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3 俺、ハイエルフ。

木曜日と言ったがあれはウソだ。という事で水曜朝に更新です。

火の精霊、水の精霊、風の精霊とそれぞれ契約を果たし、残るは土の精霊だけとなったユート。


「いくぞ不細工」


ニナが手を引っ張ってまた里の中へと戻る。里の中心で長老達は待っていた。


「どうやら無事水と風の精霊との契約は成ったようじゃな。最後は土じゃ。ゾンデよ頼むぞ」


長老に呼ばれ前に進む男エルフ。広場の前に土の壁を作り出す。3mはあるかという固い土塀だ。どうだ、と言う顔をするゾンデ。重ねて言うがエルフは土魔法は得意ではない。里の者も喝采を浴びせる。そして土壁に例の蛍光球が飛び交い始める。


さて、同じ事をやっても意味がない訳だ。ユートはあの土壁を崩すことに決めて手のひらに魔力を回す。石礫を発生させて土壁に向けて放つ。だが土壁はびくともしない。多少削れるだけだ。

土の固さではどうにもならない。岩、いや岩以上に固いものを生成出来ないか。

ユートはイメージを重ねて手のひらに意識を集中する。さらに固く固く。すると次に手のひらから発生したのは「石礫」ではなかった。黒い金属質な輝きを持った物。「鉄礫」だった。土魔法は土だけじゃなくあらゆる鉱物を操れる魔法なのだ。知らず知らずのうちにユートはその領域にたどり着いた。

ユートは作り出した「鉄礫」を土壁に高速でぶつける。土壁は蜂の巣のように穴が空き崩れていく。 

鉄を生成したユートを見て声も出ない長老はじめエルフ達。彼らの常識では土魔法は岩までの生成が限界だったからだ。

人々が呆然としている中、ユートの周りに蛍光球が飛び交い始める。ユートはもう一度手のひらに鉄を生成して見せる。


光の中から少女が姿を現す。茶色いワンピースを纏ったこれまた12歳くらいの少女。土の精霊だろう。興味深そうに鉄を見ている。


「土の精霊かい?」

「……」


無言でコクコク頷く彼女は生成した鉄に触れる。そしてユートに向かってニッコリ微笑む。どうやら土の精霊は他の三柱と違って無口らしい。土の精霊は静かに消えていった。


「ど、どうやら四大精霊との契約は済んだようじゃの。これでお主はハイエルフとなった。さあ、世界樹様の元に」


長老達に 背中を押されるままユートは再び世界樹の祠の前に進む。


「ようやった醜き者。こちらへ参れ」


相変わらず鷹揚な態度の世界樹。いやいやながらユートは 光と共に包まれ世界樹のいる空間に着く。


「さあ、精霊を呼び出して見せよ」


ユートは先程仲間にした四大精霊の姿を思い浮かべ声に出してカッコつけて叫ぶ。

まるでガン◯ムファイターみたいに叫ぶ。


「出ろ!!四大精霊!!」


ユートの周りに四柱の少女達が現れる。よく見ると水と風が苦笑している。どうしたのかと思うと火が諭すように言う。


「あんなにカッコつけて呼ばなくても心の中で考えるだけであたし達応じるから。ね、お嬢ちゃん」

「……」


横で無言でコクコク頷く土。

厨二病をまだ卒業してなかった自分に顔が赤くなるユート。


「さあユートよ四大精霊と共にこの世界樹様の前で祈るがよい」


言われるまま四大精霊を見ながら同じようにして祈りを捧げる。すると何かごっそり吸い上げられたかのような疲労感に襲われる。


「儀式は滞りなく終了した。帰ってよいぞ」


にべもなく言い捨てる世界樹。さすがに頭に来たユートは問いかける。


「ちょっと待って下さい。用事が済んだのなら俺を男に戻して元の世界に返して下さいよ!!」


「それは無理じゃ。一度エルフシードを飲み込んだ者は元には戻れん。と言うかその姿が本来のお主の姿なのだぞ。諦めよ。それにわしの召喚術は『転移門』と違って一方通行なのじゃ。元の場所には戻せん。悪いの」


なんと言う言い種。無理矢理異世界に呼びつけてさらに無理矢理女にしておいて(変な意味じゃなく性別的な意味で)「諦めよ」「悪いの」だと!!


他のハイエルフを呼び出せなかったと聞くが誰だってこんな尊大な世界樹にいいように使われたくないわな、と思った。


しかし今の会話に重大なヒントがあったぞ。


召喚術は『転移門』と違って一方通行。


つまり『転移門』とやらなら帰れるかも知れないわけだ。


「ひとつだけいいですか?『転移門』とやらはどこにありますか?」

「どこにでもある。この世界のどこにでもな。どこに繋がっているかはまるでわからんがな。『転移門』を好きなところに繋ぐことが出来るのは魔王だけだと聞いたぞ」


魔王。魔王のいる世界か。まあ魔物がいるんだからなぁ。人間はいるみたいだけどエルフは嫌ってるようだし。謎はまだまだ山盛りだが希望がひとつ見えてきた。


その魔王を探して『転移門』を開いてもらう。


そうこう考えているうちに世界樹の空間から追い出されていた。



帰れる目算が着かないユートはしばらくエルフの里で暮らすことになった。

長老の屋敷に居候をしながら里の者から精霊魔法の使い方を学ぶことにした。


ビュンビュン。ビビューン。森の中を風魔法で飛ぶように移動する。エルフは風で跳べるのだ。そういう風魔法の使い方をしなかっただけでユートが浮くコツを里のみんなに教えた途端どいつもこいつもビュンビュン飛べるようになった。子供達など大はしゃぎである。子供達は正直なのでユートの容姿をバカにする。このイケ面どもめ。


飛びながらユートは察知する。12キロほど二時の方向に魔熊の気配。おお叫んでる叫んでる。エルフイヤーは地獄耳。鉄礫を矢に変形させてサクッと打ち出す。エルフアローは超音…矢が雷と風を巻いてレールガンの如く飛び魔熊の頭を吹き飛ばす。解体は後でニナに頼もう。現代日本人のユートにはまだ魔物の解体は無理だった。幼女のニナに教えを受ける毎日である。


エルフの魔法は精霊魔法。小さな魔法なら体内の魔力を回して行使することが出来るが体内魔力というのは微々たるもので通常使う魔法は契約した精霊から魔力をもらう。

そしてこの世界の生物には保有魔力に比例した自分だけの『収納』があるらしい。ユートもハイエルフになった時に自分に『収納』があることを知った。容量が不明なので一度池の水を収納してみたら全部入った。まだまた入りそうだった。魚類は全てピチピチ地面で跳ねていたので生き物は収納出来ないとわかった。怖くなってすぐ元に戻したが。


刈った魔熊をそのまま『収納』してエルフの里に帰る。

ルックスはともかくエルフらしい生活になってきた。なにしろ短髪黒髪の地味顔のエルフなど他にいないのだ。

次回は土曜日を予定してます。

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