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生まれ直した令嬢は二度目の生をわがままに突き進む  作者: 三毛猫みゃー


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第39話 王都にたどり着く

 時間にして一時間ほどたった頃にセイバス達は戻ってきた。見た所けが人などはいないように見える。


「ロザリア様ただいま戻りました」

「セイバス、騎士の皆様ご苦労さまですわ」

「ロザリア様の加護のお陰でけが人などは出ておりません」

「それは良かったですわ」

「それでですね、商団のトップがロザリア様に挨拶をしたいと言ってきているのですが」

「そうですわね……。辞めておきましょう。私はまだお披露目前の身ですわ。ただあちらも商人として不義理は出来ないでしょうから、後日スカーレッド領ででしたらお会いできる旨を伝えてほしいですわ」

「了解しました、そのように」


 お披露目前によく知りもしない商人と会うのは避けたい。特に私は公爵家の一人娘という立場なので、お披露目前に広まると色々と不都合があるかも知れない。


「ロザリア様、騎士の皆様の休憩も兼ねて少し早いですが昼休憩にしてはいかがですか?」

「そういたしましょうか。どちらにしろ前の商団もすぐには動けないでしょうから。倒した盗賊の処理は商団に任せてきたのですわよね?」

「はい。いくらか金を払おうとしてきましたが断られました。そのかわりに死体の処理は任せております」

「それならよろしいですわ。では商団の様子を見ながら昼休憩をしますわ。念の為あちらには次の街まで付いてくることは許可すると伝えておくといいですわ」

「かしこまりました」


 セイバスが騎士の一人に指示を出し商団へと向かわせる。念の為か三人体制で向かっていった。セイバスは続けて盗賊退治に向かった騎士たちに休憩の指示をだしている。


 私たちは素早く昼を済ませていつでも出発できるようにしておく。旅の間の食事は簡単なもので、固く焼かれた黒パンと塩漬けされた干し肉をお湯でふやかしたものなどだったりする。


 最初は公爵令嬢である私がそう言った食事をすることに申し訳無さそうにしていた周りの騎士たちも、私が文句も言わずに食べるので関心してくれている。そもそもの話、騎士の訓練場で体作りを続けている私を見ているので普段から交流しているのも大きいのかも知れない。


 休憩の入ってから一時間ほどたった頃、後方の商団も出発できるようになったと知らせがあった。盗賊退治で時間を使ったが余裕を持って行動をしているので日が暮れる前に泊まる予定の街へたどり着けるだろう。再び長い馬車の旅が始まった。



 スカーレッドの領地を出て十日後、私達は王領に辿り着いた。王都にはここからまだ一日ほどかかる事になる。王領はかなり広い。我がスカーレッド領もかなりの広さがあるが広さだけなら有に四倍はあるだろう。


 国に収める税は王都から一日離れた場所にある砦で検品され収められる事になる。これと同じような砦は王領に沿って八ヶ所あり、各領地から運ばれてきた税としての作物が収められる。流石に王都に全て集められると大変な数になるので理にかなっているのだろう。


 そして、ここからは大半の護衛の者と分かれて王都に向かうことになる。流石に王領ということで治安はいい。いくら広いとはいえ盗賊などが出ることはない。もしそういう者が発見されたとしてもすぐに殲滅され、仮に他領へ逃げたとしても王軍には許可を得なくても他領への進軍が認められているので逃げられることもない。そういう事が知れ渡っているので盗賊たちも王領へ入ることはないようだ。


 私達は物資の護衛と別れ、その足で王都方面へ進む。王都までは馬車で一日かかるが、その中間地点に大きな街があるのでそこに泊まることになる。ちなみに税の受け渡しを終えた騎士たちは三日ほど休暇がもらえ、この街で買い物などを済ますようだ。王都がいくら広いとはいえ、全ての領地の騎士が王都に集まるというのは色々と問題があるのだろう。同じような街は砦と同じように王都から離れた位置に八ヶ所ある。


 広い王領とはいえ、元々は王領のあった範囲がこのフィフスティア王国の全てだった。そこから戦争で領地を広げていき今のフィフスティア王国となった事になる。それもたった一代で成し遂げられた。


 なぜそのようなことが出来たのかと言うと、ひとえに当時のフィフスティア国王が光の精霊の加護を受けていたからと言われている。それほどに精霊の加護というものは強力なのだ。そして今でも何代かに一人は王家から光の加護を得るものが生まれる。そしてバカ王子ことシリウス・フィフスティアも後々光の精霊の加護を得ることになる。


 今考えると、前世で私がシリウスと聖女によって国外追放となったのは私が精霊の加護を持っていなかったからなのかも知れない。あまり覚えていないが聖女が何某かの加護を持っているという噂は聞いた記憶がある。


 結局それがどういった精霊の加護だったかはわからなかった。前世の私は聖女に全く興味がなかったからでもある。精霊の加護というものが強力だということは知っていたはずなのにどうもおかしい、と今なら思う。


 街で一泊した私達は早朝に街を出て王都へ向かう。同じように貴族の馬車が街を出ていく。流石は王都に繋がる街道ということで、全て石畳になっている。こころなしか馬の進む速度も速くなっている気がする。そのためか予想していたよりも早く王都が見える位置まで辿り着いた。


 王都の中央。一段高い所に建てられたあまりにも大きい王城がその存在感を放っていた。平城と呼ばれるものではなく、大きな岩山を背景に建てられた王城は物語に出てくる魔王城のようにも見えた。白で統一された壁が黒ければ本当に魔王城と言われていたかも知れない。

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