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ディースの願いと頼の願い

 そのまま小屋に泊まって、暖炉の暖かみに癒されてうとうとする。

 オレが微睡んでいると、ディースと頼の会話が聞こえた。



「お前は何を叶える気なんだい、リトル?」

「何が?」

「私のためにあの子を連れてきたわけじゃないだろう? お前は昔から小狡い奴だった、何の損得もなしに私を喜ばせるなんてあり得ないと私は踏んでいるんだがね」

「ひっでぇなぁ、祖父さん。小狡いらしい俺は、元はと言えばアンタの血を引いてるんだぜ? さて本当に小狡いのは誰だろーな、グランパ? グランパ、最初に願ったのはアンタだろ? 俺じゃねぇんだ、アンタが願いを告げた。アンタの後悔が俺を此処に留めている」

「……私はもう二度とあの子に願わないよ。あの子と折角出会い直せたんだ、もう想い出を消さない。いいかい、孫とはいえ、あの子を傷つけるならお前とて容赦しないからね、リトル。あの子を利用するのはよしなさい。私はもう二度と〝千歳〟を泣かせたくないんだ」

「都合良いときだけ孫扱いしてくれるんだな……自分のことは棚上げかよ、むかつく。……祖父さん、昔のアンタみたいに俺だって絶対に叶えたいんだ……もう寝る、おやすみ」

「ちーちゃんはしばらく私が構おう、お前は狩りをしてくるといい、おやすみ」



 何をいったい話していたんだ……オレの知らないうちに、何かのコマが進められていてゲームの盤上がひっくり返るような予感がした。


 ひっくり返すのは、ディースなのか、頼なのか。


 微睡んだ後は、チェスの駒や台座がばらばらに崩れていく夢を見た。

 次の日、起きるとベッドの上だった。青いベッドは綺麗で、部屋の簡素な中に見える置物や飾り物は老人っぽくないから、頼の部屋なのだろう。


 頼がベッドを譲ってくれたんだ――ベッドってふかふかするんだな。


 ふわふわと心地よくて、時計台の石畳みたいな堅さじゃない。

 冷たくはないし、ふんわりとしていてまた眠気を誘うような、月明かりみたいな優しさ。

 ベッドが寝る場所としてされているのは、眠るだろう夜に近しい存在だからかな、って思った。

 ベッドから出て、扉を開けると、とてもいい匂いがした。

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