太陽の沈まぬ世界と、動き出す時計
世界は案外、単純でいい加減です。
ここは、昼しかない世界。
ただひとつ、時を刻む懐中時計が物語を動かします。
「現実って何だろう」と思ったことがあるなら、少しだけお付き合いください。
※この物語の世界観について(詳しいあらすじ)
地球は丸く、太陽が昇り、やがて沈み、月が顔を出す。そしてまた、日は昇る。
そんな当たり前の世界で暮らしていた少年、沫須 紅論は、ある日、事故で意識不明の重体に陥る。
彼が目を覚ましたのは、そんな“当たり前”の常識が通じない異世界だった。
けれど、彼は次第に“どちらの世界が本当なのか”すら分からなくなっていく。
異世界の名は、アレヴ。クリーンエネルギーですべてをまかなう、科学の進んだ世界。
そこでは、クロン=バシュという名で、彼はごく普通に快適な生活を送っていた。
――ただし、“太陽が沈まない昼だけの世界”という、ひとつの不思議を除いて。
そんなある日、空が真っ赤に染まり、警報が鳴り響く。
AIは暴走し、コロニーは壊滅の危機に瀕する。
クロンは、家族を守るため、仲間のガンジュ、フィリパと共に、コロニーを脱出し旅に出る決意をする。
この謎めいた世界で明かされる真実。
本当の自分とは、いったい何なのか――。
「目に見えるものが、必ずしも真実とは限らない。」
不思議な世界に翻弄されながらも、生きることを諦めずに進む、少年の冒険がここに始まる。
【カチッ】……そして、時計は動き出す――。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
見えるものがすべてではない――
そんな感覚に、少しでも触れたなら。
次から、物語は動き出します。




