プロローグ
[エイジ250年]
~灯の里~
「ヴァン様!!火の手が近くまで迫ってきております!!このままでは…!!」
従者の一人が、慌てた様子で老人に言い寄る。
ヴァンと呼ばれた老人は、従者を睨む。
「馬鹿者!!慌てるでない!!」
ヴァンのこの一言で、従者は黙る。
「レイウェアを呼べ…急ぐのじゃ、“奴ら”には悟られぬように…」
「承知しました…」
ヴァンの言葉に従い、従者はその場を後にする。
「レイウェアよ…許しておくれ。お前には…辛い思いをさせてしまうことに……」
ヴァンは、火の海と化した里を見下ろしながら、哀しげにそう呟く。
「父上!!」
息を切らしながら、レイウェアが走ってくる。
「お呼びですか?」
「うむ…」
ヴァンは、娘であるレイウェアを見つめる。
「レイウェアよ…わしから魔法を受け継いで逃げろ」
「なっ!?」
ヴァンのこの言葉に、レイウェアは動揺を隠しきれない。
「そんな事をしたら…父上が…!」
「いいから…逃げるのじゃ!!」
ヴァンの剣幕に、肩がビクッとなるレイウェア。
「頼めるのは…お前しかいないのじゃ」
「…わかりました」
暫くの沈黙のあと、レイウェアはそうこたえた。
その後、レイウェアはヴァンから魔法を継承すると、案内されていた隠し通路から一目散に逃げた。
そして…あれから300年が経とうとしていた…。




