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第16話 魔力視

 訓練用の服を依頼し、リーザイアの店までやってきた。ちなみに訓練用の服は袖の長いチェニックにして、その下にキュロットを履くようにした。流石は三歳児の体というべきか、服装を着るよりも着せられている感が否めない。


 動きやすさと、転んでも怪我をしないようにと考えた末にこれになった。領主の依頼ということと子供用ということで、一週間ほどで作ってくれるとのことだった。ついでにブーツとグローブまで買うことになったのは、商売上手というかなんというか。必要だと思ったのでこちらも作ってもらうことになった。


 リリンなどが怪我を心配して極力肌の露出がない出で立ちになったのだけど、これはこれで熱いのではないのでは? と聞いてみた所、どうやら使う生地は魔物の素材のようで、通気性もよくて蒸れたりしないようだ。

 

 どのような魔物の素材なのかと聞いてみた所、どうも前世にはいなかった魔物のようだった。前世にいなかったエルフやドワーフなどの種族が増えているのだから、魔物も種類が増えていてもおかしくはないのでしょう。



「待っていたよ」

「待たなくてもレシピ通りに作っていただければよろしかったのですけど」

「それも考えたのだけどね。念には念をというやつだ。流石にもう一度素材を集めるとなると流石にね」


 カウンターの上に並べられた素材を一つずつ確認していく。どの素材も魔力は十分に残っているようで問題なさそうだ。


「どれも問題はなさそうですわ」

「そうか」

「もしかして今のリーザは素材の魔力が見えませんの?」

「素材の魔力?」

「そういうことですのね」


 素材の魔力を見る。これは錬金術をするうえで必要な技術になる。この技術を私に教えてくれたのがリーザイアだったことを考えると、少しおかしく感じる。


「リーザ、少しかがんで目を閉じていただけるかしら?」

「あ、ああ、構わないが」


 リーザイアは私の前まで移動してくるとその場に片膝をついて実を低くする。


「少し失礼しますわ。終わるまで目を開けないでくださいね」


 そっと右手をリーザイアの閉じた目に添える。


「行きますわ」


 ゆっくりと右手から魔力を流していく。ピクリと一度だけ肩を動かしたリーザイアだけど、それ以降はまったく動かなくなる。


「もう良いですわ」


 右手をリーザイアの顔から離して、声をかける。リーザイアは閉じていた目を開けて立ち上がり首を傾げる。


「特に何の変化もないが?」

「意識して目に魔力を集めてみると良いですわ」

「目に魔力を?」


 リーザイアは一度目を閉じて目に魔力を集めるイメージをしているようだ。


「目に魔力を流した状態で、こちらの素材を見てみると良いですわ」

「これは、まさか」

「出来たようですわね」

「物の魔力が見える。まさか錬金術の成功と失敗の違いとは、素材に魔力が残っているかどうかということなのか?」

「そういうことですわ。一つでも魔力のない素材が混ざっていますと、成功率がぐっと下がることになりますわ。それを回避するためにこの魔力をみつことの出来る技術は必須とも言えますわね」

「本当にすごいことだよこれは。これが出来れば錬金術の失敗がかなり減らせるのではないだろうか。ローザ様、君に感謝するよ」

「気にしなくてもよろしいですわ。そもそもこの技術を私に教えてくれたのはリーザなのですから」

「私が? 前世の話だが、色々とおかしなことになっているな。私がローザ様に教え、今度はローザ様が私に教える。なんと言えば良いのかわからないが、不思議な感じがするな」


 仮に私が教えなかったとしても、前世の流れのように、そのうちリーザイアが自分でこの技術を開発する事になったのだと思う。そこで私がリーザイアにこの技術を使えるように手を差し出した。それはリーザイアにとって良いことなのか悪いことなのかはわからない。


「この技術は、なにか呼び名はないのかい?」

「確か前世のリーザは魔力視と言っていましたわ」

「ははは、自分で言うのも何だが私らしいな」

「そうですわね」


 リーザイアは魔力視が使えるようになったことで、治療薬作りの準備に入った。素材をリリンと一緒に錬金鍋が置いてある部屋に運んでいく。二人が素材を運んで行くのを、紅茶を飲みながら見ている。


「ただいま戻りました」


 素材を一通り運び終わった所に、買い出しに行っていたセブルとハイツが戻ってきた。ここに到着したのがお昼前だった事から、二人には全員分の昼食を買いに行ってもらっていた。


「二人とも感謝いたしますわ」

「ロザリア様のお口に合えば良いのですが」


 二人は買ってきた品をカウンターにおいていく。いい匂いが漂ってくる。


「二人とも戻ったか。ちょうど腹も減っているから調合は食事の後にするか」

「リーザ様、台所をお借りしますね。皆様の紅茶を入れさせていただきます」

「ああ、茶葉も好きに使ってくれて構わない。セブルとハイツはテーブルと椅子を持って来てくれ。場所はわかるだろ?」

「いや、俺たちはまた後で」

「二人も一緒に食べればいいですわ」

「わかりました。それではテーブルと椅子を持てきます」


 二人は別室にあるテーブルと椅子を取りに行った。


「二人を引き込むつもりかい?」

「そうですわね。今では私の専属のようなものですわ。今後のことを考えますと二人に協力していただけると助かりますわ」

「そういう事なら私も説得に協力しよう」

「お願いしますわ」


 問題はどこまで私の事情を話すかになりますわね。

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