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茫漠のジッキン=ゲン  作者: 大柄 仁
出会い
2/50

プロローグB

ようこそ。

ここまでお越しくださり、ありがとうございます。


17歳に戻りたい…… できるだけ美少年になって!!



《問:解答推奨*伍番機▼弐番機//煙草ト鷹ノ共通点ハ何ダト思ウ?》

《解答:感アリ*弐番機▼伍番機//ドチラモ空ヲ昇ルモノダ》


 


 駿河八甲国の国内よりその“奇跡”は発掘された。

 

 甲歴1946年の終わりから1947年の初めのいずれかの時期に、駿河国内の山奥で逼塞していた“世界の番人”の末裔ルターミレ族が住むとされる村の“羊飼い”ベツレヘム・エッ・ディープ(Beth Leḥem edh-Dhip、「六つの命のベツレヘム」の意だがこれは本名ではなく宗教上の“真名”。本名は本人の意志により非公開)とその弟が、ルートベヒ・クムルアンと呼ばれる遺跡(遺跡自体は何世紀も前から知られていた)の近くの洞窟の中で、謎めいた古代の遺物を発見した。

 

 それは機械が埋め込まれた“生きた”巨人であった。

 

 名を七福《第零未元番台》と名付けられたその巨人は驚くべきことに信号配列、配置図、因数・変数座標から体組織状況を調べてみても、97.05%までは、

 些細な違いはあれ、まったくの許容誤差をもつ、つまるところ人類の遺伝子とほぼ共通であるというのだ。

 さらに研究の結果、七福は我々と同じ完全なるヒト亜族(Hominina)に属する動物であるということが分かった。

 

 しかも、それ単体で完結している単体生命だということも判明、つまりこの『巨大なニンゲン』は生殖行為を必要とせず、交尾も異性も必要としないのだ。

 

 そして、最も研究者たちを驚かせたのはこの巨人が今もなお生きているということだ。


 七福は独自の波長パターンを持っており、それが“巨人から人類への語りかけ”だということが判明した。 

 その『言語』を解析した結果、駿河八甲国の科学技術は目覚ましい進歩を見せ、本来なら何十年と存在するはずだった“かの国”との技術的タイムラグをゼロにし、それどころかお釣りが返ってきたのだ。

 

 その技術の集大成とも言えるのが『六縁機ろくえんぎ』であろう。


 七福《第零未元番台》という現代の死海文書から技術を限定的に解明、その内容から生み出されたのが駿河八甲国軍の切り札として開発された超兵器“六縁機”である。

 

 六縁機とは、富士、鷹、茄子、扇、煙草、座頭を象った機体「縁機えんぎ」と、人間に生体改造を施して生まれるサイボーグである本体の二つからなる。

 

 一律に縁機と言っても、数百メートルの大きさの物もあれば数センチぽっちの物もあり、形状も嗜好品や動物など種々様々である。

 ただ全ての縁機に共通して言えることは本体のサイボーグがその過程で設けられる手術により、不老長命の身体を持っており、人智を超えた能力を有しているということだ。

 

 縁機の一機一機は戦略級の戦闘力を保有しており、彼らは後に勃発した戦争において各方面の戦場に兵器として投入されることとなる。

 ただ無尽蔵に利益と烈風の如き破滅を生み出し、吐き出すだけの戦争兵器として――。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 《上脳指令//即時対応:*//“骨羽”ヲ解放シロ》

 

 脳内で即座に行われる電脳通信は本体から縁機につつがなく伝達され、実行に移された。少年はただ命令するのみだ。

 

 『鷹』の腹部のハッチが開き、そこから一振りの刀が射出される。


 まるで猛禽類の羽を彷彿とさせる形状をしたその刀。名を骨羽うるはという。

 鋼鉄をも切り裂く無二の刃である。


 少年はそれを右手で掴み取り、風切る音を置き去りに『敵』の生存の余地を削いだ。胴体から真っ二つに切り裂いたのだ。

 両腕に装備している拳闘製カタパルト耐用の義手が筋力を暴力的に増幅させることにより初めて成立する芸当である。

 眼前に広がる平野、その平野を塗りつぶすようにヤツらはいる。

 敵の正体は機械である。

 しかも前時代的なぎこちなさを一切見せることのない人型の機械兵フレッチャーはおおよそロボットとは思えないほど敏捷かつ滑らかな動作駆動をこちらに見せつけ、次の瞬間には目と鼻の先まで肉薄してくるのだ。だが――。


 少年の袈裟切りが機械兵の左肩から右脇腹に向けて、有りもしない頸動脈や心臓、肺を寸断せしめた。これで十は斬り伏せた。


 敵の技術を侮ることはできない。

 彼奴等『傾国』はどこまで物量で攻めてくる。駿河八甲国と傾国は現在激しい交戦状態にある。我ら駿河が高質な戦闘を主とするならば、傾国はその圧倒的な生産力を生かした物量戦にこそ真価を発揮する。 

 『傾国』とは呼んではいるが、これは蔑称であり本来の国名など頭の隅にも置いてはいない今回の敵に対し、勝利への揺るぎない絶対の自信を持ってはいるものの、やはり栄耀栄華を極めたる国なだけはあり、その戦力は甚大にして極大。強敵というにふさわしいだろう。

 

 しかし――。

 

 少年の左薙ぎが機械兵の体躯を真横に分断した。これで二十は沈黙させた。


 二重関節が採用された機械兵の脚が何もない空中をバタバタともがく。

 サイドルッキングが瞬断された上半身でギョロギョロと動き、メインルッキングがカメラを通して少年を見据える。

 腰に水タンクを装備しているタイプの機体だったのか飛沫が散り、オイルと混ざった少し粘り気のあるそれは少年の頬に張り付き、少しばかりの線を引いた。やはり質は良くない。


「この戦争、我ら相手に勝利したければ、機械兵にオイルメインのエンジン形式など宛がうものではないということを知るべきだ、このマヌケが! 知覚と実行判断の間に致命的なシンクロ誤差が見え透いているぞ!! このゴミ屑共が!!!」

 

 少年は叫んだ。

 敵の指揮操作官はカメラと内蔵されているマイクを通して今の言葉を聞いたことだろう。

 憤っただろうか? それとも奮起しただろうか? はたまた作業的に次の機械兵に指揮権、操作権限を移し、役立たずのオイルエンジンを積んだ十数年は型の落ちた機械兵で自分の首を無意味に狙ってくるだろうか?

 だとしたら、始末が悪いとしか言いようがない!


 ならば見せてやる。地獄を。この現実の世界で。この戦場で! 今から!!


 《上脳指令:*//“クラス加護”ノ付与》


 少年はただ命令するのみだ。


 《下脳受領:*//“加護”ノ展開ヲ確認》

 

 『鷹』はその命令に服従するのみだ。


「「「「「 フハハハハハハッハハハハハハハハハハハハッハハハ!!!!! 」」」」」


 六縁機弐番機《第二正規番台》。

 二つ名は『弐鷹の麓孫ろくそん』。外見は17才相当。

 黒髪碧眼の少年は恐ろしい笑い声を上げ、髪を振り乱しながら人間の兵士と機械兵がごちゃまぜになった群れに向かって突進した。


最後まで読んでいただき、感謝です。

またお越しください。(*^-^)ノシ~BYE②~


17歳に戻りたい…… かわいい幼馴染とかも欲しい!! うんッ!! それが良い!!

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