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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

"永遠の部屋"

掲載日:2026/03/13

手術室の壁のタイルは、幾つか血に塗れて居る

無影灯は息を引き取ったように静まり返り、部屋はほとんど闇のようだ


僕と君は、既にそれに眼が慣れて始めて居た



君の白く骨張った手を、手の甲から指の先まで、滑るように嘗めてなぞる

君は椅子の上で羞恥に眼を背け、やがて瞼を降ろす


そう

シャツ姿をした君の躰は、いま僕の腕に力無く抱かれて居るが、頭部だけは切り離されて、椅子の上に置かれて居る



「ねえ」


時折振り向いて、とろけた上目遣いに君の顔を視る



「…………美味しいよ」


「とっても美味しい」


君は眼を閉じたまま、悔しそうに口元を歪める

僕はわざと音を立てて、君の首の断面を味がしなくなるまで嘗め尽くすと、今度は肩口に噛み付いた


口の中に、紅くて塩辛い躰液の味が広がっていく

薄眼で様子を伺おうとした君が「ひっ」と声を上げるのが聴こえて、僕はもう一度君の顔を視た


眼が合って

僕は、口の端を吊り上げて嗤う



「こんなこと」


「もう、止めてよ」と、君が泣きながら弱々しく懇願する


僕は、君の肩から口を離す

君の皮膚には、僕の歯型が不可逆的に刻まれて居て


その事がたまらなく、嬉しかった



口を開ける

君に歯並びの、糸切り歯の部分を誇示し、視せ付けるように


君の眼を視ると、瞳孔が恐怖で拡がるのが観察出来た

眼を合わせたまま二度、三度と、君の躰に真っ赤な歯型を付ける


十回も噛む頃には、僕の唇は、跳ねた血液が油絵のように重なり合って居た



嗚咽が聴こえる

残念ながら、君にはもう、涙を拭う指すらが付いて居なかったが


僕が金属のトレイからメスを持つと、君は残された生命総てを絞り出すような怒りで、僕に「やめろ!」と叫んだ



「どうして………!!」


「約束が違う!」


もちろん、そんな約束もしたかも知れない


でも、頭しか無い人間に僕を罰する事など、事実上不可能だった



それにしても、なんて甘い歌声なのだろう

続く罵声を聴きながら、僕は君の胸から脚の付け根まで、鮮血で一本の線を引いた


腹膜が開放され、息苦しさに空気を吸いたがっていた君の中身が、ゆっくりと躰外に姿を視せる


僕は恍惚と眼を閉じながら、腹部から吐き出された君の『それ』をべちゃべちゃと握り締め、頬擦りを繰り返した

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