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生まれ直した令嬢は二度目の生をわがままに突き進む  作者: 三毛猫みゃー


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第25話 逆行転生

「どうしてそう思ったのかしら?」

「その、私は生まれた時から記憶があるのですけど、それを加味しても三歳や四歳でそれほど流暢に話せませんでしたので」


 すごく真っ当な答えが返ってきた。転生というものがあるという前提で考えると、そういう答えにたどり着くのは自然なことかもしれない。ただ私の場合は転生なのかと言われるとどう答えたら良いものか迷う。


「転生、と言われると少し違う気がしますけど、似たようなものではありますわね。つまり私にもこの体になる前の記憶がありますわ」

「そのあたりのこと詳しく教えてもらえたりは」

「別に構いませんわよ。あなたも私の協力者になっていただきたいと思っていますからね。この話を知るのはリリンを含めて数人だけですわ」


 私はルーセリアに、リリンやリーザに話した話を聞かせる。流石に五億六千七百万年の間寝ていたという事や、世界が何度も滅んでは新たに再生しているといった箇所も省いておく。その代わり、ほんの少し先の世界からこの時代の自分自身に生まれ変わったと話した。


「それは逆行転生や回帰と言われるやつですね」

「あら、この現象も転生になりますのね」

「そうですね。私とは違うようですけど、そういうことでしたらその言葉遣いはおかしくないですね」


 うんうんというふうにルーセリアは頷いている。


「もしかしてリリンさんもそういう感じだったりします?」

「私は違いますよ。前の生の記憶などはありません」


 実際リリンには前世の記憶などはほとんど無いようだ。ただ、ティアが言うには何かの拍子で前世の記憶が現れるということはあるようだ。前世の記憶と呼ばれるものは魂に刻まれている物らしい。


 未来視や予知夢というものもそれに含まれるのかもしれない。先の未来を見ていると言うよりも、前世や前前世の記憶を思い出しているという方が正しいのだろう。


「えと、それで先程協力者という言葉が聞こえた気がしたのですが」

「そうですわね──」

「ロザリア様、あと少しでご夕食の時間になりますので本日はこの辺りで」


 リリンにそう言われて窓から外を見てみると、外は暗くなり始めていた。部屋の中は普段から灯りの魔導具がつけられているので、外を見るまでこれほど時間が経っていることに気が付かなかった。


「仕方がないですわ。今後時間がある時にこうして情報のすり合わせを致しましょう」

「わかりました。私もまだまだリセ恋について話足りないですので」

「そ、そうですわね。ええ、私ももう少し詳しく聞きたいですわ」


 ルーセリアが勢い込んでそんな事をいってくる。私は身を引きながら頷いて返事をする。リセ恋、つまりはあのバカ王子と四大侯爵家のうち我が家を除いた三家の子息についての情報がほしい。


 きっとその四人とは五歳になれば、お披露目会で会うことになる。避けるとしても情報はあったほうが良いだろう。ただしリセ恋という物語は私が貴族学校に入るのと同じ時期の話になるので、幼少期には当てにならないとも思っている。それでも知っているのと知らないのでは違いがあると思っている。


 バカ王子は完全に絡まないようには気をつけるが、他の三家とはそうもいかないとも思っている。なぜなら、いえまだ起きるとは限らないので今は深く考えないでおく。


 今世は前世と違い、多種多様な種族がいて国を作っている。その事によって先の世はどうなるかわからない。ただ今は私の手の届く範囲のみに集中したほうがいいとも思えている。前世であった事が必ず今世で起きるとは限らない。少しくらいは備えようとは思うが、余りやりすぎるとそれこそ先の世の動きが変わってしまうのではないだろうかとも思っている。


「それでは失礼致します」


 ルーセリアは足を揃え背を真っ直ぐにして立ち、右手を左胸に添えて一礼して部屋を出ていく。立ち振舞は完璧で、見る人が見れば惚れ惚れしそうではある。ただリセ恋の話をしている姿を知っているとなんとも言えない気持ちになる。


「それでは私たちも夕食に参りましょうか。今日はお父様もお母様もいらっしゃるのよね?」

「はい、そう聞いています」


 最近お父様は忙しくしていらしたから三人揃っての食事は久しぶりになる。前世の今の時期は、お母様も亡くなられていて、お父様も隣国で起きている政変関係で家を開けることが多かった。


 これもお母様が生きている影響によるものなのか、隣国の政変は余り進んでいないようだ。前世ではかなり血なまぐさい事が起きていたはずなのだけど、何がどう変化したのかはわからない。なにはともあれ、お父様がいることでお母様の機嫌がいいのはいいことだ。


「リリン、セブルかハイツを通してでもいいので、リーザに隣国について調べるようにと依頼をしていただけるかしら?」

「隣国ですか? 隣国といいますとシーリア様のご実家がある所でよろしいですか?」

「ええそこになりますわ。前世のことになるのですが今の時期なにか大きな事があったと記憶していますわ。そのはずですのに未だに動きがないようですので少し気になっているのですわ」

「かしこまりました、後ほどセブルに話をしておきます」

「お願いしますわね」


 リーザならなにか情報を掴んでくれると思う。余りこの頃の事は覚えていないので、もしかすると政変がまだ先だった可能性もある。それならそれでなにか出来ることがあるかもしれない。それこそお父様が巻き込まれた原因を見つけられれば、何らかの対処はできるかもしれない。

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