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リィカ=グランディール=モンマ 13歳

 我はリィカ=グランディール=モンマ。

この春13歳になった。

魔王国南東部高山地帯にある『龍の里』に住んでおる。

 母上は里の龍を統べる女王。美しい漆黒の巨龍じゃ。我は赤色の火龍である。ち、ちんまくないぞ⁈

父上。父上は…


 小さい頃何度か父上に会った。会いに来てくれた。2、3歳の頃だ。具体的な事は何も覚えていないがいつも笑っていたのは記憶している。そして父上のおしごとが【魔王】だというのも朧気に記憶している。


「母上ー。父上はいつ帰って来るの?」

「…いつかのう…」


 父上が魔王都に帰った後は決まって母上にねだるようにこの質問をした。だが…5歳、7歳と過ぎるうちに口にしなくなった。父上が龍の里に顔を出さなくなって数年。言うたび母上の気が沈んでいく気がして。苦しめてるような気がして。

 10歳を越える頃には父上の事は母上の前で口にすることはなくなっていた。


 母上は里を統べる他に魔王国の大切な仕事も抱えておられて忙しかったが、里には祖父も祖母もいて多くの龍もいたし寂しい事はなかった。

 我の使うスキルも結界術も祖父龍の得意技だったそうな。祖父は紅い巨龍、祖母は紫炎の巨龍だ。


 …しかし、同年代の子供はいなかった。龍は何百年に一度しか子を作らない。母上の様に他種属の者と子を成さない限り。

 友達が欲しかった。

 里は年寄りばかりでカビ臭い!


 こんな里での楽しみと言えば、黒猫獣人メイドのミヤマから聴く魔王都のあれこれくらいだった。

こんなスイーツがあるとかこんなアクセが流行ってるとかいろんな情報を教えてくれた。そんな中に【王立ギルド学院】の話があった。


 13歳になると望む仕事に就く為魔王国民はギルド学院に入る事ができて、その成績優秀者は卒業の時に魔王と謁見出来ると言う。

 父上に会うチャンスだ、と目の前がパァーッと開けた。

 我には父上に言ってやりたい事があった。どうしても言ってやりたい事があった。


 なぜ母上を放っておくのかと。


色々考えてしまう。もしかして妾がいるせいで母上は父上の所へ行けないのではないかとか。…我が悪い子だから父上はもう会いたくないのかとか。…泣きたくなるような考えがよぎる。

 だからもう一度会って確かめたかった。


 『我はいらない子供じゃったのか? 』と。



13歳になったら魔王都に行って【ギルド学院】に入ろうと決めた。


 母上や祖父母には人生勉強という名目で三年かけて説得した。祖父母は最後まで抵抗したっけ。泣きながら行かないでと妾を抱き抱えてた。ごめんなさい祖父上、祖母上。


 こうして魔王都に出て来た妾。お供はミヤマのみだ。【ギルド学院】にも無事入学し、新生活が始まった。魔王都は人が多い。学院にもこんなに同年代の者がいるとは思わなかった。


 我は龍族以外の人とも会話するのも初めてなのでどうアプローチすれば良いかわからずひたすらテンパっていたのだ。


その結果、寮に入った直後の第一声。


「お初にお目にかかる。我はリィカ。誇りある龍の血族である。愚民共よお前達には我の側付きを許す。光栄に思うように! くはははは‼︎」


 途端にミヤマに殴られた。痛かった。頭もじゃが我も王族ゆえの悪いところが出て士もうた。痛い奴じゃった。反省。てへ。


 同じ寮室で初めて出会ったのがエルフにしてはそんなに美形ではないという珍しいタイプのエルフのユート。15歳だが背も高く胸もばいんばいんでとても惠体なお姉さんだ。そして鬼族なのに筋肉のまるでないガリペチャなレン。妾と同じ13歳らしい。

ちょっと失敗はあったけど仲良くしてくれそうでほっとする。


 ここでめっちゃ幸運に恵まれた。ユートの存在だ。

 ユートは歳上だけあって冒険者のパーティーに参加した経験もありクエスト経験豊富で凄く頼りになるしその能力も凄まじい。話を聞くと希少種のハイエルフだという。四大属性の魔法を使いこなし、オリジナルの魔法まで開発する。魔導師職かと思いきや剣も弓も使いこなす。学院の教師陣もタジタジでダントツの実力者だ。よかった、寮の同室でこの人に当たって本当によかった。

 そして最大の幸運はユートが『料理自慢』だという事だった。

 食べた事のない新しい料理が次々出て来るのだ。

狩猟クエスト中でも夢のような食生活だ。しゅごい、しゅごいれす。ミヤマの作るご飯より美味しいの。

痛っ痛いぞミヤマっぶつなっ えっそんな事言うともうご飯作らない? ごめんなさいごめんなさい。ミヤマの作るご飯も美味しいれす。


 レンは同い年で我よりは背が高いがヘナチョコな鬼だ。鬼なのに筋肉がない珍しい鬼だ。色々苦労してそうだから優しくする。我は龍の王女だからな。


 我に戦う手段が龍状態にしかなく、人形態ではてんで役立たずで冒険者に向いてないと愕然としてた時、『体当たりでいいじゃん』と言ってくれたのはユートだし、身体を酷使する我をいつも優先して回復してくれるレン。どちらも大切な『魔王の眷族』の仲間だ。



 ようやく出来た我の友達…と思ってた時期がありました。実は友達じゃなかった。

…兄妹だった。…きょーだいーんん…


 【武闘大会】でまさかの母上との対戦、ボロ負けしたあと、、母上が優しい声でユートとレンが我の兄妹だと告げた。

 しかもユートが【長男】で全員で七人兄妹。ななにん⁈ 七人もいるの⁈ えっ全員母上が違うの⁈ 父上って七人も奥さんがいたの⁈


 とにかくショックで開いた口が塞がらなかった。


「ほら、ユート殿の顔をよく見てごらん。父上に本当そっくりじゃからの。」


 もう記憶から抜け落ち掛けていた父上の顔。ユートの顔をまじまじと見る。思い出せない。もどかしい。レンも覗く。レンは父上に会った事があるのだろうか?…会いたい。父上に会いたい。泣きそうになって来る。

 ついユートをポカポカ殴ってしまう。


「…父上…」


 ユート兄上は元々別の世界に住んでいてエルフの親玉にこの世界に連れて来られたそうだ。そのエルフの里で女にされたらしい。

 妹が欲しくて欲しくてたまらなかったらしいユートは物凄いデレついた顔で我とレンを抱きしめる。ちょっと気持ち悪い。幻滅だ。そういえば元男のユートとお風呂に入ったぞ。 ぎゃあああああ み、見られた‼︎ ゴスゴスユートの腹を殴る。


 

元男の今は長女のユート。いろいろおかしい。

 だがパーティーリーダーとしては猛烈に頼りになる。【スタンピード】の時もそうだった。緊急事態にも咄嗟の判断でみんなに指示を出して乗り越えた。

それになんと言っても料理が美味い。こないだもニコニコしながらカステラというスイーツを手作りしてくれた。わぁい、姉上大好き‼︎ おだて続けたら多分毎日スイーツが食べられるかな?!


 レンと二人でせいぜい姉上をおだてようと誓い合った。


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