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ようこそ。本日二度目の更新です。
お越しくださり嬉しいです。このまま作品も楽しんでもらえたら光栄です。
ではでは、あとがきでまた。
顔の良し悪しについて、今頃気になり始めた。 昔はどうでも良かったんだが・・・
シルク老人に麓孫は話を聞いた。昼餉の際に起こった問題について詳しい話が聞けると思ったからだ。問題は少し複雑な様相を呈しているらしい。
「ランとチナの関係性は今や最悪じゃ。チナ人からすれば奴さんは自分たちの土地をめちゃくちゃにしたよそ者。ラン人からすれば自分たちの復興を妨げる邪魔者」
「つまり、それとハツメの件が関わっているというのか?」
「あの子を“ラン”の出自だからといって蔑む者というのは少なからずここにも存在する」
「ハツメが何か迫害に値する行為、もしくはそれに準拠する行動を取ったのか?」
「縁機たる存在であるお主なら分かるだろう、統計をとるように、問題を解くように、解を求めるように正確に…… あの子はそんな子じゃない」
「人の心など分かったものではない」古肚の一件以来、麓孫は他者を信じることができない。人の、他者の心など理解などできはしないのだ。
「ああ、確かなことは分からん。そいうものじゃ。だが、人も、動物も、機械も本性は行動にでる。それだけは疑ってはならん」
「そうか、ならば『彼奴』は正真正銘の悪人だな」本性は行動に現れるというのなら、それこそもう逃れようのない事実だな。古肚よ……。
「あの子の行動を今まで見ていたのだろう? ならば分からんか?」
「……」
麓孫は給仕テントでの下りを思い出す。
「あの子には親がおらん。やり場のない感情を自分の中に詰め込みすぎないか、それだけが心配なのじゃよ」
それは無理があるだろうと麓孫は思った。彼女の生体情報をスキャンした時に検知した「雑多情報」の中には寂寞とした、荒寥とした感情が積載していたのだから。おそらく今日のような出来事も1度や2度ではないだろう。
「俺は縁機だ」
「知っておるさ」
「縁機たる俺からすれば、潜伏している敵性体などすでに見当もついている」
「それで……?」
「俺にとってハツメを『護ル』ということは、ハツメの意向に準じたものではない。彼女さえ『護ラレレバ』良いということだ。つまり、状況によってはそれら全員を葬ることだってできる。彼女の精神汚染を引き起こす原因を根絶するためならば、そのような行動にも出るということだ」
麓孫は冷たく、だが真実をありのまま述べた。そこには『巨兵』の最後に見せた思いやりはなかった。
「じゃが、それでは初目はさらに悩みの種を抱えることになるだろう」
「情報操作を行い、俺の目的が達成されるまでは事実はひた隠す。その後に彼女がどうなろうと知ったことではない」
拝命・救護対象として、ハツメはある程度は適役といえるが、しょせんはそれだけのことなのだ。関係性の途切れた後まで慮る必要はない。
「くッくッくッ。にしては、さきほどのお主の動揺ぶりというのはおかしなところがなかったか?」
シルク老人は麓孫に含みのある笑みとともに、言葉を投げかけた。
「ぐぬぬ……」
思わずたじろいでしまう。確かに、あの時の自分は平常ではなかった。自分の中で何か復旧後のエラーでも生じているのだろうか?
「……お主も他の縁機殿と同じだな。悩み、苦しんでいる」
「!? 知っているのか? 同志を!?」
麓孫の背筋がピンと伸びて、姿勢が急に正された気分だった。驚くべき事だが、老年は嘘偽りの一切を述べてはいなかった。
「昔に少しだけな」シルク老人はそういって、遠い目をした。
「……」
「肆扇殿も陸座頭殿も悩んでおられた、自分の存在や、誰かのいいなりである事に……」
「……」
「お主もそうだろう?」
麓孫は答えられなかった。自分の中には確かに「何故こうも戦うことを運命づけられているのか? それが無くなったあとは? 戦場という自分の居場所を失くしたあとは?」というどうしようもなく弱弱しい自分が確かにいたからだ。
「初目もそうじゃよ。それでも、あの子も、君も、皆も戦っているのじゃよ」
最後までありがとうございました。
どうでしたでしょうか???
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夜9時~11時にこれからもアップします。その時にもぜひ!
鳥山 明さん の名作は個人的に「ドラゴンボール」ではなく、「サンドランド」だと思う。




