A級マグマナイフ
一階の空いている部屋を利用。
工房として整えて一日。
さすがに夜になってしまった。
「……ふぅ、疲れた」
「ごめんなさい、兄さん。わたしはほとんどお役に立てなくて」
「いや、今日は工房を整える方で忙しかったからね。ステュクスが傍にいてくれただけで元気が出たし」
「そう言っていただけて嬉しいです」
本格的な作業は明日にし、俺はステュクスをおんぶして廊下へ。
「さて、戻ろうか」
「に、兄さん……どうして、おんぶするんですかっ」
恥ずかしそうに暴れるステュクス。
「いいだろ。兄妹なんだから」
「自分の足で歩けますよぉ……」
「気にするな」
「……もう、兄さんってば」
なんだかんだ言いながらも、ステュクスは身を委ねてくれた。俺は食堂を目指した。そろそろ晩飯が出来る頃合いだ。
食堂につくと、長テーブルには豪華な食事が並べられていた。メイドが世話しなく仕事をこなしている。
テーブルの奥には親父の姿があった。
「待っていたぞ、カロン。ステュクス」
「親父、いつもより早いな」
「今日は腹が減ってな。さっそく、食べよう」
「分かった」
席につき、晩餐が始まった。
今日はいつもとは違う。
親父から会話があった。
「カロン、今日は遠慮なく食べなさい」
「なんだよ、親父。今日はやけに優しいじゃないか」
「お前は、もう以前お前ではない。成長して、たくましくなった。これからに期待したい」
「親父……」
そこまで言ってくれるとはな。がんばるしかないじゃないか。
「さすが兄さんです! お父様がここまで認めてくださるなんて」
ステュクスが褒めてくれるように、これは異常なことだった。親父は今まで俺を見下し、認めようともしなかった。俺に失望さえしていたと思う。
だが、今はこうして俺の背中を押してさえくれていた。
「ありがとう、親父。それに、ステュクスも」
楽しい食事が進んでいく。
* * *
翌日、俺は直ぐに工房へ向かった。
ステュクスはまだ眠っているから、あとで様子を見に行こう。先に、武具錬成スキルを使ってみる。
テーブルに向かい、スキルを発動した。
まずは『短剣』をイメージしてみた。
A級ランクが作れればいいのだが、こればかりは運とかステータスの問題だ。
『――――』
魔力を流し込むだけで、段々と目の前に短剣が現れ始めた。無から物体を作る秘儀、これこそが錬成スキルというわけだ。
【マグマナイフ】
【詳細】
A級クラスの短剣。
火属性が付与されている。
ファイアボール Lv.3が発動する場合がある。
おぉ、一発でA級のナイフが出来てしまった。これは凄い。これほどのナイフなら、一本で50,000ベルにはなるはず。それだけあれば、ポーションが千本は買えてしまう。
しかも、火属性は貴重だ。
国の一歩外を出れば地属性モンスターが多く徘徊している。冒険者にとって弱点をつける火属性は魅力的。これは露店でも売れるぞ。
だが、今はガルガンチュア騎士団用の武器の方が優先だ。
作ってみるか!




