。
手袋だった。そうだこれは麓孫の服の繊維、つまりジッキン=ゲンの一部でもあるのだ。
「助けてジーン! このままじゃマズイの!」一筋の光明だった。
ジーンなら頼りになる。なんたって麓孫の相棒だもん。頼りにならないはずがない!
しかし――。
『助けることはできません。こんな小さな面積ではこの状況に対処しきれないのです』
初目の口から「そんな……」と力の抜けた声が吐いて出た。
『しかし、力にはなれますよ』彼のその言葉を聞いた初目は、“どんな?”とつい問い返した。
『こんな風にです』とジッキン=ゲンの声と共に手袋が変容し始めた。その姿とは……。
「なにコレ……?」という疑問符に、『スリングショットです』と彼は答えた。
『ただ普通の代物ではありません。弾は私自身から抽出し、ホーミング機能もあり、軌道を気にする必要はほとんどありません。威力は鋼鉄をも貫き、何より銃とは違い反動も少なく、扱いやすい』
「これで、私が戦うの?」そう言葉を吐いた初目に対し、『はい』と答えるジッキン=ゲン。
私なんかにはできない! そんな思いが噴出した。しかし、そばにいるミヨルと目が合う。逃げる事は許されない。
「お前はなんのために戦う?」
あの時の麓孫の言葉を思い出す。なんのため? 決まってるじゃない!
みんなのため。ミヨルのため。私の命のため。
そして、不器用だけど優しいあなたのため……。
少女は静かに、覚悟を決めた。




