表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/138

食事のもたらす効果

「寂しくない」

「嘘だね」

「寂しくない」


 オレは繰り返し口にする、スープスプーンをぎゅっと握り、ディースを睨み付けるような眼差しもできなくて。俯いたまま否定する。


 目を瞑って、寂しくない、っと言い聞かせる。

 ディースは呆れるだろうか、それでも認めたくなかった。認めたら、寂しさが余計に溢れそうな気がして。


 寂しさを口にするのはとても勇気が要る、寂しいって言ったら背骨が折れるような。

 言い当てられれば、余計に胸がぎゅうっとして、一気に辛くなるんだ。


 やめて、もう言わないで。そんな単語、聞きたくない。


「私はリトルがいても寂しいよ。一人きりの君が寂しくないわけがない。でもね、それでいいんだよ。寂しくてもいいんだ。問題は、どうやって寂しさを伝えるかなんだよ。寂しいと素直に言う人は素直に受け入れられる。そうだね、君もなんだねって。でも君はずっと何も言わないで、察してほしそうにする。……誰かが君に注目して、君を思いやらない限り、有効的じゃない」


 ディースの言葉は、どこか厳しい。


「でもね、暖かい食べ物を皆で一緒に食べていれば、寂しさは消えるんだ。察してくれって態度をしなくても、寂しいって言わなくても、済むようになる。一緒に暖かい食べ物を食べる、それだけで共有できるんだ。――食べるっていうのは、命だけじゃない。そういう効果もあるんだよ。君が素直に寂しいと言えて、食べ物を食べるのが好きだと言えるまで、うちにいなさい」

「なぜ――なぜディースはそこまでオレを心配してくれる?」


 オレは一番に不思議に思った出来事を口にした。ディースは親身になって、心からオレを心配してくれている。


 これから先、ディースのいない未来も考えて口にしている。

 ディースのいない未来を考えるべきなのは、頼だと思う。頼はディースの孫なんだから。

 それなのに、ディースはオレのほうを心配してくる。

 オレはディースの青色の目をじっと見つめた、優しげな暖かみを持った視線が返ってくる。

 日向の中にいるような、暖かみ。


「判らなくていいんだよ、知らなくていいんだよ」


 そんな言葉は納得できない――。


 けれど……ずっと。ずっと暖かい家というものに触れてみたかった。孤独を感じなく鳴るというのなら。

 だから、ディースと頼のいる暖かい家にいていいというのなら、許されるのならいたかった。


 オレは――望まれたかったんだ。


 必要とされる〝誰か〟になりたかったんだ、笑い合える仲間が欲しかったんだ。

 ずっとずっと殺していた気持ちを言い当てられて、オレは言葉にならない感動に震えていた。

 ディースはただただ、オレを撫でてくれた。

この章はこれでお終いです。まだ続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ