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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
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炭焼きの煙に涙ぐみながら、九十九折の山道を登っていく 2話

作者: ラビィ・ソー

「勾配ベクトルの向きは、x方向にz=f(x,y)をxで微分した値、y方向はz=f(x,y)をyで微分した値をあてはめ、その(x,y)座標に向けて、

指定の(x,y)地点より向かった方向になるわ。つまり(15,15)では、∂/∂x*(x^2/3+1/4y)=18(x^2/3)/(27x)、x=15を代入して、0.27。

∂/∂x*(x^2/3+1/4y)=1/4=0.25。よって、(x,y)(0.27,0.25)という勾配ベクトルが求まったわ。ここで、(15,15)の地点から勾配ベクトルの向きへ向かって

小さな一歩を踏み出したときの、xに平行で0、yに平行で90°としたときの成す角度を見てみましょう。この角度は、直角を挟んだ一辺が0.27、一辺が0.25の

直角三角形の、長さ0.27の辺と斜辺の間の角度であるとわかるので、斜辺=(0.27^2+0.25^2)^1/2=0.368。角度は42.792°。

これは都合よく、さきほど求めた北東の方角45°と僅差であるので、45°のときの斜度36.76%と比較して、42.792のときの斜度はわずかに高くなっており、しかもそれこそが斜度の最大値

であるということね。42.792°の方角へと、r=0.1の一歩を踏み出したとき、x=rcosθ、y=rsinθより、x=15.0734、y=15.0679。

これを、z増分/xy平面上の微増分 で斜度を出す式にあてはめると、


{18(15.0734^2/3)(15.0734-15)/(27*15.0734)+(15.0679-15)/4}/0.1=0.3678=36.78%。確かにそうなったわね。


さて、ここからが面白いところよ。この方角から90°回転させた角度、つまり132.792°へ向かった方角に、先ほどと同じように小さな一歩を踏み出せば、その斜度はどうなるかしら?」


「えーと、x軸方向の辺と、直角三角形の斜辺のなす角は、180-132.792=47.208。斜辺に0.1をあてはめて、x軸の辺とy軸の辺を割り出すと、それぞれx=-0.0679、y=0.0734。

よって、{18(14.0321^2/3)(14.0321-15)/(27*14.0321)+(15.0734-15)/4}/0.1=-0.000416≒=-0.04%。


あれっ!ほぼまっ平らになっちゃったわ!勾配ベクトルから90°回転した方角に一歩踏み出すと、そこは平面を歩いているのと同じことになっちゃうの?

じゃ・・・じゃあちょっと待って!北、東、北東のほかに、北西にもいくばくか値域を拡張できるなら(その方向に土地があるなら)、最も勾配が緩やかな場所どころか、

完全にまっ平らな場所に、薪置き場を作れちゃうってことぉ!?」



「その通り!等高線の接線の傾きが、勾配ベクトルと90°をなすということは、(x,y)平面上の2点、(x0,y0)(x1,y1)を、f(x0,y0)f(x1,y1)が共に同じzの値を示すように設定し、

その2点を通る直線と勾配ベクトルとの角度が90°をなすということだから、


f(x0,y0)=15^2/3+15/4=z=9.8322  f(x1=15.1,y1)=15.1^2/3+y1/4=z=9.8322 y1=4(9.8322-15.1^2/3)=14.892


これで、(x0,y0)(15,15)と、(x1,y1)(15.1,14.892)が、同じ高さだということがわかったわね。この2点を結んだ辺を斜辺とした直角三角形の3辺の長さはそれぞれ、


辺x0 to ∟=0.1 辺∟ to y1=0.108 辺y1 to x0=(0.1^2+0.108^2)^1/2=0.1472


よって3つの角はそれぞれ、∠x0x1y1=90° ∠x1y1x0=42.797° ∠y1x0x1=47.203°


以上から、この直線はx軸とのなす角が、90+42.797=132.797°で、勾配ベクトルの42.792°と確かに直角をなしていることが確認できたわ。」


「勾配ベクトルgradとxy平面上微増分rの方角が一致、つまりgradrcos0で、z増分が最大、gradrcos90°でz増分が0 ・・・あーっわかった!これって内積ね!


勾配ベクトル・微増分 で、高度上昇分がわかるんだわ!内積って2方向の力の合成とかで習うけど、この例では2方向の内積が直交するz軸にニョキッと立って現れるのが面白ぉ~い☆」



「さて、f(x,y)=z=x^2/3+y/4のyの値を固定し、xがわずかに増加したらzはどのように変化するかをあらわした値、つまりx編微分の微分係数は(18(x^2/3))/(27x)、

xの値を固定してyがわずかに増加したらzはどのように変化するかをあらわした値、つまりy編微分の微分係数は1/4だったわね。でもこれだと、もし進む方向がすでに決まっているのならば、

いちいち進行方向をx座標とy座標に変換するという煩雑さがともなうわね。そこで、ある方向、例えば登はん労力をいとわずに最短経路を登りたいのなら、勾配ベクトルの方向へと

進むように方向を固定し、その方向へとわずかに移動したらzはどのように変化するかを表せると便利よね。これを、方向微分というのだけど、ちょっとやってみましょうか。


(x,y)(15,15)では、grad=(0.27,0.25)であるから、斜辺は0.368、斜辺方向に進んだ場合のx座標、y座標の変化はそれぞれ、0.27/0.368=0.734=(x1-x0)と、0.25/0.368=0.679=(y1-y0)なので、



(18(15^2/3)0.734)/(27*15)+(0.679/4)=0.368となるわ。一般化すると、∂x(x1-x0)/t+∂y(y1-y0)/t ただし((x1-x0)^2+(y1-y0)^2)^1/2=t というふうに書けるわね。


微分の定義 (f(x+t)-f(x))/t と比べて、t=0.1として確かめてみると、((15.0679^2/3+15.0679/4)-(15^2/3+15/4))/0.1=0.368。正しいわね。」



「チルノちゃん、もう一箇所の薪置き場の座標(67,32)の勾配ベクトルと、斜度0の方角も計算してみるね。


∂f/∂x=18(67^2/3)/(27*67) ∂f/∂y=1/4 より、gradf(0.164,0.25)ね。


方角は、∟三角形の辺x0x1が0.164、辺x1y1が0.25だから、斜辺が(0.164^2+0.25^2)^1/2=0.299、よって、勾配ベクトルの方角はx軸=0°から数えて、56.736°この方角で斜度が最大。

そして高度zの増分は勾配ベクトルとxy平面状増分の内積だから、56.736+90=146.736°で斜度が0。


でね、北から西へ56.736°の方角なんだけど、この方角にちょうど大きな岩があって、薪置き場を作れそうにないの。だ・か・ら、勾配ベクトル方向から、北回転とは逆向きの東方向に

90°回してみたわ。


56.736-90=-33.264°、斜辺1に対する辺x0x1=0.836、辺x1y1=-0.5485。よってr=0.1とすると(x1,y1)(67.0836,31.94515)。

 

18(67^2/3)/(27*67)*0.0836+(-0.5485/4)=0.0000097=0.00097%、やはりこちらも水平、勾配0になったわ。67^2/3+32/4と、67.0836^2/3+31.94515/4を比較すると、いずれも

24.4962という標高になることからも、これは確かね。


さて、もうひとつのgradf・r=0となる146.736°のときは、18(67^2/3)/(27*67)*(-0.0836)+0.5485/4=0.0000097となって、-33.264°の式と比べると、

x増分が負にふれて答えが0に釣りあうか、y増分が負にふれて答えが0に釣りあうかの違いだということがわかるわ。


これは幾何的に見ても明らかで、勾配ベクトルのとる角度域が 0≦gradf≦π/2であるから、gradf+90°あるいは-90°の操作によって、必ずx1かy1のどちらかが、

x0、y0より小さな値をとるということね。」





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