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上級敵性体はどうやら、島の南岸を通るアップダウンの緩やかな快走路をずっと進み、脇の道にはずれ、そこを進んだ地点にいる。
『巨兵』がアスファルトで舗装された路を砕きながら進む。
《報告:随時更新*巨兵▼統率機//敵性エンジン動作中・・・ 計上・・・ 確認完了 敵性ノ確認実行中・・・ スキャン・・・ オールレッド検出 防衛範囲内ニオケル最大戦力ト断定 優先順位α》
『巨兵』はとにかくその巨大な体躯が特徴であり、戦力そのものと言ってよいだろう。
ほとんどの機械兵がその火力に頼っている訳だが、『巨兵』は肉弾戦闘、格闘にこそ、その真価を発揮する。
ならば5mもの巨躯をなぜ与えるのかというと、甲歴1990年に勃発した傾国との『ラン・チナ代理戦争』において戦場に必ず存在する高火力兵器とそれを護衛する防衛兼弾倉保有機を撃滅するためである。
防衛機もまた巨大な身を持つ。
だからこそ頑強であり、その存在は非常に堅固。並の火器では歯が立たない。
ならばと近接格闘を徹底的に覚えこませた機械兵こそが『巨兵』なのである。その巨大な身体にCQCの概念まで内包したまさに怪物なのだ。
武術、格闘において腰、肩関節の動きこそがパワー、速度、運動性の大半を支配する。
よって腰部の構造は人間に近く、人が有する柔軟さと屈強さは強化骨格で完全再現されている。膝関節は三点支持球体二重関節が採用され、細やかな方向転換も可能になった。
木立をなぎ倒しながら『巨兵』が進む。
木々の間を抜けたその眼前にはこちらに目を剥いている人間たちの姿があった。
『巨兵』はそんな彼らをメインルッキングから除外した。
向かうべき場所は分かっている。
前方に開口した大穴まで進み、深さをスキャン、直後にその身を投下した。土壁を引っ掻き、抉りながら上体を安定させ、出口から放出された。
薄暗がりの中でその『対象』の熱源を感知した。
『巨兵』が見ていたのは、目の前で呆然と佇む少女……
ではなく、その先の鉄の瓦礫の中に潜む存在だった。




