自転車置き場にて
放課後……。
自転車置き場にいくと、そこには噂の(3人の中でだけだが)西名さんが自転車のチェーンに何かしているところだった。
「西名さん?」
私が急に話しかけたことで、西名さんの肩がビクリ、と揺れた。そして、ゆっくりと私の方を振り向く。
「柏宮さんですか」
「あ、驚かせて、ごめんね」
「いえ。それと、これは自転車のチェーンを直しているんです」
何故、私が聞こうとした質問が分かったんだ!?サトリか!?サトリだったのか!?と思ったのち、違う疑問が浮かんだので、それを問いかけてみる。
「え?なんで直してるの?」
「校門に入った瞬間に、恐ろしい音を自転車がたてたので、何事かと思ったら、チェーンが外れていたんです」
「なるほど」
チェーンが外れる音って、そんなに恐ろしい音だったっけ?
西名さんは私に説明しながらも、チェーンを直す手を止めず、カチャカチャと作業を進める。
話しかけたはいいものの、これからどうしたらいいのか分からなくなった。チェーンの話を広げられる訳もないし、他の話題を提示しようにも、西名さんと私が共通して話すことができる話題なんて思いつかず。
だからといって、今、ここを去ってはいけない気が私はしていて……。
でも、やっぱり、思いつかない訳で……。
「西名さん、私と友達にならない?」
すごく単刀直入になった。
西名さんが「急にこの子は何を言い出すのか」という顔をしている。
自分自身でも、なんでこんなこと言ったのかと後悔してるわけで。怪しまれるだろ、これは。
驚いた表情をしていた西名さんは、私を見つめた後、少し俯いて、
「……ならない」
と言った。
まさかの言葉に柏宮は大きなダメージを受けた。なんて言ってる場合じゃなくて。まさか、ここまでキッパリと拒絶されるとは思っていなかった。
「んー、なんで?」
おこがましいかと思ったが、聞かずにはいられなかった。
「私と友達になると、不幸になるから……」
そう言った西名さんの顔は今にも泣きそうで、まるで、何かに助けを求めているような表情だった。




