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生まれ直した令嬢は二度目の生をわがままに突き進む  作者: 三毛猫みゃー


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第41話 お披露目会

 ついに決戦の日がやってきた。生まれ直して早五年、このお披露目会の対策を始めて早二年。結局のところ前世の記憶はあまり役に立たなかった。そもそも前世の五歳の時のことなど殆ど覚えていなかった。


 今回の注意点としてはバカ王子のシリウスとは程よい距離を保つこと。攻略対象の公爵家三人に対しては話が通じそうなら今のうちに味方につけておく。攻略対象の婚約者になる予定の令嬢とは友誼を通じておく。こんなところだろうか。


「ロザリア様、城に到着致しました」

「わかりましたわ」


 馬車に同乗していたラードリヒおじさまが先に馬車から降りて、私が手をつかみやすいように手を差し出してくれた。今のラードリヒおじさまはきちっとした貴族の衣装を着ている。お父様の代わりに私のエスコート役をこなしてくれている。


「おじさまありがとうございますわ」

「本日はロザリア様のエスコート役ですからね」

「もう、おじさまったら」


 おじさまのおどけた仕草をみて先ほどまであった緊張が取れた気がする。おじさまの手を取り馬車から降りる。周りに止まっている馬車の数は少ない。この場所は上位貴族専用の馬車寄せなので王族、公爵、侯爵までが利用できる。


「ふむ、どうやら大丈夫そうだな」


 どうやら私が緊張をしていたと思い、おどけて見せてくれたようだ。こういった気遣いが出来る男性は私からしても素敵だと思う。


「ロザリア・スカーレッド様でございますね?」


 一人の若い執事服の男性が歩み寄ってきて声をかけてきた。


「ええ、ロザリア・スカーレッドですわ」


 執事服の男性は頷くと居住まいを正す。


「ようこそお越しくださいました。これより待機部屋まで案内させていただきます」


 綺麗な所作で頭を軽く下げて案内を始める。私とラードリヒおじさまがそれに続き、その後にリリンとルーセリアが続く。


「こちらの部屋になります。入場前には改めてご案内いたしますので暫くはこちらでおくつろぎ下さい」


 執事服の男性はそう言って部屋から離れていった。案内された部屋はいい値段がしそうな調度品や家具が置かれている。流石は王城といったところだろうか。


「ロザリア様、紅茶でもおいれしましょうか?」


 リリンが部屋に備え付けられている湯沸かしの魔道具でお湯を沸かしながら聞いてきた。


「いただこうかしら。ついでにリリンとルーセリアの分もお願いしますわ」

「かしこまりました」


 普段はもう少しフランクな感じのリリンも王城の中では緊張するようでなんだか素っ気ない。


「おまたせしました」


 リリンが四人分のカップとソーサーをテーブルに並べる。


「二人とも落ち着きなさい」

「そ、そう言われましても、こんな調度品の部屋は落ち着かなくて」

「私もです」

「何をいっているのかしら? リリンが今持っているカップも金貨が七枚はするものですわよ」

「ひぅ」


 リリンは変な悲鳴をあげながらカップをソーサーに戻した。


「流石は王城といった所ですね。紅茶がおいしいです。茶葉が何かはわかりませんが」

「俺はあまり紅茶はのまないが、マズくはないな」


 ラードリヒおじさまは、一口で飲み来てしまった。熱くないのだろうか?


「飲み慣れない味ですね」


 ルーセリアは余裕の表情を浮かべてカップを傾けているが、先程私がいった金貨七枚という言葉を聞いていたためか指に力が入っているのがわかる。そんなルーセリアだけど、いま現在彼女は小金持ちだったりする。少し前にドライヤーの魔導具が売れたからだ。売り先はお父様とお母様の交友関係者だった。


 そして売るに際して商人ギルドで商品を登録したおかげでもある。商人ギルドに登録された商品は、同じ効果があると判断された魔導具に対して一定の金額が支払われることになる。


 つまりは、温度調節の出来て風を出す事が出来る魔導具が売られた場合、ルーセリアに一定額のお金が入ることになる。その代わりその魔導具に使われている技術や魔術回路などは、商人ギルドに登録している商人なら誰でも見ることが出来ることになる。


 そういうわけで今のルーセリアは小金持ちになっている。ただルーセリアの前世は小市民だったらしく、余裕ぶっているように見えるが内心はかなりテンパっているように思える。


「ルーセリアではありませんけど、確かに飲んだことのない茶葉のようですわね」


 確かに飲んだことのない紅茶のようだ。私が知らない紅茶というのは西側諸国の茶葉なのかもしれない。良い機会なので、王都から戻る前に新しい紅茶を探してみるのも良いかも知れない。


 紅茶を楽しんでいると時間が来たのか扉がノックされて、扉が開けられる。


「ロザリア様、会場へご案内致します」

「よろしくお願いいたしますわ」


 ここからは私とラードリヒおじさまだけが移動する。リリンとルーセリアはお留守番だ。執事のあとについていき暫く進むと会場の入口に辿り着いた。ラードリヒおじさまが腕を差し出して来たのでその腕にそっと手を乗せる。


「スカーレッド家、ロザリア・スカーレッド様ご入場」


 扉が開かれ、騎士の言葉を聞きながら私とラードリヒおじさまは前へと進む。会場内の視線が私に集中するのがわかる。目だけであたりを見回すと懐かしい顔がいくつも見えた。

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