第一話 まさかの転生・・・・・・じゃない?!
青い空、
白い雲、
そして、・・・・・・・・・・・・・・・・・
青い空の中、森の中で寝っ転がっていた。しばらく気を失って眠っていたらしい、記憶が抜けている気がする。そういえば、僕、界星瀬天は夏休み初日、家に帰って着替えて、何の当てもなく出かけて・・・・・・・・・・・
「ちょっと待てよ!?ここは何処だ?!僕の家の近くにこんな森があった覚えはないし、第一、僕は確か道の真ん中で起きた地震に巻き込まれて気絶してたんじゃ無かったっけ?!」
そう、僕は、1学期の終業式の後、いったん家に帰って、制服から私服に着替え、近所の本屋で立ち読みをしようとしていたのだが、突然、地震が起こって、というより地震みたいなことが起きて、何か地面が崩れるような気がして……
「で、今に至るというわけだ。」
誰に話すわけでもない独り言をつぶやいて、辺りを見渡してみる。
特に変わった様子はない。普通に木が生えていて、草が生えていて、スライムが動いてて、それで、ん?
ス、ス、スライムう!?
誰もが一度は作ったことのあるスライム。青い体にそれに目がついて、しかも動き回っていて・・・・・・・・・・・・・・・・・どうみてもいわゆるスライムってやつだ。
呆気にとられて僕が上を向いた次の瞬間、
大きな咆哮とともに赤い大きなドラゴンが空を舞っていた。
と、あまりの出来事に右往左往すること数分後、突然、僕の頭の中に素晴らしい考えがひらめいた。
「いや、待てよ。もしかしたら、この世界はいわゆる異世界とかいうやつで、僕は転生してここにいるというのか!?もしそうならば、凄い!!凄いことじゃないか!!やったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ってか、さっきのスライムドコドコ!?あ、あったあった!うほ~~~!!!やわらけぇ!すっげえ触感!」
「あ、さっきのドラゴン!!!どこ行った、どこ行った?!どこだぁ~~~~~~~~~~」
「うわ、この人やばいな。絶対気〇いだよ。」
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人に見られた。というか、見られてしまった。恥ずかしい。で、顔は真っ赤になり、汗はダラダラ流れていった。
「あ、あの、僕は界星瀬天といいまして、なんか地震にあって、目覚めたらこんな場所にいて、それで・・・・・・・」
「ぷっ、はははは。」
突然笑い出した彼に瀬天は戸惑いながらもたずねた。
「あ、あのあなたの名前は?」
「ああ、僕の名前は黒竹準っていうんだ。」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
しばし静寂があたり一面に広がってしまったが、その静寂を破ったのは、瀬天のほうだった。
「あ、あの、も、もしかして、僕はあの地震で死んじゃって、この異世界に転生して、選ばれし勇者として、この世界を征服しようとしてくる魔王を倒す……………ってこと?!」
「えっ、何言っちゃってんの?あんた、死んでいないよ。」
「えっ。」
「第一さぁ、ホントに死んで転生したっていうなら、なんで姿形が変わらずに、記憶、人格が変わってないの?あんた、これまでホントに転生した人に会ったことがあんの?」
「い、いやでも、こういう異世界小説じゃあお決まりの展開っていうか・・・・・・」
「お決まりの展開い?!ないない、ありえない。」
「・・・・・・・・・・・・・じゃ、じゃあ、僕は神様女神様の導きによってこの異世界に転移して、」
「はぁ?!そんなわけねえだろ。大体、自分が選ばれし勇者ぁ?!お前のどこにそんな要素があるの?お前の自慢できる部分って何?何?あんた、どうせ、典型的な何処でもいるような一般高校生でしょ。そんな消し粒みたいなもん、探し出されるなんて、無理無体(笑)」
「だ、だってえぇ、」
情けない僕の声を聞いた黒竹準さんはさっきより大きな声で笑い出した。
「ハ~ハッハッハ、そもそもこの世界はそんな魔王なんかいないって」
「ほえぇ」
情けない声を出した僕を尻目に彼は話しはじめた。
「まぁ、中にはそういう危険な勢力に襲われている世界もあるんだろうけどね。少なくともこの世界はそういう勢力はいないよ。」
「えっ、この世界は、って・・・・・・・・どういうことですか?」
「ああ、あんたらがもといた世界やこの異世界だけじゃなくて、ありとあらゆる地球がある世界があって、ありとあらゆるこんな異世界が星の数程存在するってことだよ。あんた、多元宇宙って知ってる?」
「あ、あの、僕たちが住んでいる世界の他にもいわゆるパラレルワールドがたくさん存在してるってやつですか?」
「まっ、そんなもん。お前は偶然にも次元の割れ目に落っこちちまって、この世界に偶然たどり着いちまったってことだよ。よかったな~お前、こんな目に逢うなんて、宝くじ五回連続で一等とっちまうぐらい確率の低いことなんだぜ。よかったな~、いや、よくないか、アハハハハ。」
呆然と解説を聞いていた瀬天もこんなふうに馬鹿にされてはたまったものではない。
「あの、笑い事じゃないですよ。一体僕は、これからどうすればいいんですか。」
「え~、なんか適当にこの世界で死ねば?」
「はぁ?!」
瀬天は一旦は怒ったものの、気を取り直して、少し考えてこう言った。
「・・・・・うーん、まぁせっかく異世界に来ることができたんだからさ、少し冒険してみたら?」「・・・はぁ。ところで、あなたはいったい誰なんですか?この世界の人なんですか?」
「いや、世界という世界を渡り歩きながら旅をしているって感じかな。」
「えっ、じゃ、じゃあいざとなったら僕を元居たせか」
「ヤダ」
「えっ。」
「嫌だよ。なんでわざわざあんたみたいなどこの骨かもわからないような奴のために、僕の乗り物の燃料を使わなくっちゃあならないの?そんなこと、たとえ知り合いであっても絶対に嫌だから。そんな1ml使わせるぐらいなら、飢え死にでもしていなくなったほうがずーーーーっとマシだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ま、そういうことだから、じゃあね。ここでお別れだねバイバイ。」
「え、え、え、ちょっと・・・・・・・・・・・・」
「大丈夫!たとえ君がこの後死んだとしても、僕は全然大丈夫だから!君のとこなんて数秒あればすっかり頭の中から忘れているから!!」
「全然大丈夫じゃねぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!」
叫んでいる間に、準はいつの間にかどこかに行ったようだった。
準と強制的に別れた瀬天は一人、森の中を歩いていた。
「まったく、何なんだよ、あの人は・・・・・・」
しばらく歩いていくと、突然目の前が開けた。
「うわぁ。」
青い空の下、何処までも広がっている大森林。
「・・・・・・僕、ホントに異世界に来ちゃったんだなぁ。」
「まっ、いいか。これからこの世界を冒険して、いろんな場所に行って、いろんな人に会って、それから何とかして元の世界に帰るとするか。何といっても、此処は・・・・・・・・・・異世界なんだから!」
こうして、突如異世界に飛ばされた少年、界星瀬天の冒険が遂に始まったのだった!そう、そして今、その一歩を踏み出したのだった!
「うわっ、」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
「・・・・・・・・・・・・コケた。」
始まったのだった!