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生まれ直した令嬢は二度目の生をわがままに突き進む  作者: 三毛猫みゃー


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第32話 魔導具作り

 ダージリンティーを一口飲み話を変える。


「隣国に対してはリーザにお任せしますわ。今日の本題はこちらになりますわ」


 私は空間魔法を使い魔導具を取り出す。ルーセリア監修の元作られた魔導具。作ったのは我が家の屋敷に住み込んで住んでいる職人だ。我が家の魔導具のメンテナンスを一手に引き受けているドワーフ。前世ではその役割は普通の人間の男性だったはずだけど、今世ではその男性に変わりドワーフの男性になっていた。


 きっと今世ではこういった入れ替わりが、様々な所で起きているのだろう。そのドワーフの男性だけど、物語のドワーフと同じように手先が器用だ。皆からはゴン爺と言われていて本名は知らない。


 私が近寄っても視線を一瞬向けてくるだけで後は黙って作業をしている。そんなゴン爺はルーセリアの話す科学の時代の道具に興味を示した事で、作るのを手伝ってもらうようになった。見た目は髭面で巨体なので怖いけど、話してみると普通のおじいちゃんだった。今では話しかければ普通に答えてくれるまでの仲になっている。


 腕の方はかなりいい魔導具職人のようで、逆にどうしてスカーレッドの屋敷で暮らして魔導具のメンテナンスを生業にしているのかわからない。ゴン爺に聞いてもそのことについてははぐらかされたので、それ以降は聞かないでいる。


 別に魔導具を作るのが嫌いというわけではないようだ。もし嫌ならルーセリアが書き出した適当な設計図にも満たない物から、ちゃんとした魔導具が作れるはずもない。まあ、作っている時のゴン爺は子どものように目をキラキラ……ギラギラ? させて作り上げていた。


 今回リーザに魔導具を見せに来たのは、販路の問題と量産体制を整えたいと思ったからだ。流石にゴン爺に量産までしてもらうわけにはいかない。そもそもゴン爺は我が屋敷にある魔導具のメンテナンスが本業なのだから。


 魔導具作りはあくまで暇つぶしと趣味も兼ねて作ったと。そして面白かったと、また珍しい発想の物があれば作ってくれるとも言ってくれた。


 リーザの前の前に置かれた魔導具。ルーセリアが名前をつけたのだけど、元々はルーセリアの生きていた科学の時代の日用品だったようだ。


「これがドライヤーですわ。温風と冷風を出して髪を乾かすのに使いますわ」


 リーザがドライヤーを手にとり早速起動させる。ブオォーという音とともに風が吹き始める。


「その手元のスイッチを切り替えることで熱い風と冷たい風、そしてどちらでもない風が切り替えられますわ。今後の課題としては温度調節が出来るようにしたいですわ」

「これで髪を乾かすのか。ふむ、魔力の使用量も少なくていいとなると、長い髪の者には売れるだろうね」

「価格は貴族のように装飾を付けたもので、金貨十枚。素材をなるべく安いものに抑えて装飾などもない物を金貨一枚を想定しておりますわ」

「ふむ、悪くない値付けだな。だがもう少し高くても良いだろう」

「原価に比べると高いくらいだと思いますわ。それなのに、まだ安いということかしら?」

「そうだね。原価がいくらかは知らないが、遠方まで運ぶものやそれそのものを売るものの取り分などを考えると、もう少し高値でいいと思う」

「具体的にはどれくらいかしら?」


 確かに庶民用の素材で作るだけなら金貨一枚も必要ない。リーザがいう問題はこのドライヤーは簡単に壊れないというところも問題にしている。壊れないということは買い替える必要がないということになる。そうなるとそのうち売れなくなる。つまりは壊れるまでの年月を考えて値段を決めたほうがいいということだろう。


「そうですわね。それでは庶民用を金貨一枚と銀貨五枚。貴族用を金貨二十枚にいたしましょうか」

「そんな所だろうな。そこから買った商人が自分の利益を乗せることで最終的には庶民用が金貨二枚、貴族用が金貨二十五枚といったところだろうな」

「いっそのこと貴族用は私の方で売るという手もありますわね」

「ふむ、そうだなローザ様のお母君を巻き込めば可能かも知れないな」


 お母様を巻き込む。多分これは失敗する。なぜかというと、お母様は社交やお茶会などの他家との交流が殆どなくなっているからだ。病み上がりというのもあるけど、お母様自身が余りそういうのを好まないからだ。


 だといってもまったく知己がいないわけではない。お見舞いと称して会いに来てくれる友人もいるようだ。その何人かは私のこともかわいがってくれている。もし貴族を相手に売り出すのなら、お母様の友人に協力してもらえばいいかもしれない。


「庶民向けの商人ならつてがある。貴族の方はあえて受注を受けてから一つずつ作るほうがいいだろうな」

「確かにそうですわね。それで魔導具を作れる職人に伝はないのかしら?」

「残念ながらフリーの職人の伝はないな」

「それは残念ですわね。そうなると少し考えないといけませんわね」


 やはり魔導具職人を確保するのは大変そうだ。暫くは自分たちで使うだけにして、量産体制は後々なんとかするしかない。一応どうするかは考えている。流石に四歳児のままでは色々と支障がある。


 それに売り先である貴族との繋がりを考えると、お披露目会が終わってからのほうが売りやすいだろう。それまではゴン爺になんとかお願いして、一つずつ作って貰うしかないだろう。


「一応職人は探してみるがあまりあてにはしないでほしい。それでこのドライヤーはどれくらい今はあるのかな?」

「二つですわ。そのうち一つは私が使っていて、もう一つは今リーザが手に持っているものですわね」

「まあ売り出すのなら庶民よりも貴族からがいいだろうね。庶民の間に先に広がったとなると貴族にとっては面白くはないだろうからね」

「はぁ、仕方ありませんわね。資金稼ぎもなかなかままならないですわ」


 リリンがお代わりのダージリンティーを注いでくれたので、香りを楽しみながら喉へと流し込んだ。

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