26年間~夢に、溺れる~
作品URL:https://ncode.syosetu.com/n0192gt/
作者名:砂礫零さん
レビュー日時:2021年7月4日
レビュータイトル:いたむ、ということ
★★★★★レビュー★★★★★
『悼む』ーいたむー『人の死を悲しみ嘆く』ことです。
同音意義語に『痛む』『傷む』があります。
『いたむ』とは人の死を悲しみ、心を痛め、傷つくことです。
1995年1月17日。阪神•淡路大震災が起きました。死者6434人。
これはその6434人の物語の一つ。
主人公夫妻はこの地震でたった1人の娘を失います。
『美しい』に『生まれる』と書く5歳の女の子。
代わり? ありません。どうあっても取り返しつかないのです。
しかしそれから26年後。ある方法で夫妻は娘を取り戻す。
娘は夢の中にいるけれど、お母さんにとっては真実です。
死者は死にません。ただ、不在になります。
あの時いけたはずの幼稚園のお迎え。迎えるはずだった誕生日。みんなでするお祝い。
だから今。その子が目の前にいるのなら。死はなくなるのです。
溺れたっていいではありませんか。
これはそういう話です。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
砂礫零さんと言えば『明るく、楽しく、ハッピーな長編を書く方』とイメージされている方も多いと思います。
それはそうなんですけど、短編がハッとするほどいいんですよね。
有名なのは『雪だるまに転生した僕は、なんにもしない。』ですね。(なろラジ最終ノミネート作品!)
ラジオ放送当日は『さすが砂礫零さん』縮め『さすれき』の嵐でございました。
レビューした作品。
これねぇ。書くの難しいですよ。
『夢幻企画』なので何が夢で何が幻なのか行ったり来たりするわけです。
真っ白な霧の中に突き落とされたような気持ちになります。まさに夢幻。
何年経っても悲しみは癒えず、それでいながら希望を持たなければ生きてもいけない。
そんな人間ドラマを見ました。良作だと思います。
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『小説家になろうラジオ』最終ノミネート。
『雪だるまに転生した僕は、なんにもしない』
https://ncode.syosetu.com/n3782hj/