誰のせいでもない
西名さんはポツリポツリと話してくれた。
前にとても仲の良い友達がいたと。そして、その子は自分の誕生日に亡くなってしまったと。
「私が、私が、待ち合わせなんてしてなかったら、死んでなかったかもしれない」
西名さんは今にも泣きそうな顔で、唇を噛み締めていた。
「西名さんのせいじゃないよ」
無意識に言葉を発していた。
西名さんが私の顔を見つめる。それは戸惑いと怒りと悲しみの表情を浮かべていた。
「トラックの運転手のせいなら、まだしも。西名さんのせいじゃないよ。それは絶対だし、その子も、西名さんのせいだなんて思ってないよ」
「そんなの、分からないじゃん。だって、もう、いないんだよ」
「それは……」
告げるべきか、迷った。でも、今、ここで告げると、信じてもらえない可能性が高いし、西名さんをもっと苦しめてしまいそうな気がして。
何も言わない私を見て、西名さんはなんだが、失望したような表情を見せた。
そして、直した自転車で、去っていってしまった。
「お前の言ったことは間違ってねぇよ」
呆然と立ち尽くしていた私へ、誰かが後ろから話しかけてきた。振り向くと、神宮が立っていた。もちろん見た目は村近さんだけど。
「人は生まれ、そして、死ぬ。それは自然の定理。一生変わることはない。そして、生まれてすぐに、いつ、どうやって死ぬのか、が決められる。それは運命でどんなに力の強いやつも、その運命に逆らうことはできない。瀧河が若くして死んだのも運命。瀧河が殺したやつが悪いって考え方なら、トラックの運転手が悪い。
だから、どう考えても、西名が悪いってことにはなんねぇよ」
陰陽師の神宮が言うからなのか、それともなにか別の理由なのか。
その言葉は私の心に低く響いた。




